vol.5 かつての本州の玄関口宇野へ【2025 香川】

予報より早く天気が崩れ、午後から夕方にかけては空模様が悪くなるらしい。とはいえ雨が降るわけではないのだが、屋島に登って夕焼けと夜景を撮るつもりだったので、少し悩ましいところ。

高松から遠くなった宇野へ

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11:33 栗林公園北口駅

栗林公園北口駅11:31 → 高松駅11:37
普通・高松行き

先行する特急が遅れていた影響で、普通列車も2分遅れで到着。栗林公園北口から高松までは2駅だけの短い乗車。高松駅近郊ということもあって利用者は多く、車内はやや混雑していた。

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高松駅12:10→茶屋町駅12:48 快速マリンライナー30号・岡山行き

高松駅から宇野駅へ向かう。
かつてはそれぞれに港があり、高松から宇高連絡船でおよそ1時間。海を渡れば、そのまま本州の玄関口である宇野駅だった。

いまは瀬戸大橋の開通によって、鉄道で直接本州へ渡れるようになり、高松〜岡山間の所要時間は30分以上短縮されている。
一方で宇野へ行くには、茶屋町で乗り換えが必要で、待ち時間も含めると1時間20分ほどかかる。

かつて多くの人が行き交った玄関口も、ルートが変わればその役割を失っていく。
少し不便になったその場所が、いまどのようになっているのか。

それを見てみたくなり、向かうことにした。

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雲が増えてしまったなあ。

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マリンライナー岡山行きの先頭は普通車。前面の眺めが楽しめるよう、運転席と客室の間の窓が大きく取られている。運転士は窓を全開にして風を受けながら運転しており、その様子がなんとも気持ちよさそうで、少し羨ましくなる。

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線路は全体的に左右にゆとりがある。これは新幹線と在来線が走行できるよう、複々線を想定して整備されたためだ。たしか左(西)側に新幹線を通す計画だったと記憶しているが、実際に左側のスペースが広く取られているようにも見える。ただ、四国新幹線がここを走る未来はあるのだろうか。

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曇ってはしまったけれど、透明度の高い瀬戸内海は健在だった。

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岡山県・下津井の港町。1990年までは茶屋町駅との間に下津井電鉄という私鉄が走っていた。宇野港よりも前の時代、この下津井が岡山から四国への玄関口として賑わっていたのだろう。ルートの移り変わりによって、翻弄されてきた町は少なくない。これから向かう宇野駅も、そのひとつなのだと思う。

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茶屋町駅

茶屋町駅13:11→宇野駅13:35

茶屋町駅は2面3線の構造で、中央のホームに宇野方面の列車が発着する。そのため、岡山方面・高松方面のどちらから来ても、ホームを移動せずに乗り換えができるようになっている。大阪でいうと、西九条駅からUSJ方面へ分岐する構造に近い。

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八浜駅。観光列車「La Malle de Bois」の運行にあわせて行われた「JR宇野みなと線アートプロジェクト」の一環として、デザインされた駅。

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宇野駅

終点、宇野駅に到着。インバウンドの割合がかなり高いようで、大きなスーツケースを引いた欧米人の姿が目立つ。瀬戸内国際芸術祭の開催期間中に来なくてよかった思う。宇野駅に来ているということは、これから直島へ向かうのだろう。

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宇野駅構内のインフォメーションセンター

アートへの玄関口、宇野駅

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こちらも「JR宇野みなと線アートプロジェクト」の一環でデザインされたものだ。
アイスクリームの森永製菓「パリパリバー」を思い浮かべてしまった。宇野駅周辺にはアート作品が点在しているようなので、散策しながら見ていこうと思う。

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かつての本州四国連絡の拠点

宇野駅は1910年、宇野線の終着駅として開業した。同年に宇野―高松間の宇高連絡船が就航し、本州と四国を結ぶ鉄道連絡の拠点となる。

瀬戸内海を挟んで四国へ向かう旅客と貨物は、いったん宇野駅に集まった。東京や大阪方面からの特急列車や寝台列車も宇野まで運転され、複数のホームと貨物ヤードを擁する大きな駅だった。

