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vol.07 奇岩の宝庫アーチーズ国立公園【2011 アメリカ】

さすがに朝食を抜いたまま午後2時半になっていました。それほど動き回ったわけではないけれど、早朝から起きていたのでかなりの空腹。ピザハットの看板が目に入ったので、早速お店へ。

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昼のピークを過ぎていたので、店内はがらんとしていました。前日の昼食はKFCで、2日続けて日本でもおなじみのチェーン店です。それでも空腹時に失敗はしたくないので、勝手のわかっているお店はありがたい存在。

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ランチセットを注文。9ドル(765円)。サラダはバイキング形式で、好きなものをとることができます。シーザーサラダ風に仕上げてみました。

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ピザは硬いパン生地タイプで、具はオーソドックスなものをチョイス。空腹だったこともあり、かなり美味しく感じました。ジョッキサイズのソフトドリンクがついてましたが、この価格は円高でなければランチとしては少々高めかもしれません。

店内が空いていたのも、値段の高さが影響しているのかも。ただボリュームはたっぷりで、お腹いっぱいになりました。あれだけ空腹だったのに、アメリカンサイズでちょうどよかったくらいです。

INCA INN

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モアブの北エリアにあるINCA INNへ。すぐ裏に岩山が迫る、ロケーションのいい宿です。モニュメントバレーのザ・ビューホテルやグランドキャニオン周辺の宿が予約しにくいことはガイドブックでもよく紹介されていますが、このモアブも同様に予約の取りにくい状態でした。アーチーズ国立公園の人気上昇に対して、小さなモアブの街では宿泊施設が追いついていないようです。

今回の旅行でいちばん小さい部屋でしたが、120ドル(10,200円)とわりと強気な価格設定。施設的にはモーテルに近い造りで、本来なら最も安い部類のはず。それでも需要が高ければ価格も上がるもので、この日も満室の張り紙が出ていました。

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チェックインは入り口で車を停め、受付で鍵を受け取るスタイル。そのまま部屋の前まで車で移動できるので、荷物の運搬は最短距離で済みます。これはモーテル形式の便利なところ。駐車場には高そうなクラシックカーが数台並んでいて、いつも以上に駐車に気を使いました。

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部屋はドアを開けるとすぐベッド。椅子は1台あるものの、ゆっくり寛げるスペースはなく、シャワーもバスタブなし。窓は1面だけで、通路に面しているためほぼカーテンを閉めたまま。今回の旅でいちばん狭かったのは確かです。

まだ午後3時過ぎ。この時期のモアブ周辺は夕暮れが午後8時を回るので、時間には余裕がありました。シャワーを浴びて、1時間弱ほど仮眠をとることに。しかしこの1時間が、後になって大きく響いてくることになります。

アーチーズ国立公園へ

アーチーズ国立公園のゲートまでは、モアブの町から10分ほど。

アメリカの国立公園は、入場の際に料金が必要です。アーチーズは当時10ドル(850円)でしたが、多くの公園では1カ所あたり25ドル(2,125円)が標準的な価格。

そこで活躍するのが、アニュアルパスです。80ドル(6,800円)で1年間有効で、車両登録ではなく運転手1名のサインで発行されるため、レンタカーでも、別の機会に使うことも可能。しかもアメリカ全土の国立公園で利用できるという太っ腹な仕様です。

今回の旅ではアーチーズのあとにザイオン・ブライスキャニオン・グランドキャニオンをまわる予定なので、4カ所の通常料金を合計すると85ドル(7,225円)。パスとの差額はわずか5ドル(425円)で、ギリギリ得という計算でしたが、せっかくなので購入しました。

Annual Pass
http://store.usgs.gov/pass/index.html

ゲートでアニュアルパスを購入。公園内に入ると、岩壁沿いのクネクネとした急勾配を登っていきます。

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登りきると岩山の間を縫うように道が続きますが、前方に広がる赤い岩に思わず目が止まりました。

なんじゃこりゃ……。

らくだのように見える、薄くて大きな岩。しかしこれが何の名所でもないというのが、アーチーズ国立公園の凄さの始まりでした。

まさに摩天楼、Park Avenue

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公園内にはいくつかのトレイルが設けられていて、歩きながら岩のオブジェを見学できるようになっています。

