2025 tabiwa広島ワイドパス|vol.6 江田島、大崎上島、生口島

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広島ワイドパスで船を利用して行ける島の中で、残りは大崎上島だけとなりました。竹原からフェリーが出ていますが、今日は他に特に目的もないため、初日に乗船した江田島航路で呉まで行き、そこから呉線に乗り換えて竹原を目指すことにしました。

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宿の朝食は、菓子パン系の種類が多かったのは少し残念でしたが、無料サービスであることを考えれば全く文句はありません。むしろ、この宿泊料金で無料提供されていること自体が信じられないほどで、本当に感謝すべきですね。さらに嬉しい誤算だったのは、ホームページでは7時からとされていた朝食開始時間が、実際には6時からだったことです。これは早朝出発の身には非常にありがたかったですね。

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広島駅06:38→広島港07:13 5号線・広島港行き

広島港へ向かうため、今日は迷わず5号線に乗車します。5号線は広島駅から比治山下を経由し広島港へ至る最短ルートです。乗車するのは、連接車の「5100形グリーンムーバーマックス。単車に比べて、ひとつの車両は短いですが、5両編成と長く定員数も多いのでゆったりと過ごせそうです。単車か連結車かは、駅の時刻表に記載されていました。

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運転席が中央にあるため、一番前の右側は意外にも眺めが良かったですね。この走行している広島駅~猿猴橋町~的場町間は、今年の8月以降には広島駅~的場町間が直結となるため、廃止されます。最後に貴重な景色を体験できたことになりますね。

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猿猴川にかかる荒神橋を渡ると右手に、広島駅南側にそびえ立つシティタワー広島が見えました。高さ197.5メートル、地上52階建てを誇り、2016年8月に竣工しました。このタワーは、現在、中国・四国地方で最も高いビルとして知られています。

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広島電鉄は路線も複雑で本数も多い中、路線の切り替えをどうやってるのか疑問に思い調べてみると、運転士が直接運転台からポイント(分岐器)を切り替える操作を行っているそうです。分岐点手前の架線にある「トロリーコンタクター」と呼ばれるスイッチを、パンタグラフの通過速度やタイミングで運転士が調整し、進路を制御する仕組みだそうです。運転士の熟練した技術が必要ですね。

船の旅、江田島経由で呉へ

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終点の広島港駅手前、元宇品口からの長い区間が信号待ちもなく順調に進んだため、広島港駅に早く到着できました。広島港での乗り継ぎ時間がわずか2分だったので無理だと思っていましたが、余裕をもって船に乗ることができました。

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広島港07:15→小用港07:37 高速船/1,080円

江田島は、海上自衛隊の第一術科学校幹部候補生学校など、重要な施設が集中する場所です。広島市や呉市から多くの自衛隊員が通勤していることもあり、朝の通勤ラッシュ時には、最寄り港である小用港へ広島から移動する人々の間で、海上自衛隊関係者がかなりの割合を占めているそうです。

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朝の通勤ラッシュ時間帯の広島湾は、広島市内へ通勤・通学する人々を乗せたフェリーや高速船が頻繁に行き交い、大都市広島の海上交通の要衝としての役割を強く感じさせます。

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瀬戸内海では波が穏やかなため、高速船に乗ってものんびり走行しているように感じます。対照的に、沖縄八重山の離島便は異様に速く感じられましたが、あれは本当に速度が速いのでしょうか、それとも波の具合によるものなのでしょうか?