旅客は宇野駅で列車を降り、徒歩で桟橋へ向かい、連絡船に乗り換える。一方で貨物は、宇高連絡船の船内に敷設された線路を使って、貨車ごとそのまま船に積み込まれ、高松へと運ばれていた。

役割を終えた玄関口

1988年、瀬戸大橋の開通により本州と四国は鉄道で直接結ばれた。これに伴い宇高連絡船は廃止され、宇野駅が担ってきた本四連絡の中継機能は終了する。長距離列車の発着もなくなり、駅構内の規模は縮小。かつて本州と四国を結ぶ要衝だった宇野駅は、その役割を大きく変えることになった。

現在の宇野駅周辺はコンパクトになり、当時の面影を感じるのは難しい。

宇高連絡船の記憶
宇高連絡船には、子どものころに乗ったことがある。宇野駅に列車が到着すると、乗客がいっせいに階段へ向かい、陸橋を渡って船へと流れ込んでいく。まさに民族大移動だった。帰りは、現在では珍しいホーバークラフトが快速船として運行されていて、貴重な乗船体験となった。。

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プシュー。

駅前の道路を渡ると、突然現れる「愛の女神像」。インド人彫刻家による作品で、玉野市の「七つの女神像プロジェクト」の一環として、2002年に設置されたものらしい。ミストが噴き出しているが、維持費はそれなりにかかりそうだ。

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第1回「瀬戸内国際芸術祭2010」で展示された「宇野のチヌ」。宇野港や児島湾で採集された漂流物を使って作られている。ほかのアート作品はいまひとつピンと来なかったが、これは素直に面白いと感じた。

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こちらは2016年に展示された「児島コチヌ」。口から内部に入ることができるようになっている。

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近くで見るとなかなかインパクトが強い。遠くから見たときとのギャップが大きく、こういうアートは嫌いではない。

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「船底の記憶….」2013。ノルウェー船のスクリューに鉄パーツを取り付けた作品らしい。こういうのは、正直よくわからない。

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カードゲームみたいな「UNO」のオブジェ。海を背景にしたフォトスポットとして設置されているのだと思うが、せっかくならフェンスの向こう側に設置したほうが、もっときれいに撮れそうな気もするのだが。

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今年2025年の作品「tower(UNO)」。これは正直、よくわからない。アートというのは、私のような凡人にはなかなか難しいものなのだろう。

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宇野港の対岸、2キロ弱のところにあるのが、アートで有名な直島。宇野港から直島・宮浦港までは約20分、1時間に1本ほど運航されている。片道300円と安いので、機会があれば訪れてみたい。アートはよくわからないが、百聞は一見に如かず、だしね。

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手前に寺島という島があるため少しわかりづらいが、直島の北端には三菱マテリアルをはじめとする工場群が広がっている。ここから見ているだけでは、直島がアートを売りに多くの観光客が訪れる島だとは、なかなか想像がつかない。

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前回、20年近く前に訪れたときは、まだ廃止前で、四国フェリー(旧宇高国道フェリー)に大人片道390円で乗船することができた。瀬戸大橋が開通する前は、フェリー8隻による24時間体制で、1日136便が運航されていたという。「昼も夜も19分ごと」というキャッチフレーズが、その当時の賑わいを物語っている。

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宇野駅は玉野市の玄関口だが、中心部はもう少し西側にある。駅の近くには、どこか雰囲気のいい商店街が続いている。地方では駅前でも衰退しがちな立地だが、ここはまだ活気が残っているように感じた。

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宇野駅14:41→茶屋町駅15:26 普通・茶屋町行き

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備前田井駅を出て左にカーブすると、車窓右側に広大な平野が広がる。このあたりは、児島湾を干拓してできた土地。いま見えているこの景色も、かつてはすべて海だったことになる。

そういえば、瀬戸大橋を渡る手前にある「児島(倉敷市)」という地名。もともとは独立した島だったそうだ。詳しくは岡山県の「児島湾干拓の歴史」を見るとわかりやすい。

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茶屋町駅では、岡山と四国方面を結ぶ特急が時速100キロ以上で通過していく。笑顔のアンパンマンがそのまま爆走していく。そのギャップがちょっと怖い。

