新岡山港から岡山駅に到着したのは13時44分。2分前に四国方面の快速マリンライナーが出たばかりだった。次は29分後。空腹だったので駅ビルを少し歩いてみたけど、いまいち惹かれるものがなく、そのまま四国へ戻ることにした。

岡山駅の在来線ホームの行き先表示はかなりの情報量。一列に二方面ずつ表示しないと収まらないほどで、四国や山陰方面への特急も発着する。慣れていないと少し迷いそうだ。

日中の快速マリンライナーは30分間隔で運転されている。日中でも利用者はそれなりに多く、瀬戸大橋からの景色を楽しむなら、窓側は早めに確保しておいたほうがいい。インバウンドの観光客もそれなりに見かける。
瀬戸大橋
瀬戸大橋は本州と四国を結ぶ連絡橋として、1988年4月10日に開通した。瀬戸大橋というのは単体の橋の名前ではなく、塩飽諸島の島々を6つの橋でつないだ総称で、全長は約12.3km。
現在では淡路島ルートやしまなみ海道ルートもあって、本州と四国を結ぶルートは3つあるが、鉄道が通っているのは瀬戸大橋だけ。道路と鉄道が上下に通る併用橋で、この規模の鉄道道路併用橋としては今でも世界最大級とされている。
短い距離の中で橋と島と海が連続するのが特徴で、鉄道だとおよそ8分ほど、ずっと景色を楽しめるのもいいところ。岡山から四国へ渡る場合、午後の時間帯は進行方向左側がベスト。逆光にならず、海も近くて見やすい。

トンネルを抜けると、本州と櫃石島を結ぶ下津井瀬戸大橋(全長約1,400m)。このあたりが岡山県と香川県の県境になる。

最初に渡る島が櫃石島。自動車道から島へ降りるループ橋があるが、一般車両は利用できず、住民や許可車両のみ通行可能になっている。児島駅と坂出駅を結ぶ路線バスは、この島にも乗り入れている。

櫃石島には約150人が暮らしているが、商店などはほとんどないようだ。瀬戸大橋周辺の塩飽諸島の中では最も北に位置し、行政上は香川県坂出市に属している。
坂出駅までは40分ほど、児島駅までは20分ほど。距離的には岡山側のほうが近く、実際の生活圏はそちら寄りなのかもしれない。

風光明媚な瀬戸内海を、車窓と海の上の両方から眺められるのは、なんとも贅沢な体験。中央の奥に見える円錐形の島が、昨日高松から見えていた大槌島。手前右に見えるのは、櫃石島の南に隣接する歩渡島。

櫃石島と岩黒島を結ぶ櫃石島橋(約750m)。その先、岩黒島橋(約790m)へと続き、斜張橋が連続する区間になっている。岩黒島も櫃石島と同様、車で降りられるのは住民や許可車両のみ。ただし路線バスを利用すれば、一般の人でも立ち寄ることができる。

マイカーで唯一一般車も利用できる与島。瀬戸大橋の開通当初は観光客も多く訪れ、ドライブインや遊覧船の発着もあったらしい。いまは建物は撤去されて、広いアスファルトだけが残っている。
瀬戸大橋の途中にある島として知名度はあるけど、実際の居住人口は約60人ほど。さきほどの櫃石島の半分程度と考えると、意外と少ない。
どの島も学校はすでになく、坂出市内まで路線バスで通学する必要があるという。子どもがいる家庭にとっては、なかなか厳しい環境かもしれない。

与島を過ぎると、小さな三ッ子島を挟んで、北備讃瀬戸大橋(1,538m)、南備讃瀬戸大橋(1,648m)と続き、いよいよ四国へ。

北備讃瀬戸大橋と南備讃瀬戸大橋の間にある三ッ子島は、小さな岩礁で、よく見ていないと見逃してしまいそうな存在。橋の主塔やアンカーブロックを設置するために整形されたため、もとの形から大きく変わっているらしい。

瀬戸大橋で最も長いのが最後の南備讃瀬戸大橋(1,648m)で、海面からの高さは約65m。瀬戸内海を行き交うフェリーやタンカーが通れるよう、この区間は高さがしっかり確保されている。最初に渡った下津井瀬戸大橋の高さが約31mなので、橋全体としては少しずつ上りながら四国へ向かっていることになる。今まで気づかなかった。