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江田島小用港に着いたら、まさに呉行きの高速船が目の前。0分乗り継ぎで乗れる状況でしたが、船内で呉線の竹原行きをチェックすると、この次の船でも呉駅での接続に問題がないことが分かりました。そこで、急遽20分ほど港の周辺を散策することに。我ながら、なかなかの行き当たりばったり旅です。

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江田島は広大な島で、公共交通機関での移動はなかなか大変です。人口も2万人を超えており、離島でありながらショッピングモールもあるほど生活基盤が整っています。江田島といえば海上自衛隊の島というイメージが強く、海上自衛隊第1術科学校(旧海軍兵学校)は一般公開されています。しかし、見学開始が11時以降と遅めだったため、今回は見送ることにしました。

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小用港前の国道487号線。信号があります。
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手前は水産会社、奥には造船所。

江田島は本州と橋で結ばれ、島内には複数の港があるため、小用港は特別な玄関口という雰囲気ではなく、ごく普通の町と港といった印象でした。港前には広々とした駐車場が整備されており、朝の時間帯でも船から降りた人が車で出発したり、車で到着した人が船に乗ったりと、江田島では車が生活に不可欠な存在だと感じられました。

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小用港08:05→呉港08:15 高速船/650円

8時5分発の呉行きに乗船しましたが、1本前の便とは異なり、思ったほど混雑していませんでした。おそらく、5分後に出発するフェリーの方が運賃も手頃で、そちらに人気が集中しているのかもしれません。

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海上自衛隊の練習艦「かしま」

呉を出港してきた海上自衛隊の練習艦「かしま」を間近で見ることができ、実に良いタイミングでした。「かしま」は、海上自衛隊の幹部候補生が遠洋練習航海で乗艦する艦艇です。この呉・江田島一帯は、日本を海から防衛している海上自衛隊の息吹を肌で感じられるエリアだと改めて思いました。

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一昨日の夕方に見たときよりも、朝の空気が澄んでいるのか綺麗に見えました。

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ジャパンマリンユナイテッド呉のドック

第2次改修中の護衛艦「いずも」。F-35B戦闘機の搭載が可能で、実質的に空母といっても良いのだろう。護衛艦いずもに比べても大きさが際立つタンカーの大きさはほんと圧巻。

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同じくジャパンマリンユナイテッド呉のドックで護衛艦を改修しているようです
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高速船を降り、呉港から呉駅までは歩道橋で繋がっているので、道を横断することなく移動できます。その道中からは、「てつのくじら館」に展示されている、全長76mもの巨大な潜水艦「あきしお」がよく見えます。一昨日は逆光で上手く撮れなかったので再撮影しましたが、何の知識もなくこの光景に遭遇したら、さぞ驚くことでしょうね。

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呉港から呉駅へと続く長い歩道橋は便利ですが、一部がショッピングモール「ゆめタウン」内を通っているため、営業時間外は一度地上に降りて迂回しなければならず、少々不便でした。

呉線:呉駅→竹原駅

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呉駅

呉08:34→広08:51 普通・広行き

ホームに駆け降りましたが、電車が出発するまで7分も余裕がありました。そこで写真を撮っていると、運転手さんが「後ろに広電とのコラボ車両が連結されていて珍しいですよ」と声をかけてくれたんです。旅の記録として写真を撮っているだけで、鉄道マニアではない私ですが、せっかくだから見に行くことにしました。

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JRの車両に広電のグリーンムーバーマックスのデザインがラッピングされていたんですね。なるほど。ただ、特に感動はなかったので、やはり車両自体に強い興味はないようです。鉄道の旅は好きですが、いわゆる「撮り鉄」というよりは「乗り鉄」ということでしょうね。

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広駅が終点なので、ここで乗り換えです。昨日よりも通勤時間より遅かったおかげで、乗り継ぎの電車には余裕で座れました。

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広08:54→竹原09:44 普通・三原行き

広駅では日陰にならず、車両がよりはっきりと見えました。そういえば、広電でもJR西日本の「レッドウィング」カラーをまとった電車が運行しているそうです。多少、競合する路線もあるとはいえ、JRと私鉄が協力し合う姿勢は素晴らしいですね。

