2025 tabiwa広島|vol.2 酒蔵めぐりと造船:西条~呉編

目次
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忠海駅は代行バス運行時間は駅構内に入れないようになっていました。

早着の恩恵、忠海駅から西条駅へ

忠海13:25→三原13:57
呉線(代行バス)・三原行き

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この時間帯も引き続き代行バスが運行しており、忠海駅から三原駅へ向かいます。無人駅である忠海駅でしたが、JRの係員が待合室まで呼びに来てくださり、丁寧な対応のおかげでスムーズに乗車できました。今回の代行バスは、先ほど利用した芸陽バスとは異なり、JRバス中国の運行でした。

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くじらのように見える有竜島を横に目に代行バスはすすみます。国道185号線は海沿いを走り景色も楽しめましたが、途中からは高台を走る鉄道の方が眺めが良かったですね。最後の須波駅を定刻で出た後、代行バスは必殺徐行区間がないおかげか、信号のタイミングが良かったおかげか、三原駅には定刻より5分ほど早く到着しました。鉄道だとありえないケースです。

三原13:58→西条14:35
 山陽本線・岩国行き

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当初、山陽本線の下り(広島方面)への乗り換え時間が1分しかなく、さすがに不可能だと諦めていました。三原駅で名物のたこ飯でも食べようかと考えていたのですが、時間短縮のおかげで、そのまま三原駅から次の目的地である西条へ向かうことができました。三原から西方面へは日中1時間あたり1本しか運行がないため、これは大きな助けになりました。

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山陽本線沼田川に沿って進んでいきます。上には山陽自動車道が走り、そのすぐ近くには広島空港も位置しています。

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あいにくの天気で分かりにくいですが、赤い石州瓦の屋根が増えてくると、目的地の西条はもうすぐです。この石州瓦は、凍害に強く耐久性に優れているため、厳しい寒さに見舞われる西条地域で重宝されてきました。

三大酒どころ「西条」酒蔵めぐり

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西条駅は、東広島市の玄関口として機能しており、その立派な駅舎は白壁を模したデザインが特徴的です。東広島市は、広島県内で第3位の人口を誇る約19万8千人(2024年5月時点)の都市であり、西条駅はその中核を担っています。

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西条駅に到着しました。本来ならすぐにでも酒蔵巡りをしたい気分でしたが、空腹のまま試飲すると悪酔いしかねません。そのため、まずは駅前でカップラーメンを食べて、胃を整えることにしました。

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西条駅に降り立ったのは、他でもない日本三大酒どころの一つである西条で、念願の酒蔵巡りをするためです。以前にも訪れたことはあるのですが、その時はドライバーだったため、日本酒を味わうことはできませんでした。観光案内所で尋ねたところ、ほとんどの酒蔵で試飲が可能だとのこと。いよいよ楽しみになってきました。

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西条駅周辺には全部で7軒の酒蔵がありますが、そのうち6軒は駅の東側に集中して位置しています。これは、かつて西条盆地の地下水が豊富で、酒造りに適した水質の良い井戸がこのエリアに多く存在したことに起因するとも言われています。そのため、効率よく各酒蔵の個性的な日本酒を比較しながら楽しむことができます。

白牡丹酒造

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西条に点在する酒蔵の中でも、白牡丹酒造300年以上の歴史を刻む屈指の老舗です。その創業は1675年(延宝3年)。古書には、関ヶ原の戦いに敗れた島左近の次男、彦太郎忠正が西へとたどり着き、その孫の六郎兵衛晴正が酒造業を始めたという、伝承が残されています。長きにわたり、西条の酒造りの歴史を支えてきた存在と言えるでしょう。

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蔵の中では、外国人観光客が熱心に酒造りのビデオを鑑賞していました。西条は、広島の玄関口である広島駅から電車で約30分とアクセスが非常に良いため、広島観光とあわせて立ち寄る人が多いのでしょう。実際、今回酒蔵巡りで出会った訪問者の大半が欧米からの観光客で、改めて日本酒が世界的に評価されていることを実感しました。