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15:26 茶屋町駅

茶屋町駅15:26→高松駅16:05 快速マリンライナー41号・高松行き

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この旅で4回目の瀬戸大橋通過。これが最後の予定。やっぱり景色が良くて、つい見入ってしまう。何回乗ったら飽きるんだろうね。

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番の州の工場地帯。
煙突から立ち上る蒸気が白く際立って見える。曇り空のモノクロのような世界の中で、白い煙だけが強く印象に残った。

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16:05 高松駅

高松の商店街を歩き回る

高松駅に到着。
再び晴れ間が出てきたが、このあと天気は下り坂で、曇りに向かう予報。

屋島に登るプランはやめて、高松市中心部の商店街を歩き回ることにした。

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水手御門

高松駅のすぐ近くにあるのが高松城。
瀬戸内海に面して築かれた城で、海水を引き入れた堀を持つ「水城」として知られている。

高松城は現在「玉藻公園」として整備されている。
「玉藻」とは海藻の美しさを表す言葉で、このあたりの海が万葉集で「玉藻よし」と詠まれたことに由来している。

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高松城の堀沿いを走る琴平電鉄。城のすぐ脇にある高松築港駅を出ると、列車は堀の縁をなぞるように進み、水面にその姿を映しながら中心地の瓦町へ向かっていく。

高松市中央商店街

高松市中央商店街。8つの商店街がつながり、総延長は約2.7km。日本一長い商店街ともいわれている。

商店街というと、昭和に栄え、近年は郊外のスーパーマーケットや大型ショッピングモールに客を奪われ、衰退していく…。そんなイメージがある。実際に、そういう場所も多いと思う。ここ高松の商店街もかつては似たような状況だったらしいが、最近は盛り返してきているという。それなら、一度歩いてみたくなった。屋島に登るはずだった体力を使って、この長い商店街を端から端まで歩いてみることにした。

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商店街に隣接する、香川県唯一の百貨店「高松三越」。1931年に三越高松店として開業した、四国初の三越でもある。商店街に隣接する立地で、長く街の中心的な存在として機能してきた。

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高松中央郵便局前のポスト。ポケモンの「ヤドン」がデザインされている。「ヤドン」と「うどん」で名前が似ていることから、香川県のご当地ポケモンとして採用されているらしい。商店街にも隣接していて、立地的にも便利な場所にある。

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3つの商店街が交わる場所にある、高さ32mのクリスタルドーム。開放的なドーム広場から、南へ丸亀町商店街が伸びている。

高松丸亀町商店街(まるがめまち)

丸亀町商店街には高級ブランド店も入り、ほかの商店街と比べて、やや洗練された雰囲気がある。全国的に有名な再開発の成功例。高級ブランド店やおしゃれなカフェが集まる、香川随一のトレンド発信地。

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2012年にオープンした丸亀町グリーン。400年の歴史を持つ丸亀町商店街の再開発事業として、六本木ヒルズを手がけた森ビルグループが関わっているらしい。商業施設だけでなく、住宅やホテル、駐車場も一体的に整備されており、アーケード商店街と連携した運用で、商店街の活性化に一役買っているみたい。

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商業施設だけでなく、住宅やホテル、駐車場も一体的に整備されており、アーケード商店街と連携した運用で、商店街の活性化に一役買っているみたい。

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ここから先、南新町商店街に入ると、雰囲気はぐっと庶民的でローカルなものになる。
個人的には、こちらのほうが落ち着く。

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庶民的なドラッグストアや100円ショップ、リーズナブルな飲食店が多い。

丸亀町商店街以外では、自転車の通行が認められており、これも高松市の商店街が復活してきた理由のひとつなのだろう。地元の人が日常的に行き交うことで、にぎわいが保たれているように感じる。

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田町商店街のマスコットのようだ。
自転車に乗ったキャラクターで、「自転車は徐行」という案内も兼ねているらしい。

商店街の最南端に位置する田町商店街。入口には、スーパーマーケットのマルナカ田町店があり、生活に密着した雰囲気がある。昔ながらの呉服店や仏壇店などが残るが、南端にあるだけに一番人通りは少なかった。