橋を渡り終えると、坂出市の番の州臨海工業地帯に入る。手前にはコスモ石油の石油基地、その奥には三菱ケミカルやライオンの工場、さらに四国電力の発電所が並んでいる。
この一帯はもともと浅瀬を埋め立てて造られた工業地帯。瀬戸内海の穏やかな海と対照的な、無機質な風景が広がっている。

川崎重工㈱坂出工場。この一帯はもともと浅瀬を埋め立てて造られた工業地帯。瀬戸内海の穏やかな海と対照的な、無機質な風景が広がっている。

坂出駅15:00→宇多津駅15:04 快速サンポート南風リレー号
坂出駅で乗り換えて宇多津へ。後部座席から宇多津デルタ線、通称「三角線」がよく見える。
単線区間が多いJR四国の中で、このデルタ線はかなり豪勢なつくり。当時の本州と四国を結ぶ意気込みの大きさが、そのまま形になっているように感じる。

宇多津駅で下車した理由は、ここ「おか泉」で讃岐うどんを食べるため。人気店で昼時は行列ができるらしいが、19時まで営業しているので、この中途半端な時間を狙ってきた。
うどん三軒目:おか泉

宇多津駅から約1km、徒歩10分ちょっと。6月上旬とは思えない暑さの中を歩く。この時間を狙ったのは正解で、待ち時間もなくすんなり入店できた。

店内はわりと賑わっていて、見た感じ観光客が多い印象。いわゆるうどん屋というよりは、サガミのようなレストランに近い雰囲気。店内のメニューには大盛りの表記がなかったが、事前にホームページで確認していたので、ぶっかけの大盛りを注文。

値段は少し高めだけど、ボリュームがしっかりある。そして写真では伝わりにくいけど、麺の表面がつやつや。

コシがかなり強くて、のど越しもいい。しっかり美味しい。ただこのあと予定が詰まっていて急いで食べる必要があったのだが、コシが強すぎて食べるのに意外と時間がかかった(笑)。

宇多津駅15:57→高松駅16:30
急ぎ足で宇多津駅まで戻る。もう暑くて歩いて観光する気力もなく、昨日と同じく小豆島行きのフェリーに乗って海を眺めることにした。この列車に乗り遅れると、小豆島から高松へ戻るのが最終便になってしまう。そんなわけで急いでいたわけです。無計画で気ままな旅のはずなのに、なぜかバタバタしている。

高松での乗り換え時間は17分。高松駅から高松港までは微妙に距離があるので、少し急ぐ。

高松港16:47→池田港17:47
昨日と同じ便、そして同じ「パンダ」のフェリー。昨日はタラップからの乗船だったけど、今日は時間が迫っていたせいか車両甲板からの乗船になった。

気分は夕涼みのクルージング。1時間のフェリー移動って、ちょうどいい長さだなと思う。

明日は屋島に登ってみようかな。金曜から日曜にかけて夜のシャトルバスも運行されているらしいので、夕方に登って夕焼けと夜景を見てから降りてくるのも良さそうだ。

神戸港と高松港を小豆島・坂手港経由で結ぶジャンボフェリー「あおい」。通常はこの時間にすれ違うことはないが、「りつりん」が点検中のため臨時ダイヤでの運航となっていて、今回はちょうど海上ですれ違った。明後日は高松港から乗船する予定。

屋外から前方をそのまま眺められるフェリーって、やっぱり珍しい気がする。瀬戸内海の穏やかさがあってこそ、こういう造りができるのかもしれない。しかし夕方が近づいて、正面から海風を受け続けていると、さすがに少し寒く感じてきた。

間もなく小豆島・池田港。朝もこの航路に乗っているので、本日2回目の小豆島w。一人旅だからこそできる、こういう酔狂な動きも楽しむ。

今日はすぐに戻らず、1時間ほど周辺を歩いてみることにした。フェリーが到着すると、やはり港の周辺道路は渋滞していた。
池田港の周辺はそれほど栄えているわけではなく、見た感じは住宅が中心。地図で見てもスーパーなどの商業施設は見当たらず、そうした機能は土庄に集まっているようだ。
日差しもだいぶ傾いて、ようやく歩く気になる時間帯に。ほんとに昼間は暑かった。
「平井兵左衛門氏政終焉の地」。江戸時代、小豆島の役人だった平井兵左衛門は、重い年貢に苦しむ島の状況を何とかしようと、江戸幕府に直訴した。しかし、小豆島を治めていた高松藩に無断で行ったことが問題となり、江戸から送り返されてしまう。その後、「越訴(おっそ)」の罪に問われ、処刑されたという。

