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vol.12 ザイオン国立公園part1【2011 アメリカ】

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国道89号線(US-89)に入ると、ここからもシーニック・バイウェイ(景観道路)に指定された区間が続きます。これまでとは打って変わって、緑豊かでのどかな景色が広がります。

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国道89号線を1時間ほど南下し、マウントカーメルジャンクション(Mount Carmel Junction)で右折。ユタ州道9号線(Utah State Route 9)へ入ります。天気もよく、車内はぽかぽかと暖かく、気持ちのいいドライブです。この先は国立公園のため、行き交う車もほとんどありません。

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道路自体がザイオン国立公園(Zion National Park)の中を通っています。

ザイオン・マウントカーメル・ハイウェイ

この先の入場には車1台あたり25ドル(2,125円)が必要ですが、アニュアルパスを持っているのでゲートで提示するだけ。スタッフからマップ&ガイドを受け取ります。日本語版はありませんでしたが、シャトルバスの案内や見どころの説明がまとめられており、なかなか役立ちます。事前に公式サイトからダウンロードすることも可能です。
http://www.nps.gov/zion/parknews/newspaper.htm

東側の料金所の背景に、白い巨大な岩肌の山がみえてきました。

公園に入ると、いきなり驚きの光景が広がります。網目模様の岩肌が印象的な、チェッカーボードメサ(Checkerboard Mesa)が正面にどーんと現れます。標高は1,990m以上。滑らかな斜面に刻まれた網目は、まるで定規で引いたようにきれいなマス目を描いています。

道はチェッカーボードメサのすぐそばを通り抜けていきます。思わず登ってみたくなる迫力です。

車と比較すると、周囲の岩の巨大さがよくわかります。東ゲートから中心部までは、ザイオン・マウントカーメル・ハイウェイ(Zion-Mount Carmel Highway)と呼ばれる道が続いており、台形の巨大な岩山の間を縫うように走っているため、どこを見ても圧倒されます。

ちなみに写真に写っているのはチェッカーボードメサではありません。同じクラスの岩山がそこかしこにそびえているのです。

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少し車を止められるスペースがあったので、降りて岩肌を登ってみます。注意されないか内心ドキドキしながら……。

おーーーい!見えますか?

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様々な方向に岩の層が現れています。あれほど大きな岩山も、何層もの地層が重なってできているのですね。ね。

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特にここは地層の縞模様がくっきりと見えます。写真に収まっている範囲だけでも、数千万年分の時間が刻まれていそうです。

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岩肌のわずかな隙間に砂がたまり、そこに植物が根を張っています。なんともたくましい生命力です。

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ザイオンもコロラド高原の隆起によって形成されたグランドステアケース(大階段地形)の一部。このザイオン・マウントカーメル・ハイウェイが走る地層は、およそ1億年前の砂漠地帯の砂が固結してできた砂岩の層で、ザイオン渓谷の上部にあたります。。

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白い地層の下には、バーミリオン層(Vermilion Cliffs)と呼ばれる赤い地層が広がっています。およそ2億年前の火山活動が活発だった時代に形成されたものといわれています。東ゲートから入ると道は徐々に下っていくため、最初は上部の白い地層が目立ち、進むにつれて赤い地層の割合が増えていきます。

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トンネルを抜けると、白い砂岩の台形の山が少なくなってきました。このあたりの地層は全体的に左へ傾いています。岩肌にも樹木がしっかり根を張り、小さな箱庭のようにも見えます。

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大きなバイクでのツーリングは、気持ちよさそうです。

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1930年に開通した当時、アメリカ最長を誇ったザイオン・マウントカーメルトンネル(Zion-Mount Carmel Tunnel)。全長は1,711m。交互通行のため、しばらく停車して待ちます。このトンネルを抜けると、いよいよザイオンの核心部へ。

ザイオン核心部へ

ザイオン・マウントカーメルハイウェイの全長1,711mのトンネル。ところどころに四角い窓(ギャラリー)が設けられており、そこから垣間見える景色がまた凄かった。

ザイオン国立公園

トンネルを抜けると……正面に広がる岩山の圧倒感が半端ではありません。「トンネルを出ると」という演出とも相まって、鳥肌が立つほどの感動。この先は、スイッチバックのような急カーブの坂道を下っていきます。

ザイオン国立公園

最初の180度カーブを越えると、大きな凹みが刻まれたグレートアーチ(Great Arch)が見えてきました。完全なアーチにはなっていないものの、そのスケールはかなりのもの。トンネルは写真右側の岩盤をくり抜いて造られたもので、この景色の裏側からやってきたことになります。トンネルの反対側からこのアーチの上まで伸びるトレイルも整備されており、壮大な眺めを楽しむことができるみたい。

ザイオン国立公園

そして再び180度のカーブを曲がると、正面に巨大な岩山。ほぼ垂直に切り立つ岩壁は、見上げるだけで気が遠くなりそうです。東京タワー3本分ほどの高さと考えれば、平然としてはいられません。