入り口から一番近い「Park Avenue Trail」は、片道1マイル(1.6km)、標高差98mのトレイル。車で来た場合は単純に往復になるため、正直ためらっていました。結構長いし、往復は嫌だな……と思いながら、とりあえず展望できる場所まで行ってみると。

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唖然としてしまいました。アーチーズにそれほど期待していなかっただけに、驚きもひとしお。

両サイドから迫ってくる、高さ100mを超えるともいわれるフィンと呼ばれる薄い岩の迫力は圧巻です。これらがマンハッタンの高層ビル群のように見えたことから、ニューヨークの目抜き通りの名がつけられたそうですが、本家に負けない大迫力。

このフィンは、地下深くに堆積した塩の層(パラドックス層)が地殻の圧力で流動し、上部の砂岩に亀裂を入れたことで生まれたとされています。その後、水や氷の侵食、風による砂の吹き飛ばしが長い時間をかけて岩を削り、薄く板状の壁が立ち並ぶ景観が形成されたとのこと。素材となっているのは、約1億5,000万年前の砂丘が固まったエントラダ・サンドストーン。その同じ岩がアーチの原料にもなっています。

これは歩かなければ。モアブの町では暖かかったけれど、ここは少し標高が上がるぶん風が冷たく吹いています。車に戻って上着を羽織り、いざ出発。

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左側、一番手前の岩は、長い帽子をかぶった人間と、蛇のような顔をした動物が向かい合っているように見えます。どちらかというとチェスの駒にも見えるかな。あの後部の大きさはエイリアン?

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アイスキャンディーのような、きりたんぽのような……もっと豊かな想像力がほしいところです。

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駐車場から階段で降りてきて見上げると、迫力がさらに増します。四方を高い岩壁に囲まれているせいか、箱庭を歩いているような不思議な感覚も。

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フィンは高さのわりに厚みがない……この部分だと高さ50mに対して、厚さ3〜4mといったところでしょうか。根元には切れ目まで入っています。今にも倒れそうで少し怖い。

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2つの岩の間には細い隙間が入っています。まるで2匹の犬が寄り添っているようにも見えますが、そうなると少し近づきすぎでは?と笑えてきます。この2匹も、侵食が進めばいずれ離れていくのでしょう。

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トレイルが砂地から岩場に変わると、岩の割れ目に低木が根を張っているのが目に入ります。自然のたくましさを垣間見る瞬間。

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Courthouse Towers。セドナにもCourthouseと名のつく岩山がありましたが、裁判所という名は形だけでなく、威厳を感じるものに対してつけられるのかもしれません。左からThree Gossips、正面にTower of Babel、右にThe Organ。ここまで来ると、足元に大きな岩がごろごろと落ちています。

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Three Gossips。3人が寄り添って噂話をしているように見えることからついた名前だそうです。左の岩の形、さきほどの人間っぽい岩と似ている気がします。

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The Organ。オルガンには見えないけれど、角度によるのでしょうか。左下に人が歩いているので、ぜひスケールを比較してみてください。

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もう少し歩くと道路に出て、駐車場になるようなので折り返します。ここから見る風景も、またビル群のよう。帰りは登りになりますが、見える景色がまったく違うので飽きませんでした。

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The Organ。グランドピアノには見えるかな……。

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下から登っていくと、歩いている場所がかつて水の流れた跡だということがよくわかります。岩から削られた土砂や風で集まった砂が両サイドに堆積していて、中央部だけ岩場になっています。アーチーズの年間降水量は200mm程度と少ないものの、いったん雨が降ると水がたまる場所が少ないため、一気に流れやすいのでしょう。

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水の通り道だけが、侵食されています。

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薄い地層が幾重にも重なり、まさにお菓子のミルフィーユ。一見崩れやすそうに見えますが、触れてみてもそう簡単には崩れませんでした。

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一番低い部分は水が磨耗したのでしょうか。地層が美しい模様になっていて、まるでサンドアートのよう。

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ただの枯れ木なのですが、いいスタイルをしていたので思わず撮ってしまいました。人が踊っているように見えませんか?

