今日は朝日を見る予定がなかったので、ゆっくり眠れました。それでも7時過ぎには自然と目が覚めましたが。

Super 8の朝食はすべてのプランに含まれていますが、こういったホテルはほぼ軽食スタイル。高めのホテルの朝食は種類が多すぎて、しかも高い。軽食で十分です。

Super 8 Page / Lake Powell
今日もスカッと晴れています。空気は乾燥しているし、雨が降ることなんてあるのかな、と思うほど。
アンテロープキャニオン(Antelope Canyon)のツアー集合時間は10時15分。それまでの時間を使って周辺を観光することにします。
コロラド川が約270度カーブした蛇行地形、ホースシューベンド

8時15分、ホテルを出てすぐ、ホースシューベンド(Horseshoe Bend)の入口に到着。注意書きの看板があり、思っていたより歩く距離がありそう。まずは目の前の丘を登りますが、細かい砂地で歩きにくい。

丘を登りきると、ようやく渓谷らしきものが見えてきました。今度は下り。帰りがまたしんどそうです。
注意書きにもあったように、日差しをさえぎるものがまったくなく、雷も危険な場所。日中だったら相当な暑さでしょうし、天気が崩れれば雷のリスクもある。朝一番に来て正解でした。

コロラド川(Colorado River)が蛇行して作り上げた景観が、ホースシューベンド。川の形が馬の蹄鉄(Horseshoe)に見えることから、その名がついています。写真ではなかなか伝わりませんが、川面までの高さは305m。東京タワー333mとほぼ同じ高さです。眼下には遊覧船らしきものが見えましたが、それがほんとうに小さく見える。
朝早く来たことが仇となり、川底まで日差しが届かなかったのは少し残念でしたが。

高さ305mにもかかわらず、柵はまったくありません。景観を守るため自然のままとはいえ、なかなか怖い。

ぎりぎりまで近づきましたが、これが限界。実際に立っているときより、後から写真で見返した方が怖かったです。
なぜ馬蹄形になったのか?
1. 元々は緩やかな蛇行だった。はるか昔、コロラド川は平坦な大地をゆっくり蛇行していました。川が緩やかな地形を流れるとき、自然と曲がりくねった(蛇行した)流路ができます。これは川の水流の物理的な特性によるものです。
2. 大地が隆起した(地盤隆起)。約500〜600万年前、コロラド高原全体が地殻変動によって徐々に隆起し始めました。大地が持ち上がられると、川は相対的に「下に掘り進む力(下刻)」が強まります。
3. 蛇行したまま深く削られた。大地の隆起はゆっくりだったため、川は蛇行パターンを変えることなく、そのままの形で岩盤を垂直に削り続けました。結果として、曲がりくねった形がそのまま深い峡谷として刻み込まれました。
これを地質学では 「穿入蛇行(せんにゅうだこう)/Incised Meander」 と呼ぶそうです。
全米第2位の高さ、グレンキャニオンダム

コロラド川にかかるグレンキャニオンダム(Glen Canyon Dam)を眺望できるポイントへ。高さ216m、幅475m。日本一高い黒部ダム(高さ186m)よりも高い。
グレンキャニオンダムはコロラド川流域7州への水の供給を主目的とした貯水ダム。背後に全長300kmのレイクパウエルを抱えるだけあって、底部の厚みは91mにも達する。

ここには柵があったので、ちょっと乗り越えて記念撮影。あまり人が来ないスポットなのに、たまたま日本人観光客のご家族4人と出会いました。LA在住で、日本から両親を招いて観光しているとのこと。レンタカーで観光していることを話すと、少し驚かれました。
「知らない土地でレンタカーは怖くないですか?」
「道も広いし、みんな親切だし、日本より安全じゃないですか?」
と答えると、奥様らしき方が、
「私も日本では運転しなかったのですが、こちらに来てから運転するようになりました。」
ほんとうに運転しやすい国だと思います。観光ツアーより費用も抑えられるし、なにより自由。ガソリンも安く、高速も無料。アメリカを旅するなら、ぜひレンタカーをおすすめします。
レイクパウエル – 琵琶湖の3倍の広さ!全長300kmの人造湖

もう少し時間があったので、急いでレイクパウエル(Lake Powell)が見渡せる場所へ。先ほどのグレンキャニオンダムが作り上げた人造湖で、その全長はなんと300km。東京から名古屋までの距離に匹敵します。それでもアメリカの人造湖としては2番目の規模というのだから、スケールの大きさに驚くばかり。湖が満水になるまでに17年かかったといわれています。

地球とは思えない景色。映画「猿の惑星」のロケ地だったそうで、異星の風景に見えるのも当然かもしれません。

急いでもう少し湖に近い場所へ移動。左手にはレイクパウエルリゾート(Lake Powell Resort)のホテルがあり、停泊するボートが見えます。夏になるとリゾート地として賑わいを見せる場所だそう。

中央に見える台形の山がナバホ・マウンテン(Navajo Mountain)、そのさらに右に小さく突き出ているのがタワービュート(Tower Butte)です。
レイクパウエルの景色を写真だけ撮って、大急ぎでペイジの待ち合わせ場所へと戻りました。
アッパーアンテロープキャニオン – 鉄砲水が作り出した神秘の造形美
レイクパウエルから戻ってきたものの、ツアー会社の事務所がなかなか見つからず、かなり焦りました。原因は、アンティーク風のお土産屋の中に事務所があったため。外からは大きな看板もなく、とてもツアー会社には見えませんでした。
今回申し込んだのは、フォトグラファーツアー。通常とは異なる特別なプランで、料金は80ドル(6,800円)。通常ツアーの46ドル(3,910円)に比べると高めですが、三脚の持ち込みが可能で、ツアー時間も2時間30分と通常より1時間長い。1グループ最大8名限定で、この日の参加者は6名でした。