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仁方駅→安芸川尻駅

左手に見えるのは下蒲刈島ですね。この島は本州とは安芸灘大橋で繋がっています。そして、この橋から始まるのが「とびしま海道」です。この海道は、下蒲刈島、上蒲刈島、豊島、大崎下島、平羅島、中ノ島、岡村島といった7つの島々を、7つの橋で結んでいます。サイクリングロードとしても人気があり、瀬戸内の多島美を間近に感じられます。

三津湾:生食牡蠣の里

三津湾には牡蠣いかだが無数に浮かび、海沿いには牡蠣業者の建物が軒を連ねています。安浦の三津湾海域は、塩分濃度が高いことで知られ、その環境が身の締まった美味しい牡蠣を育みます。また、ここは広島県指定の清浄海域であるため、水揚げされた牡蠣はそのまま生食用として出荷可能です。人工浄化されたものとは異なり、プランクトン由来の豊かな旨みが残るため、より深い味わいが楽しめると言われています。生牡蠣好きにはたまらない魅力ですね。

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安浦駅→風早駅
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それにしても、今日は暑くなりそう。

竹原駅。

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竹原駅
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竹原駅から竹原港までは1.5kmなので、徒歩で移動することにしました。もちろん路線バスも運行しています。竹原には複数の港がありますが、大崎上島へ渡るためには、「たけはら海の駅」がある方の竹原港が正しい乗船場所となります。

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たけはら海の駅」の建物は、1階に待合室と売店があり、3階にはカフェが設けられています。ちなみに、「道の駅たけはら」も別にありますので、注意が必要。乗船券売り場は少しわかりにくかった。建物内というよりは乗船場近くの入り口そば。

大崎上島への船旅

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港に到着した船を見て、これが自分の乗る便だと思い、徒歩で乗り込もうとしました。しかし、「次の便ですよ」とあっさり断られてしまい、なぜ分かったのか疑問でした。後に判明したのですが、その船が向かう契島は、一般の人は立ち入り禁止の島なんですね。思い返せば、積載されていたのがダンプカーばかりで、異様な雰囲気を醸し出していました。

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竹原港10:10→白水港10:40 フェリー/360円

竹原港に到着した大崎上島からのフェリーは、多くの車を積載していました。朝夕の通勤時間帯だけでなく、日中も利用率が高いことがうかがえます。また、大崎上島へ向かうフェリーにもかなりの車両が積載されていましたが、乗用車よりもトラックが多かったのが印象的でした。ひょっとすると、島で大きな建設工事などが行われているのかもしれませんね。

船内には他に2人の女性客がいて、「観光ですか?」と声をかけられました。おそらく60歳を超えていらっしゃると思われるお二人ですが、なんと昨日までしまなみ海道をサイクリングで満喫してきたとのこと。そのアクティブさには本当に驚かされました。

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車両甲板は満車でしたが、客室は乗客がまばらでゆったり過ごせました。フェリーの魅力といえば、やはり屋外に出て潮風を感じながら、移り変わる海の景色を堪能できる点ですね。

瀬戸内の「要塞」:契島

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瀬戸内の海に、まるで軍艦島を彷彿とさせる要塞のような島が遠くに見えました。形で例えるなら「瀬戸内のモン・サン・ミッシェル」といった趣でしょうか(実際には訪れたことはありませんが)。調べて分かったのですが、あの島は契島(ちぎりじま)といい、島そのものが東邦亜鉛の製錬所になっているのだそうです。そのため、一般人の立ち入りは固く禁じられているとのこと。これで、先ほど契島行きの船に乗ろうとして止められた理由が明確になりました。本当に、世の中には知られざるディープな場所があるものだと実感しました。

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生野島:古代から過疎へ

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2008年に閉鎖された馬取海水浴場跡

右手に姿を現したのは、大崎上島の北西に位置する生野島です。この島は周辺地域で最も古く、約2000年前から人々が暮らしていたとされ、その証拠に遺跡や古墳が残されています。現在の人口はわずか11人(または9人という情報も)ながら、1日7便もの定期航路が維持されているのには驚かされます。おそらく、ほとんどの便が契島を経由する恩恵を受けているのでしょうが、将来的に島のインフラを維持していくのは厳しい課題となりそうです。