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Park Avenueのトレイルを振り返ります。階段を登ればスタート地点。出発してから1時間少しオーバーして戻ってきましたが、往復3km程度にしては見どころが多く、時間がかかりすぎたようです。

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Park Avenueは本当によかった。完全にギャップでやられました。他の国立公園の見どころや、アーチーズ内の別のポイントはガイドブックでもよく紹介されていて、すごいことは想像できていた。でもここは完全に意外性での一撃。

アーチーズ国立公園が人気急上昇なのも納得です。

「本当に来てよかった」

何度もつぶやきながら、トレイルを歩いていました。

Courthouse Towers

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Park Avenueのトレイルを歩き終えると、Courthouse Towersのビューポイントへ。トレイルから見ていた岩たちが、今度は正面から迫ってきます。左にThree Gossips、正面にTower of Babel、右にThe Organ。そしてThree GossipsとTower of Babelの間の岩の後ろに、Sheep Rockがあります。

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ビューポイントには案内板が立っていて、アーチの生まれと終わりを解説しています。Sheep Rockはかつてのアーチが崩落した残骸とされていて、高さは約134m。かつてはここにもアーチが広がっていたということです。いつ頃まであったのかは記されていませんでしたが、かなり昔に崩れたのでしょう。ぜひ現存しているところを見てみたかった。

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羊っぽいというより、見ていると羊に見えてくる。そんな表現がしっくりきます。なお案内板によると、Sheep Rockの左の岩壁にはBaby Archという小さなアーチが今も残っているとのことでした。

アーチーズ・ナショナル・パーク・ロードをドライブ

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The Great Wall。文字通り、巨大な壁が目の前に立ちはだかります。

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Petrified Dunes。石化した砂山がぽこぽこと連なり、まるで砂漠のような風景。はるか昔の砂丘がそのままの形で岩になった地形で、アーチーズの大地の長い歴史を感じさせます。遠くに見えるのはラ・サル山脈。最高峰のマウント・ピールは標高3,877mで、富士山(3,776m)をしのぐ高さです。

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Rock Pinnacleエリア。まるで自然の美術館のように、岩の尖塔が立ち並びます。特にビューポイントが設けられているわけではないのですが、気になる岩が次々と目に飛び込んできます。正面少し左の岩、スヌーピーに見えませんか?

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こちらも犬っぽい。むしろこっちのほうがスヌーピーらしいかも。右奥はスフィンクス……というより、体が亀っぽいような。いくら見ていても飽きません。

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Balanced Rock。高さ39m。見事としか言いようがありません。実はかつては隣に「Chip-Off-the-Old-Block」という相棒のような小さな岩があったのですが、1975〜76年の冬に侵食に耐えきれず崩れ落ちたそうです。このBalanced Rockが見えなくなる日も、意外と近いのかもしれません。

エントランスからここまで約15km。アーチーズ国立公園は、アメリカの国立公園としては規模が小さいほうだそうですが、思っていたより広い。

The Windows Section

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The Windows Sectionへ向かう道。わずか4kmですが、周りの岩山に圧倒されながら進みます。

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中央よりやや左に、Parade of Elephants。なんとなく見えないこともないかな……。そして雲行きが少し怪しくなってきました。今日は夕陽鑑賞も予定しているだけに、なんとか回復してほしいところです。

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トレイルの入口に「How Arches Are Formed」と題された案内板が立っています。どのようにしてアーチができるのか。その過程が4段階の図解で説明されています。

①1億5,000万年以上前、この地に砂が堆積してエントラダ・サンドストーンが形成されました。その後、地殻の隆起と沈降が繰り返されたことで、地中深く埋まっていた厚さ約91mの砂岩層に大きな亀裂が入ります。

②上部の地層が侵食されて砂岩が地表に露出すると、亀裂が少しずつ広がり、板状の岩の壁——フィンが生まれました。

③次に雨水がフィンの砂粒をつなぎとめている天然のセメント(炭酸カルシウム)を少しずつ溶かし始めます。さらに亀裂に入り込んだ水が凍ると膨張し、岩を内側から押し広げます。この繰り返しで砂岩が剥がれ落ち、やがてフィンに穴が開いてアーチが誕生。

④そして案内板はこう締めくくっています。アーチを生み出したのと同じ力が、いずれアーチを破壊する、と。

Windows Trails

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18時20分、Windows Trailsへ。全長1.8kmのトレイルに2コースありますが、最初に車を停めたのがたまたまNorth Window・South Window側だったので、そのままこちらのコースへ。

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日差しが少し戻ってきたものの、風が強くてかなり寒い。Tシャツにショートパンツの欧米人がいましたが、さすがにポケットに手を突っ込んでいたので、寒さはこたえていたようです。

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駐車場からすぐ近くに見えたのですが、実際には1km近くありました。近づいてみると、これが意外なほど大きい。North Windowは横幅28m、高さ16m。アーチというより窓という表現がぴったりです。

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さあ、アーチの中へ!