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試飲システムはコイン式で、機械から注ぐ形式でした。味気なく感じてしまい、今回は1軒目ということもあり、パスすることに。次以降の酒蔵での試飲に期待を膨らませます。

西条鶴醸造

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西条鶴醸造は、1904年(明治37年)創業の、地域に根差した蔵元です。その屋号は、この地「西條」に、長寿を象徴する「鶴」を合わせて名付けられました。彼らが酒造りに用いるのは、江戸時代・天保年間から脈々と受け継がれる井戸水と、地元で丹精込めて育てられた米。これらを広島杜氏の熟練の技で丁寧に仕込むことで、小さな蔵ならではの繊細かつ個性豊かな地酒が生まれています。

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西条鶴醸造の酒造りを支えるのは、江戸時代天保年間に掘り当てられたという由緒ある井戸水です。この水は、西条盆地特有の軟水であり、酒米の旨味を最大限に引き出しながら、キメ細やかで口当たりの良い日本酒を醸し出す上で不可欠な要素となっています。

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お酒販売・試飲コーナーは、外国人グループで大変賑わっていました。彼らが英語による案内を受けていた様子から、外国人観光客向けのガイドツアーが行われているようでしたね。後で確認したところ、私が訪れた月曜日にも、まさに『西条の試飲ガイドツアー(英語)』というツアーが設定されており、試飲込みで7,700円という料金でした。日本人にとってはやや高価に感じられますが、物価水準の高い欧米の観光客にとっては、むしろ手頃な価格として受け入れられているのかもしれません。しかし、こちらの試飲も機械方式だったこと、そしてグループの賑わいに気後れしてしまい、残念ながら今回は見送ることにしました。『西条の試飲ガイドツアー(英語)

亀齢酒造

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亀齢酒造は、明治中期に創業した歴史ある蔵元です。「鶴は千年、亀は万年」という言葉から、長命と永遠の繁栄を願って「亀齢」と名付けられました。かつては「吉田屋の酒」として親しまれ、西条酒の中でも特に辛口ですっきりとした味わいが特徴です。

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暖簾をくぐると、まるでお土産物屋さんのような雰囲気で、正直なところ、あまり酒蔵らしい趣が感じられませんでした。レジ前には「無料試飲できますので、お声掛けください」と案内がありましたが、その酒屋さんらしくない雰囲気に、どうも気持ちが乗り気になれず、結局そのまま素通りしてしまいました。いつになったら飲めるんだろう…w

賀茂泉酒造

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賀茂泉酒造は、1912年(明治45年)の明治後期に創業しました。この蔵が特に注目されるのは、戦後間もない時期から**「純米酒」の復興に尽力し、その醸造をいち早く再開した先駆者である点です。伝統的な製法を守りながらも、常に時代を見据えた酒造りで、日本酒の新たな地平を切り開いています。彼らの受け継がれた技によって生み出される酒は、芳醇で奥深い味わいとともに、純米酒ならではの澄んだ山吹色**を呈しています。

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賀茂泉酒造の試飲ができる**『酒泉館』は、残念ながら週末のみの営業**でした。複数の種類を飲み比べできるとのことで、非常に魅力的だっただけに、訪れた日が平日だったのが悔やまれます。

福美人酒造

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福美人酒造は、単に優れた日本酒を醸すだけでなく、西条の酒造りの発展に多大な貢献をしてきた蔵元です。特に、1917年(大正6年)に設立された西条酒造学校の創設に深く関わり、多くの優秀な杜氏や蔵人を全国に送り出すことに尽力しました。これにより、福美人の酒は、その確かな技術と経験に裏打ちされた、透明感のあるクリアな味わいと、米本来の旨みが活きた芳醇な香りが特徴として評価されています。

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歴代の総理大臣の名前が記載されています。ちなみに安倍元総理の右は、広島県が地元の岸田さんですが、あえて野田元総理と…