昨日、土庄にある桟敷が見事だったので、池田町にも何かないか探しているときに「桟敷」という文字が目に止まり、立ち寄ってみた。
幅約80m、高さ約18mの桟敷。近くの亀山八幡宮の祭りの見物席として使われていて、現在でも秋祭りは盛大に行われているらしい。石垣が段々に積まれた姿はどこか遺跡のようで、少しマチュ・ピチュっぽさも感じる。
平井兵左衛門の命日には、ここで追悼供養として太鼓の演奏も行われているという。

多いところで8段ほどの構造になっていて、日本版のローマ劇場といった雰囲気。秋祭りのときには、太鼓台と呼ばれる神輿のようなものが13台も集まるそうだ。

最上段まで上がろうとしたところで、足元に蛇の抜け殻を発見。サンダルだったこともあって急に怖くなり、途中で引き返した。

帰りは海沿いを歩いて池田港へ向かう。ゆったりとした空気が流れていて、いかにも島らしい雰囲気。これがいわゆる「島時間」というやつなのかもしれない。

別の家だとは思うけど、小豆島で多頭飼いの猫が飼育崩壊しているというニュースを見かけた。
ここも近くの家の窓が開いていて、多くの猫が出入りしているようだった。子猫がしきりに鳴いていたけど、目が開いていないのが気になる。何かの病気なのかもしれない。なんとかしてあげてほしい。

池田港に戻ってきた。港の周辺には無料駐車場が整備されていて、車で来てフェリーで高松へ通勤している人も多いのかもしれない。

乗船する第十一こくさい丸(しまぞう)が到着。後ろに見えるのは「国民宿舎 小豆島」。

池田港19:00→高松港20:00 国際両備フェリー
仕事帰りの人が多いのかと思っていたが、朝の便に比べると船内はわりと空いている。行きで見かけた学生たちも、また後部のカーペット席で寝転んでいた。すっかり日常の風景なんだろう。

時間的にはまだ日が沈んでいないはずだけど、雲に隠れてしまったのかもしれない。今日は夕焼けは難しそうだ。

日差しがなくなると、さすがに甲板に居続けるのは少し寒い。それでも、つい外に出て景色を眺めたくなる。

20:00、高松港に到着。さすがにあたりは真っ暗になっていたが、サンポート高松のビル群の夜景がきれいに見えた。この船は折り返し、20:30発の最終便として再び小豆島・池田港へ向かう。

丸亀に戻って名物の骨付き鶏を食べようかとも思ったけど、この時間からだと遅くなりそう。それにここまでずっとうどんだったので、急にジャンクなものが食べたくなってきた。
というわけで、オルネ高松に入っているバーガーキングへ。

うまい。ビーフの炭火の香りがたまらないし、このワッパーのサイズ感は満足度が高い。今までワッパーJr.ばかり選んでいたことを少し後悔した。

高松駅20:43→坂出駅20:57 快速マリンライナー64号
坂出駅21:00→丸亀駅21:09 普通・琴平行き
昨日と同じく、快速マリンライナーで坂出まで行き、接続する普通列車に乗り換えて丸亀へ戻る。車内はそこそこ混んでいたが、隣に座った人がプシュッとビールを開けた。ああ、自分も買っておけばよかったなと少し後悔。

21:09、丸亀駅に到着。05:15の始発で出て以来なので、15時間54分。ほぼ16時間ぶりに戻ってきたことになる。1日の3分の2を外で過ごしていたのか……。移動中は座っている時間も多いとはいえ、さすがに疲れた。シャワーを浴びて、そのまま寝る。
今回のtabiwa岡山香川ワイドパス、どれくらいお得だったのか計算してみた。
丸亀→高松630円、高松港→池田港700円、土庄港→岡山駅(かもめバスきっぷ)1,500円、岡山駅→宇多津1,070円、宇多津→高松630円、高松港→池田港(往復割引)1,330円、高松→丸亀630円。
今日1日だけで、合計6,490円。岡山香川ワイドパスは3日間で3,600円なので、1日で元が取れてしまっている計算になる。これはかなりお得だった。
3日間使い終わったあと、もう一度ちゃんと計算してみようと思う。