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ちょうど窓の反対側から、冷たくて強い風が吹き抜けてきます。みんな身を縮めるようにして記念撮影。

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見た目には頑丈そうな天井部も、近づいてみると大きな空洞ができています。ここもいつかは崩れていくのでしょう。それがアーチーズのライフサイクル。

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South Windowは近づくことができませんが、横幅32m、高さ20mとNorthより一回り大きなサイズです。

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Turret Arch。横幅12m、高さ20m。

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Turret Archの位置からだと、North WindowとSouth Windowが同時に見渡せます。この2つは「The Spectacles(めがね)」とも呼ばれていて、2つのアーチをつなぐ中央の岩はNose Bridge(鼻の橋)という名前がついています。なるほど、真ん中の岩がちょうど鼻ですね。

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向こうに見える岩山の中にDouble Archがありますが、今日はどうしてもアーチーズ国立公園最大の見せ場であるDelicate Archで夕陽を見たい。約10kmの移動と駐車スペースの確保、そして長いトレイルを考えると、これ以上Windows Sectionに滞在する時間はないと判断。泣く泣く諦めます。

Delicate Archへ

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Devils Gardenへ続く道から右折し、Delicate Archへ向かいます。

Arches N.P.

赤茶けた景色が続くと思っていたら、抹茶のような緑色の丘陵地帯が突然現れました。地層が変わるだけで、植生もここまで変わるのか。

Delicate Arch Trail

心配していた駐車場は混雑していませんでした。夕陽の名所ではあるものの、見終わって戻るとかなり遅い時間になるため、思い切って来る人は実際それほど多くないのかもしれません。

Delicate Arch Trail。片道2.4km、高低差146m。
たったひとつのアーチを見るために、往復5km弱を歩きます。午後7時スタート。夕暮れが午後8時すぎとはいえ、こんな時間から歩き始めて間に合うのか……。

Delicate Arch Trail

Delicate Arch Trail

トレイルを歩き始めて振り返ると、谷間の向こうにWindows Sectionが見えました。アーチ状の岩も確認できます。

Delicate Arch Trail

最初は整備された道。正面には、これから登っていく大きな一枚岩がはるか先に見えています。想像以上に大きく、遠い。人間が豆粒ほどにしか見えません。

Delicate Arch Trail

Delicate Archの南側は渓谷になっていて、地層がむき出しになっています。歩きながら地層の変化や色の移り変わりを眺めているので、退屈しません。

Delicate Arch Trail

中盤に差し掛かると、平らな一枚岩の上を歩き始めます。トレイル全体の4分の1ほどを占める大きな岩場で、全体的になだらかに盛り上がっているため、目指す方向が見えません。

Delicate Arch Trail

ケルン(積み石)を頼りに歩いていきます。夏の日中はかなりの高温になりそう。

Delicate Arch Trail

だいぶ岩場を歩いてきました。振り返ると、西日に照らされた一枚岩が輝いています。なんとんでもない場所に来てしまったような……地球上ではないような感覚を覚えます。

Delicate Arch Trail

一枚岩が終わると、今度は起伏のある岩場の間を縫うように進みます。もうそろそろ着くはずと思っていたのに、意外と長い。日差しはまだ残っているものの、太陽が沈んでしまわないか気が気ではありません。細かい砂の上を歩いているので、かつて水が流れていた場所を歩いているのでしょう。

Delicate Arch Trail

猿の惑星に出てきそうな、地球創世記のような場所。ここも1つの岩から形成されているようです。Delicate Archはまだ見えてきません。しかも太陽が陰り始め、周囲が暗くなってきました。戻ってくる人も増えてきます。

Delicate Arch Trail

崖沿いの岩棚トレイルをしばらく歩きます。NPS(国立公園局)も注意を促すほどの区間で、滑落したら危険ですが、やはり柵は何もありません。前方に人がたくさん集まっています。さすがに着いたのでしょうか……。