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蔵の奥からは、酒造りに使われる清冽な仕込み水が湧き出ていました。その水を目当てに、地元の方が大きなペットボトルを何本も抱えて汲みに来ており、その様子からは、この水が地域の人々にどれほど信頼され、大切にされているかが伝わってきます。

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試飲コーナーには魅力的なお酒がたくさんあり、心惹かれました。ただ、事務所に声をかけるのが面倒に感じたので、今回はパス。次の賀茂鶴で物足りなければ、また戻ってくるかもしれません。

賀茂鶴酒造

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賀茂鶴酒造は、**1873年(明治6年)**に創業した、西条を代表する老舗です。創業当時の地名「賀茂」と、縁起の良い瑞鳥「鶴」を合わせて「賀茂鶴」と命名されました。

この蔵の特筆すべき点は、早くから先進的な精米技術に注目したことです。その証拠に、1898年(明治31年)には日本で初めて動力精米機を導入しました。これにより、高品質な酒造りへの道が開かれ、後の発展に繋がります。

さらに、1958年(昭和33年)に発売された「特製ゴールド賀茂鶴」は、大吟醸酒の先駆けとして登場し、現在も多くの人に愛されるロングセラー商品となっています。これは、賀茂鶴が常に時代をリードし、革新的な酒造りを行ってきた証と言えるでしょう。

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一号蔵直営店。2019年10月に1号蔵を改装して、見学室販売所としてオープンしたところです。以前は、奥まった場所にあったのでだいぶアクセスは良くなりました。現在は、試飲はすべて有料ですが、以前はお酒が置いてあってセルフ飲み放題でした。

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賀茂鶴酒造一号蔵は、2019年10月直営店としてリニューアルオープンしました。歴史ある1号蔵を活かしつつ、見学室と販売所を兼ね備えた洗練された空間へと生まれ変わっています。現在はすべての試飲が有料ですが、かつては自由に酒を味わえるセルフ飲み放題という、太っ腹なサービスを提供していた時期もありました。

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日本酒をはじめとする様々な商品を揃えた販売コーナーに加え、蔵元限定酒や期間限定酒をじっくりと堪能できるバーも併設されています。この充実したスケールで営業できるのは、まさに賀茂鶴酒造の規模と歴史があってこそですね。

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三種のみ比べセット 30ml×3杯 500円
純米大吟醸 大吟峰 720ml 4,400円 
大吟醸 双鶴賀茂鶴 720ml 5,500円
大吟醸 特製ゴールド賀茂鶴  720ml 2,750円

普段は高価でなかなか手が出せない大吟醸の飲み比べセットに挑戦しました。凝縮された美味しさに舌がすっかり麻痺してしまい、途中からそれぞれの味が分からなくなるほどでした。「なんか麻痺してきて、もう味が分からなくなりますね」と正直に伝えると、スタッフの方が「そうなんですよ、大吟醸は美味しすぎるんですよね。日常的に飲むなら純米酒で十分ですし、だから日本酒は食べながら飲むお酒なんですよね」と深く共感してくださり、そこから日本酒に関する様々な話に花が咲きました。例えば、売上では賀茂鶴酒造が多いものの、販売量では白牡丹酒造の方が上回るといった、興味深い業界の話も聞かせてもらいました。

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純米吟醸生原酒「青冴え」30ml 100円
特に好みに合いそうなお酒があったので、追加で試飲しました。それは季節限定販売の、加水も火入れも一切していない生酒です。口に含むと、まるでワインのようなフレッシュで華やかな香りが広がり、その清々しい味わいはまさに私の完全に好みの味でした。すぐにでも買って帰りたかったのですが、要冷蔵のため、旅の初日では諦めるしかありませんでした。期間限定販売720ml税込1,980円。