知名度はさほど高くなく、旅行前に訪れた人のブログを読んでいても、それほど感動したという声は見かけませんでしたが、まさに百聞は一見にしかず。目の前に広がる絶景には、ただただ圧倒されます。

素晴らしい景色で、1,000mもの岩壁を見上げる迫力は凄いものがあります。

ザイオン国立公園

マウントカーメルハイウェイ側では見られなかった、土っぽい泥岩の茶色い地層が現れてきました。ザイオン国立公園の成り立ちを考えると、もともとあった台地を川の侵食が削り取っていったものなので、川底へと下りていくという表現が正しいのでしょう。標高差にして1,000m近く、下ってきたことになります。

ちなみに、ザイオンの最下層の地層は、グランドキャニオンで最も高いリムの部分にあたるといわれています。

ザイオン国立公園

いくつものカーブを越えるたびに景色が変わり、何度も車を止めては見惚れてしまいます。

ザイオン国立公園

ようやく下まで降りてきました。南側には標高2,380mのウェストテンプル(The West Temple)がそびえています。この先の渓谷内はマイカー規制があるため、その山麓にある博物館に車を置いて、シャトルバスに乗り換える必要があります。

ザイオン国立公園

南北に伸びるバージン川(Virgin River)と、東からの道が合流するキャニオンジャンクション(Canyon Junction)。ここから北側がザイオン国立公園の中心部です。

ザイオン国立公園

南側の風景には、鋭くとがった先峰、標高1,995mのザ・ウォッチマン(The Watchman)。思っていたよりバージン川の流れが力強く感じられます。とはいえ、この渓谷を刻み込んだ頃と比べれば、本当に穏やかな流れなのでしょう。

ザイオン国立公園

南側の風景には、鋭くとがった先峰、標高1,995mのザ・ウォッチマン(The Watchman)。思っていたよりバージン川の流れが力強く感じられます。とはいえ、この渓谷を刻み込んだ頃と比べれば、本当に穏やかな流れなのでしょう。

ザ・ウォッチマンを眺めながら、もう少しUT-9を南下していきます。道はきれいに舗装されていますが、路面が茶色いのは、周囲の風景に溶け込むよう配慮されているからでしょうか。

ビジターセンター(ザイオン国立公園)

ザイオン・ヒューマン・ヒストリー・ミュージアム(Zion Human History Museum)に到着。思ったより駐車している車は少なめです。星条旗が誇らしげにはためき、その後ろにもかっこいい岩山が見えています。

ザイオン国立公園

博物館の裏手にそびえるのは、左の台形の山がザ・ウェストテンプル(The West Temple)、右側の峰々がタワーズ・オブ・ザ・バージン(Towers of the Virgin)。ウェストテンプルの標高は2,380mで、ここ博物館との標高差はなんと1,161m。東京タワー3.5本分の高さに匹敵します。

ザイオン国立公園

朝に作ったハムとチーズを挟んだだけのシンプルなランチも、この景色を眺めながらいただけば、これ以上ない贅沢というものです。

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マイカー規制があるため、無料のシャトルバスに乗って渓谷内を移動します。規制があるほどなので混雑しているかと思いきや、意外にすいていました。窓が広く取られているので、車内からでも十分に景色を楽しめます。

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バスの天井部分も開いているので、そびえ立つ岩山を見上げることもできます。上部もガラスだったらいうことなしですね。

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5分ほどで最初のポイント、コート・オブ・ザ・パトリアークス(Court of the Patriarchs)に到着。シャトルバスは2両編成で、すべてのスポットに停車しながら5〜10分ごとに運行されており、とても便利です。入場料を払っても園内の移動が無料でしっかり整備されているのは、さすがアメリカの国立公園だと感心します。

Court of the Patriarches

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目の前にそびえる鋭い岩山の迫力に圧倒されます。国立公園内にはいくつかのトレイルが整備されており、もう少し奥まで歩けそうなので、行ってみることにしました。

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バージン川を渡り、少し登っていきます。メジャーなコースではないので、歩いている人も見当たりません。半信半疑のまま進んでいきます。

ふと振り返っても絶景。正面の山がマウンテン・オブ・ザ・サン(Mountain of the Sun)、その右側がツイン・ブラザーズ(Twin Brothers)です。

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ほぼ同じ高さと形をした3つの岩山が、コート・オブ・ザ・パトリアークス。「族長たちの庭」を意味する名前で、左からアブラハム(Abraham)、イサク(Isaac)、ヤコブ(Jacob)と名付けられており、いずれも旧約聖書に登場する族長たちです。1916年にメソジスト派の牧師フレデリック・ヴァイニング・フィッシャーが命名したといわれています。

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「ザイオン」という言葉は、ヘブライ語で「城砦」や「高い場所」などを意味するといわれており、モルモン教の開拓者たちが「聖地」の意味合いでこの渓谷に名付けたとされています。その名にふさわしい神聖な雰囲気を感じ取れる場所です。映画「マトリックス」に登場する人類最後の都市も「ザイオン」という名前で、同じ言葉が使われています。