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アーケードの南端までやってきた。Googleマップで測ると、南北の長さは約1.24km。一本の長さで日本一といわれる大阪の天神橋筋商店街は約2.6km。それと比べると半分以下か…。だいぶ歩いたつもりだったけど。

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常磐町商店街の東端、その先にある琴電瓦町駅に直結する「瓦町FLAG」。10階建ての複合商業施設で、高松の繁華街の中心的な存在となっている。もともとは「コトデンそごう」や「高松天満屋」といった百貨店が入っていた場所で、その跡地に整備された施設だ。琴平電鉄が手がけている。館内にはファッションや飲食店がそろい、ほかのエリアと比べて若い人の姿が多い印象を受けた。「瓦町フラッグ

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瓦町FLAGの2階に琴電瓦町駅があり、ここから4方向へ路線が延びている琴平電鉄のターミナル駅ともなっている。こうして見ると、どこか都会的な雰囲気がある。

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ライオン通商店街は飲食店が密集する「高松の食のメインストリート」

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チェーン店が少なくて、大型の居酒屋もあまりなく、ちょうどよい店舗が多い印象。居酒屋以外にもうどん店、多国籍料理など魅力的なお店が多かった。ベトナム料理のお店が魅力的で入るか迷った…

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片原町商店街(かたはらまち)ことでん片原町駅に直結しており、地域住民の生活に密着したエリア。老舗の惣菜店や八百屋などが並び、どこか懐かしい下町の活気が感じられます。

忘れられなかったごま油の香り

北の玄関口である兵庫町商店街周辺には銀行やオフィスビルが多く、昔ながらの店構えで、安くてボリューム満点の食事を出す店が点在しています。「県産米」と書かれた新しい店舗が目にとまりました。うどんが飽きたわけじゃないんだが、そろそろ白いご飯を食べたくなってきたな…と思っていたところ

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「香川の食堂 まいしょく家」。地元企業が直営展開する地域密着型の定食屋。

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定食にしてはお値段高めかなと思ったのですが、昨日土庄港近くでごま油の香りをかいでから、頭から離れなかったのでこれにします…。

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かどやごま油のねぎ塩だれ豚焼肉定食(ごはん大)1,070円

ごま油が香る塩だれ味は食欲爆増させる。ごはんが固めに炊かれていて美味しくて、無我夢中で食べた。しかしごはんが予想より大盛りだったのに、豚肉は薄くてボリューム感がもうちょっと欲しかったかな…。ご飯だけが残りそうで心配でした。

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夕日は無理だろうとわかっていたけど、お腹いっぱいになったので、食後の散歩がてら、あなぶきホール近くの海までやってきました。

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JR高松駅ビルの「タカマツ・オルネ」が2024年に開業したのを皮切りに、サンポートエリアの風景はここ数年で劇的に変わりました。2025年4月から徳島文理大学の志度キャンパスが駅のすぐ北西に全面移転しました。約1,500人の学生や教職員が毎日駅周辺を行き来するようになり、兵庫町商店街やサンポート周辺の飲食店にも、若い世代の活気がよりプラスされています。

2025年2月にオープンした、中四国最大級の多目的施設です。最大1万人を収容できるため、これまでは岡山や広島まで行かなければ見られなかったような大規模なコンサートやスポーツ大会が、高松駅のすぐそばで開催されるようになりました。

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高松20:13→丸亀駅20:39 快速サンポート南風リレー号

3日連続で同じような時間に高松駅から丸亀駅へ帰ります。なんか通勤しているみたいな気分。今日は直通の快速列車で帰ります。

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今日でtabiwa岡山香川ワイドパスの有効期間が終了しました。

丸亀駅→引田駅 1640円、引田駅→栗林公園北口駅980円、栗林公園北口→宇野駅1670円、宇野駅→高松駅1,660円、高松駅→丸亀駅630円。

今日1日だけで合計6,580円。高い!さすがに普通に払っていたら、行ったり来たりの行動はしなかったでしょうけどね。これが1日あたり1,200円なのだから、tabiwaの周遊パスはほんとお得。というか神です!