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スタッフさんと話が弾み、ついには試飲リストにはない「広島錦 純米酒」までご厚意で試させていただけました。そのおかげで、心ゆくまで日本酒を堪能でき、すっかり上機嫌に。さすがにもうこれ以上飲むと酔っぱらいそうだったので、名残惜しい気持ちで賀茂鶴を後にしました。

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酒蔵通りには相変わらず外国人観光客の姿ばかりが目立ちます。アジア系の方はほとんど見かけず、欧米からの訪問客が大半を占めているのが印象的でした。先ほどスルーした福美人酒造に戻ることも頭をよぎりましたが、これ以上は正直お酒の味が分からなくなってしまうだろうと判断し、思いとどまりました。

呉への寄り道を選択

まだ宿泊地の広島駅へ直行するには少し早い時間でした。手持ちの広島ワイドパスには、呉と江田島間、そして江田島と広島港間の航路が含まれています。せっかくならこのパスを最大限に活用しようと、船旅で広島へと向かうことにしました。少しでもお得に旅を楽しみたいという、自分らしい戦略的な選択です。

西条16:20→海田市15:47
 山陽本線・南岩国行き

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三原駅から広島市方面へ向かう山陽本線は、1時間に1本の運行ですが、西条駅からはその頻度が1時間に4本へと大幅に増えます。通常は6両編成の車両が多いようですが、この時は4両編成だったため、車内は少し混み合っていました。車両が短いとやはり混雑しがちなので、まさに「ガチャ」のような感覚でしたね。

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西条駅広島駅の間には、山陽本線が誇る屈指の難所、通称「セノハチ」と呼ばれる急勾配区間があります。西条駅の標高がおよそ230メートルであるのに対し、終着の広島駅周辺の標高は約10メートルから20メートル程度です。この約200メートルもの標高差を、鉄道は瀬野(セノ)から八本松(ハチ)にかけてのわずかな距離で克服していきます。そのため、現在でも貨物列車は補助機関車を利用しています。

海田市15:52→呉17:26
 呉線・広行き

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呉線への分岐点である海田市駅で乗り換えました。乗車した4両編成の列車では無事に座ることができました。普通列車は停車駅が多い分、快速「安芸路ライナー」に比べて空いているのかもしれません。

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海のすぐそばを走る呉線からの景色。逆光で少々眩しかったものの、きらめく水面がこの時間ならではの幻想的な光景を作り出していました。沿線には海に近い駅も多く、週末にふらっと立ち寄ってみたいような魅力的なスポットをいくつも見かけました。広島市からのアクセスも良いので多くの人で賑わうのかな。

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車窓の向こうに見えるのは、瀬戸内海に浮かぶ江田島です。

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呉駅は、駅ビル「クレスト」の中に改札が集中しています。広島県で第3位の人口を擁する、約19万人都市である呉市の玄関口にしては、思ったよりもこぢんまりとしているな、という印象を受けました。

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呉駅からフェリーが発着するターミナルへは、駅ビル「ゆめタウン」を経由する高架歩道で繋がっています。この高架歩道の上から眺める景色は、まさに呉ならでは。巨大な「てつのくじら館」の潜水艦と、そのすぐ下を日常的に車が行き交う光景が同時に目に飛び込んできます。この非日常と日常が混在するミスマッチな風景**は、ここでしか見られない印象的な眺めです。

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海上自衛隊で実際に活躍した潜水艦「あきしお」です。全長約76メートル、幅約10メートルのこの巨大な潜水艦が陸揚げされ、間近で見られる迫力は圧巻。

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ここには何度か訪れているのでだいぶ見慣れましたが、初めて見た時は、その巨大さに本当に驚きました。 内部は無料で一般公開されており、実際に使われていた潜水艦の内部を見学できる貴重な機会です。

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大和ミュージアムは現在、改装のため約1年間休館中です。この施設は、戦艦大和をテーマにした展示で知られるだけでなく、近年は人気ゲーム「艦隊これくしょん」の「聖地」としても多くのファンを集めています。私自身、以前YouTubeで「艦これ」関連のイベントで集まるファンの様子を見たことがありますが、その熱量と独特なコミュニティに、ある種の驚きを感じたものです。