4輪駆動車に乗り込み、アッパーアンテロープキャニオン(Upper Antelope Canyon)へ出発。途中からナバホ族のエリアに入り、入園料6ドル(510円)を支払います。

未舗装の道路を砂埃を巻き上げながら走ること10分ほどで、入口に到着。ほかのツアーの大半は車の荷台に椅子を設置したスタイルで、砂埃をまともに浴びて大変そうでした。
10時43分、内部へ。入口付近ではさほど感動はありませんが、奥へ進むにつれて雰囲気はどんどん変わっていきます。

想像していたより内部はかなり狭く、入り組んでいます。地層の模様は繊細で、光の差し込み具合も絶妙。月並みな表現ですが、自然が作り上げた造形美はほんとうにすばらしい。

ガイドは撮影に慣れていて、デジカメの写真をチェックしながらアドバイスをくれます。うまく撮れていないと思うと、カメラを受け取ってシャッタースピードなどの設定を変え、自ら撮影してくれました。コンパクトデジカメではうまくいっていましたが、一眼レフは勝手が違ったのか、途中で諦めていた様子。

ガイドが「上を見てみろ」と言います。モニュメントバレーのビュートのように見えると話していて、確かに真ん中の台形の突起がそのように見えます。
ガイドが撮ってくれたコンパクトデジカメの写真は明るくて綺麗ですが、シャッタースピードが遅かったのかピンボケ。手持ち撮影では仕方ありません。光が届いていない時間帯は渓谷内がかなり暗く、手持ちでは確実にブレます。三脚持参が可能なツアーを選んでおいて正解でした。

アッパーアンテロープキャニオンは、鉄砲水が柔らかい砂岩を侵食して形成されたスロットキャニオン。乾燥した土地にありながら、上流で大量の雨が降ると鉄砲水が発生し、渓谷を一気に駆け抜けます。足元に細かい砂が堆積しているのも、その痕跡です。
1997年には上流の降雨が引き起こした鉄砲水が観光客を襲い、11名が亡くなっています。それ以降、ガイドなしでの入場は禁止となり、上流付近で雷が鳴ったり雨が降ったりすると入場も禁止されます。

いったん渓谷を通り抜けた明るい場所で、撮影について詳しい説明を受けます。少し難しい内容になると、同行の台湾人カップルがそのつど噛み砕いて説明してくれました。気が利くだけでなく、こちらが難しいと感じているポイントを的確に把握していて、思わず感心してしまいました。
正午前後に太陽光が細い開口部から差し込み、光の柱(ライトビーム) が出現します。この時間帯になると、内部は多くの観光客で賑わいます。狭い場所ではすれ違うのもやっとです。そして驚いたのは日本人の多さ。ゴールデンウイークということもあるのでしょうが、ここまで日本人に会わなかっただけに、余計に驚きました。

待ってました。
フォトグラファーツアーでは、複数のガイドが連携して撮影場所を確保・誘導してくれます。撮影中は人が通らないよう配慮してくれ、通常ツアーの参加者は立ち止まらずに移動するよう促されます。通常ツアーでは、この時間帯にじっくり撮影するのは難しそうです。

幻想的な空間。アッパーアンテロープキャニオンは、この時間帯に訪れてこそ意味があります。逆にいえば、時間帯をずらせば比較的すいているかもしれません。

上部が美しいエリアはフォトグラファー専用。のんびり眺めるというより、みんな撮影に必死です。砂のオレンジ色のグラデーションはなんともいえない色で、岩が内部から発光しているような躍動感があります。

光をさらに際立てようとガイドが砂を撒き始めたところ、フォトグラファーたちからブーイングが起きました。すでに光は十分すぎるほど力強く、撮影には申し分ない光量です。

自然が作り上げた奇跡に、ただ拍手を贈りたい。

観光客の密集ぶりはなかなかのもので、ガイドも自分の客の位置を把握しながら動くのは大変そうです。「早く早く」「右によってください」という日本語を連発しながら、ほかの観光客を誘導していました。撮影場所として確保されていないエリアでは、必ず誰かが写り込んでしまうほどの人数です。

人が増えすぎた後半は、ほぼ上部の撮影に集中。水が作り出した曲線美は柔らかそうに見えますが、実際に触れると硬く、砂がこぼれることもありません。
絵になる光の時間はわずかです。先ほど一番良かったポイントに戻るともう光が変わっていて、絵になりません。

12時30分、ようやく入口へ戻ってきました。内部にいた時間は1時間50分。2時間近くいたとは思えないほど、あっという間の出来事でした。

台湾人カップルの女性と、最後まで撮影に夢中になっていたところ、ガイドが少々お怒り気味。みんな車に乗って待ちぼうけにさせてしまいました。ごめんなさい。
撮影スポットを順に移動しながら、さまざまな写真が撮れて大満足。通常ツアーよりもフォトグラファーツアーの方が、断然価値があります。写真を撮らない人でも、スポットライトのような光をゆっくり眺めるだけで十分楽しめるので、おすすめです。
いっしょだった台湾人カップルは、2週間のアメリカ旅行の途中とのこと。アメリカ在住というわけでもないのに、英語がとても堪能。難しい説明をわかりやすく噛み砕いてくれたり、誘導してくれたりと、ほんとうにありがたい存在でした。台湾人への好感度がかなりアップした出来事です。
一方で、ガイドの英語が聞き取れない場面が多く、もっと勉強しなければと痛感させられました。