Delicate Arch、奇跡の夕陽

Delicate Arch

これを本当に自然が作ったのか。1時間弱歩いてきてようやく対面できた。しかもトレイルの途中では一度も姿を見せず、最後の最後でいきなり目の前に現れたDelicate Arch。この演出が素晴らしすぎる。

アーチ全体の高さは約16m、開口部は高さ約14m・幅約10m。横にいる人と比べると、そのスケールが実感できます。4〜5階建てのビルに相当する高さ。

夕陽に照らされるDelicate Archを見たかったな……

Delicate Arch

と思っていると、突然、西日がアーチを照らし出しました。

さらに素晴らしい演出。こんなに幸運でいいのでしょうか。周りにはカメラマンたちがスタンバイしていて、夕陽が差し込むたびに一斉にシャッター音が鳴り響きます。

Delicate Arch Trail

Delicate Archだけに目を奪われてしまいますが、周囲にも素晴らしい風景が広がっています。

Delicate Arch

カメラマンたちの撮影がひと段落すると、アーチの下で記念撮影する人がちらほら。せっかくなので、真下まで行ってきました。長居するのも悪いので、写真を撮ったらすぐに移動。

この形、見れば見るほど人の下半身に見えてきます。ガンダムの身長が18mで、Delicate Archが約16m。もしかするとガンダムの下半身とほぼ同じ大きさかもしれません。いっそジオングの足ということにしては?

Delicate Arch

大半の人は帰ってしまいました。高台で風がよく当たる場所にあるうえ、太陽も沈んでかなり冷え込んできました。それでもこの風景を前にすると、なかなか立ち去れません。

Delicate Archの手前はボウル状のくぼ地になっていて、反対側は崖になって落ち込んでいます。本当によくこの形が残っていたものだと、自然の大きさというより、自然の絶妙さに驚かされます。

Delicateという言葉には、繊細な、優美な、壊れやすい、精巧な……といった意味があります。どれもこのアーチにぴったり当てはまります。

Delicate Arch

しばらく粘っていると、遠くに見えるラ・サル山脈が夕陽に照らし出されました。寒い中、しつこく残っていた甲斐がありました。刻一刻と変わるDelicate Archの夕景に、魅了され続けた時間でした。

20時05分。あれほど多かった人も、気づけば数人だけ。さすがに帰路につかなければならない時間です。

Delicate Arch Trail

良い景色を見られた感動のせいか、長い帰り道もとても気分よく歩けました。予想通り日が暮れて、後半は真っ暗の中を歩きましたが、ヘッドランプを用意していたので問題なし。

車に戻り、シルエットになった奇岩を眺めながら、モアブの町へ。

Wendy’s

モアブの町に着いたのは21時30分。まともなレストランはそろそろ閉店しそうな時間なので、Wendy’sに入りました。2009年末に日本から全店撤退したチェーンで、懐かしさもあります。

Wendy's

寝る直前の時間帯でしたが、とにかくお腹がすいていたので盛りだくさんに注文。ベーコネーター・ダブル・コンボ(6.99ドル・595円)はハンバーガーが絶品でした。肉肉しい粗挽きのパテが特に最高。なぜ日本から撤退しなければならなかったのか、不思議なくらいの美味しさで、マクドナルドより何倍も美味しく感じました。遅い時間にもかかわらず、店内はそこそこ賑わっていました。

Wendy's

Wendy’sといえばベイクドポテトが印象に残っていて、つい注文してしまいました。ほくほくのベイクドポテトにチリビーンズとチーズをのせたもので3.09ドル(265円)。シンプルな味で美味しいのですが、ハンバーガーのセットを食べたあとではさすがに満腹できつかった。

アーチーズ国立公園は変化に富んでいて、本当におもしろい場所でした。翌朝さらにいくつかのアーチを見に行く予定でしたが、公園入口から再び同じ道をしばらく走る必要があり、断念。2日連続で朝日鑑賞が続いていたので、翌朝はゆっくり起きたいというのが正直なところでもありました。

それでも今日は、モニュメントバレーの朝日から始まり、Delicate Archの夕陽で締めくくった、充実した最高の一日でした。