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大和ミュージアムの先に広がる大和波止場。日中の暑さが和らぎ、ちょうど良い気温と日差しになってきました。江田島行きのフェリーが出るまであと30分ほどあります。慌ただしく巡ってきただけに、ようやくここで一息つくことができました。

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大和波止場からは、呉市の湾岸南側一帯に広がる、巨大な造船ドック群を眺めることができます。無数のクレーンが林立し、まさに圧巻の光景を生み出しています。この景色は、呉がかつて軍港として栄え、現在も日本の重工業を支える重要な拠点であり続けていることを力強く物語っています。

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呉の港では、停泊中の巨大な商船や、海上自衛隊の威容を誇る護衛艦、潜水艦などを間近で観賞できる「呉湾艦船めぐり」が運航されています。乗船費用はやや高めの設定ですが、普段目にすることのできない艦船の姿を間近で見れるのは魅力的ですね。

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広島港と松山観光港を結ぶ航路では、高速船とフェリーが運航していて、フェリーは基本的に呉港にも立ち寄ります。瀬戸内海汽船が運行する「シーパセオ」。そのおしゃれなデザインは、まさに海の上のカフェのようです。広島港から松山観光港まで、およそ2時間40分の船旅をこの美しい船で過ごせるなら、一度乗船してみたいものですね。広島港-松山観光港:大人5,000円

海上ルートで広島へ

呉から広島港への直接的な航路として、松山観光港とを結ぶ便がありますが、こちらは広島ワイドパスの対象外です。そこで、今回の移動では、パスが適用される呉港から江田島小用港を経由し、そこから広島港へ向かうルートを選択しました。まずは江田島小用港を目指します。

呉港18:10→小用港18:30
 フェリー/450円

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江田島小用港へ向かうフェリーが接岸しました。この季節は日が長く、明るい時間が続くのが旅には本当にありがたいですね。秋ならば、今頃はとっぷりと日が暮れているはず。

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呉への通勤者が帰宅する時間帯と重なり、乗船者の長い列ができていました。江田島には橋が架かっているものの、南端に位置するため、時間的にはフェリーが今も主要な交通手段として活躍しているようです。この区間には高速船も運行されており、フェリーの半分の約10分で到着しますが、今回は外に出て景色を眺められるフェリーを選びました。※広島ワイドパスでは、高速船・フェリーの両方利用できます。

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ジャパンマリンユナイテッド(株)呉事業所は、呉市に位置する日本有数の大規模造船所です。ここでは、大型タンカーやコンテナ船、さらには自衛艦など、多種多様な船舶の建造や修繕が行われています。かつては旧海軍呉工廠の流れを汲む場所であり、長きにわたり日本の海運と防衛を支える重要な役割を担ってきました。現在も、その広大な敷地と最新の設備をもって、日本の重工業を牽引する存在です。

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この造船所は、1903年には戦艦「三笠」を、そして太平洋戦争中には戦艦「大和」を建造するなど、日本の海軍史と深く結びついてきました。現在も、ドックには海上自衛隊の艦船が停泊しており、新造または修繕作業が行われているようです。

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海上自衛隊呉基地の係留地は、日本の防衛を担う護衛艦や潜水艦などが日常的に停泊する場所です。ここは、かつて旧帝国海軍の重要な拠点であった歴史を受け継ぎ、現在も海上自衛隊の主要な活動拠点となっています。週末には一般公開されていて、その広大な敷地と迫力ある艦船群を間近に見学することができます。

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海上自衛隊の護衛艦「かが」は、全長248メートルを誇るヘリコプター搭載護衛艦です。当初は準空母的な機能を持っていましたが、F-35B戦闘機の離発着が可能となるよう改修されたため、現在では事実上の航空母艦と言える存在になりました。同様に護衛艦「いずも」も空母化が進行しています。

