
キャピトルリーフ国立公園を出てもしばらくはUT-24(ユタ州道24号線)沿いにダイナミックな景観が続く。

国立公園エリアを抜けると、数軒のホテルとガソリンスタンドが現れた。国立公園内は施設に規制があるのだろうか。時間を節約したかったので、併設のショップでサンドイッチを買い、ドライブしながら昼食を済ませた。
UT-12(ユタ州道12号線)

トーリー(Torrey)という小さな町で左折すると、UT-24からUT-12(ユタ州道12号線)に変わる。このUT-12もシーニック・バイウェイに登録されている景色の良い道路で、さらにアメリカ全土のベスト10に入るほどの絶景ルートらしい。
ただ峠を越えるルートで、晴れていれば最高の景色が望めそうだが、峠には残雪の様子も。さっきまでの晴天が嘘のようになり、雪が降っているようにしか見えない。

緩やかな登りが続きます。
ラーブ・ホロウ展望台(Larb Hollow Overlook)からは、左にマウント・エレン(3,512m)、右にサウス・サミット・リッジ(3,480m)、さらに離れた右手にペネル山(3,466m)が見渡せる。あの山々の手前にキャピトルリーフがある。車を降りると、空気の冷たさに思わずびっくりした。

さらに標高を上げていく。道路わきには残雪が増え、ポプラの木も枝だけになってきた。まさに高原ドライブの雰囲気。

まさかの冬景色に変わった。UT-12がボルダー山(Boulder Mountain)を越えるこの峠の最高地点は標高2,928m。外の気温は華氏25度、摂氏マイナス4度。そりゃ、雪がたっぷり残っているはず。

そしてとうとう雪が降ってきた。フェニックスで真夏のような暑さを体験したのが、まるで嘘のよう。この旅で、夏から冬まですべての季節を体験することができた。

峠を下ると、小さなボルダー(Boulder)の町。その背景には独特の岩肌をしたメサが現れてきた。さすがベスト10に選ばれるだけあって、変化に富んでいる。
グランドステアケース・エスカランテ国立公園へ

道路がメサの尾根を通るようになると、両サイドに広大な眺望が開けてきた。このエリアはグランドステアケース・エスカランテ国立公園(Grand Staircase-Escalante National Monument)。名前のとおり地層が巨大な階段状に連なり、アメリカ最大級の国立公園のひとつ。

右手にはカフ・クリーク(Calf Creek)が流れる渓谷が続き、道路は渓谷と並走しながら下っていく。

長い年月をかけて削り出されたその地形には、ここでも幾重もの地層の変化が見ることができる。

車を降りて眺めたくなる風景が次々と続く。左手にはボルダー川が作った渓谷があり、道路はずっと尾根伝いに走る。まるでずっと展望台の上を走り続けているような、眺めのよい道路だ。天気が悪かったのが惜しいが、それでも壮大な風景。

カフ・クリークの高さまで下ってくると、川は先へ下っていくのに地層は水平なまま。この渓谷が水によって削られたことは明らかだが、現在流れている水の量からは、これほど大きな渓谷を作り上げたとは想像しがたい。

さらに下ると、さきほど上から見えていたカフ・クリークの一番下の赤茶色の地層がちょうど真横に現れた。とうとう川底まで下ってきたようだ。

メサの斜面を縫うように蛇行しながら下るUT-12。すごい場所に道路を作ったものだと思わずにいられない。

坂を登りきったところに、ヘッド・オブ・ザ・ロックス展望台(Head of the Rocks Overlook)があった。ここまで通ってきた道が一望でき、白っぽい岩肌のメサが広がる雄大な風景。この白い岩はナバホ砂岩で、約1億8,000万年前の砂丘が長い年月をかけて固まったもの。景色だけでなく、その歴史もまた壮大だ。

岩肌と地面の色が似ているためわかりにくいが、座っている後ろはかなりの崖。恐怖心で立ち上がることができなかった。

展望台の看板には「The Last Frontier(最後の開拓地)」の文字。広大なグランドステアケース・エスカランテ国立公園は、アメリカでも最も孤立した地域のひとつで、ほとんどのエリアが手つかずのまま自然の姿を残しているとされています。まさにラストフロンティアという言葉がふさわしい。

登った分だけ、道路はまた下っていく。そしてまた景色ががらりと変わった。
左から伸びてくる断崖は、まさにグランドステアケース。ミルフィーユのように美しい地層が水平に連なっている。
エスカランテの町に近づくにつれ、制限速度が数段階に分けて下がっていく。このようなケースは多く、アメリカの道路の制限速度は住民への配慮を感じた。

階段状の段丘の合間、川に侵食された平地を縫うように道が続く。

淡い抹茶のような緑色の景色に変わり、正面にはまた壁のような段丘が立ちはだかっている。頂上部分がほんとうに平ら。後からGoogle マップの衛星写真で確認したが、驚くほど平坦だった。今回は左にカーブしてこの段丘を避けるルートだったが、上に登るルートもあった。

絶えず変わりゆく風景に、ただ見とれるばかり。大地の色、植生する樹木、そして天気までもが変わり続けた。
さすがアメリカベスト10に選ばれる道なだけのことはある。UT-12(ユタ州道12号線)の大半がグランドステアケース・エスカランテ国立公園を通っているのだから、それも納得。
UT-12に入ってからは天気が良くなかった。複雑な山岳地形が雲を生み出していたのだろう。ただ旅行中で天気が悪かったのはこの区間だけだったので、贅沢はいえないな。

岩の尖塔が目立つようになってきた。ブライスキャニオン国立公園(Bryce Canyon National Park)はもうすぐそこだ。