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呉の街並みが、夕陽に美しく染められていきます。フェリーのすぐ後ろを、松山港と広島港をわずか1時間10分で結ぶ「スーパージェット」が、猛スピードで通り過ぎていきました。このスーパージェットの半数の便は、呉港を通過しています。

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江田島小用港を目指すフェリーは、夕陽が沈む方向へとゆっくりと進んでいきます。旅情を誘う船旅も、非日常だからこそ味わえる贅沢。これを毎日の通勤として利用する人々は、この美しい景色も日常の一部になっているのでしょう。事実、潮風が心地よい外の甲板で夕陽が沈む景色に見入っていたのは、私ただ一人だけでした。

小用港18:34→広島港18:55
 高速船/1,080円

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フェリーが到着してからわずか4分後には、広島港行きの高速船が出航します。乗り継ぎは厳しいと思われましたが、小用港では呉方面と広島方面の船が連携しており、最短0分の乗り継ぎも可能に運用が行われています。

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広島市への通勤方向とは逆方面だったため、高速船の船内には多数の空席が見られました。朝の通勤時間帯であれば、一体どれくらいの乗船率になるのか、非常に興味が湧きますね。

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江田島の東側と本州に挟まれた海域を北上しました。普段はなかなか味わえない、変化に富んだ船旅を満喫できるのは、広島ワイドパスがあればこそ。通常、小用港から広島港まで1,080円かかるため、このような回り道はしないのですが、今回は広島ワイドパスのおかげで、存分に船旅を満喫できました。このパスは最高です!

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船が進むにつれて、江田島の島影が途絶え、再び夕陽が姿を現しました。

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再び夕陽が沈むところを大型タンカーに遮られてしまいましたが、最高の時間帯に船旅を楽しむことができ、サンセットクルーズと呼ぶにふさわしい移動となりました。

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江田島小用港から高速船は定刻通り約20分で広島港に到着しました。港の背景には、似島(にのしま)にそびえる「安芸小富士」の姿が見えます。標高278メートルのその姿は、まるで広島の海の玄関口を見守るかのようです。

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広島の海の玄関口、広島港旅客ターミナルは、広島市の中心部からやや南に位置しています。そのため、市内へ向かうには移動が必要ですが、幸いにも広島電鉄の路面電車がターミナル目の前まで乗り入れているので、乗り換えも簡単です。ここから広島駅へと向かいます。

広島港19:01→広島駅19:49
 1号線・広島駅行き

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広島駅行きの列車で、出発間際だった「1号線」に飛び乗ってしまいました。しかし、これは誤り。本来乗るべきは5号線(黄緑色)でした。1号線(オレンジ色)は市街地を迂回するため、目的地まで17分余計な時間がかかり、少々遠回りな移動となってしまいましたが、料金は240円均一でした。

引用元:https://www.hiroden.co.jp/train/route-guide/stop-guide/index.html

思っていた以上に広島市の路面電車の路線網は充実していました。広島市はデルタ地帯に位置するため、地下鉄の建設が難しいことが、路面電車がこれほど発達した要因のようです。車両通行の妨げとなり渋滞を引き起こす原因となる一方で、利用者にとっては上下の移動が少なく、乗り降りがしやすいため、非常に便利だと感じました。

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4両編成の路面電車は、とてもスムーズに走行していました。路面電車なので信号や停留所が多く、発進と停車を繰り返しますが、加速も減速も不快な感じが一切なく、非常に快適です。乗車したのは、2019年に導入された『5200形グリーンムーバーエイペックス』という最新型の車両です。

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低床車両ならではの特徴として、車輪が設置されている部分は車内へと張り出しています。そのため座席は変則的な配置になっています。

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ようやく広島駅に到着しました。さすがに50分弱の移動は長く感じられましたね。もし5番線に乗っていれば、広島港から最短31分で到着できたはず。結果的に20分近く無駄にしてしまった計算になります。

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広島駅では、広島電鉄の駅ビル2階への乗り入れ工事が進んでいます。8月3日に開業予定の新駅は、JR改札口と同じ2階で乗り換えが可能になるため、乗り換え時の移動が非常にスムーズになるはずです。現在の広島電鉄広島駅は今年8月2日で閉鎖となり、ルート変更によって各方面からの所要時間も短縮されるため、利用者はより快適に、より速く移動できるようになるでしょう。

駅前の超便利なカプセルホテル「広島のお宿」

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今日の宿泊先は、広島駅ビルの目の前に位置する「広島のお宿」です。昨年9月に広島風お好み焼きを食べに訪れたお好み村と同じ建物でした。広島駅からのアクセスも抜群です。

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広島駅前のビル2階という最高のロケーションに位置する「広島のお宿」。カプセルホテルではありますが、1泊2,980円という破格の値段設定も魅力です。

今回はじゃらんのクーポンと期間限定ポイントを駆使した結果、実質1泊80円で宿泊できました。さらに、2泊目以降に適用される500円の割引券をもらった際、「ポイントで支払い済みです」と伝えたところ、スタッフの方は快く翌日現金で500円を返金してくれると提案してくださいました。この柔軟な対応には、本当に驚かされましたね。

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2019年に開業したばかりの「広島のお宿」は、どこもかしこも真新しく、カプセルホテルとは思えないほど快適に過ごせました。寝間着、タオル、歯ブラシといったアメニティが完備されているだけでなく、翌朝には無料のパン朝食まで提供される充実ぶり。この快適さとリーズナブルな価格を考えると、今後広島を訪れる際の定番の宿となること間違いなしです。

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宿を出ると、目の前には広島駅。広島駅を拠点に旅行するなら、この宿は非常に利用価値が高いと言えるでしょう。

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2025年3月に開業したばかりの広島駅ビル複合施設「ミナモア」を訪れてみます。ただし20時を過ぎていたので、ショッピングエリアは営業終了していました。2階西側の食品フロアをまわります。どんなショップが展開されているのか、探索するのが楽しみです。

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まさか、広島で札幌の「スープカレーキング」のお店に出会うとは思いませんでした。札幌でも大行列ができるほどの人気店です。ただ、個人的には唯一、このお店のスープカレーはあまり好みの味ではなかったんです。時間が遅かったため、同じフロアの他のショップはほとんど閉店準備に入っていました。

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「ミナモア」の隣には、スーパー「AVANCE minamoa広島店」がありました。「ユアーズ」というスーパーの高級版だそうで、品揃えも充実していました。駅ナカという好立地でありながら、07:30から22:00まで営業しているのは、非常に利便性が高いですね。

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閉店までまだ1時間以上もあったのに、惣菜系の品物がすべて半額になっていました。この思い切った値下げは、利用者としてはとても嬉しいですね。もう夕食はこれで良いよね。

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半額になっていたうどん入り広島風お好み焼きを購入しました。ボリューム満点で美味しかったのですが、うどんはやはり馴染みが薄く、個人的にはそばの方が良かったかもしれませんね。半額でお得だったとはいえ、元の値段は少々高めに感じました。ちなみに、宿泊した宿には電子レンジが用意されていたので、温かいお好み焼きを熱々で食べることができました。

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これは素晴らしい発見でした!「JR PREMIUM SELECT SETOUCHI」シリーズの瀬戸田レモンCHU-HIは、私の期待をはるかに超える美味しさです。レモンの爽やかな甘さと、しっかりとした果汁感が完璧に調和していて、一口飲むごとにうまいと感じてしまいました。明日も必ず手に入れたい、お土産にもしたい、そんな一本です。

明日は、三原から船に乗って生口島(いくちじま)の瀬戸田へ向かい、その後さらに船で尾道へ行く予定です。始発列車で行くつもりなので、早めに就寝することにします。とはいえ、結局いつもと起床時間は変わらないのですがね。

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