また、生野島には2008年に閉鎖された馬取海水浴場跡があり、以前は島をリゾート地として開発しようとする動きもあったと伝えられています。

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左:船島、右:生野島

船の窓枠で風景を切り取ると、その景色は日本三景の一つ、松島のようにも見えてきます。

大崎上島へ上陸

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定刻通り30分で竹原港から白水港に到着。今回の滞在予定時間は50分です。船はおよそ1時間に1本運行されているので、見るところがあるなら次の便でもいいかな。

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人口が7,000人弱の大崎上島は、橋で本州と繋がっていない島としては、瀬戸内海で小豆島に次ぐ規模を誇ります。当然ながら広大な島なので、徒歩で散策できる範囲は限られてしまうでしょう。

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最近は赤いポストが珍しいのか?

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北に垂水港があるため、そこから竹原に戻ることも考えましたが、船からの眺めでは特に見どころもなさそうだったので、南へと足を向けました。しばらく歩くと、岡本醤油工場という醤油工場があり、直売もしているようでした。

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海沿いはきれいに護岸整備されているので、非常に歩きやすかったです。しかし、とにかく暑い!まだ5月だというのに、もう夏の始まりを感じさせる陽気でした。

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エディオンて書いてあるけど、普通に町の電気屋さんだった。

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周りに目立った建物がないため、距離感が掴めず、なかなか進んでいる実感が湧きません。次の集落まで15分以上歩いているのに、まだ姿が見えてこないですね…。

大串厳島神社

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大串厳島神社は、水の神様である市杵嶋姫命を祀っています。この神様は、なんと宮島の厳島神社と同祭神です。言い伝えによると、市杵嶋姫命は宮島へ向かう前にこの大崎上島にいらっしゃり、まさにこの大串厳島神社があった場所から旅立たれたとされています。

広島商船高等専門学校

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広島商船高等専門学校とその練習船が見えてきました。大崎上島町に位置する広島商船高等専門学校は、航海士や機関士といった海事技術者を育成する国立の高専です。商船学科では、練習船での実習を含む5年半の課程を経て、世界の海で活躍できるプロフェッショナルを育てています。全国に5校存在する商船高等専門学校のうち、3校が瀬戸内海に面した地域にあるのは、この地域の海運業との深いつながりを示しています。

なお、生徒数と教員数を合わせると約750名で、大崎上島の人口が7,000人弱であることを考えると、島の人口の1割以上が高専関係者ということになります。地域にとって非常に大きな存在ですね。

食事場所があるような中心部まではまだ距離があり、ここで引き返すことにしました。町歩きには少々暑すぎますね。

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南側から見た契島(スマホのデジタルズーム)

この位置からは、生野島の裏手にある契島(ちぎりじま)の姿がよく見えます。隣の生野島へはアクセス可能なので、もう少し近づいて、契島の独特な雰囲気を間近で感じてみるのも良さそうですね。

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白水港の観光案内所にレンタサイクルがあったので、あれを利用してもう少しじっくり島を探索すればよかったな、と今更ながら思います。行き当たりばったりの旅を満喫しているとはいえ、さすがに事前の情報収集が足りなかったと感じました。

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白水港11:30→竹原港12:00 フェリー/360円

帰りのフェリーも、タンクローリーや大型トラックなど、貨物車両でいっぱいでした。この航路が、いかに地域にとって重要な物流ルートであるかを実感しますね。

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右船島。左は大崎上島、ひょっこりしたまんまるいのは猫島。

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この穏やかな航海は、まさに平和そのものですね。このフェリー航路には、大崎上島で降りずに船上からの景色だけを満喫するクルーズプランもあるようです。車両が積載できるフェリーは、通常、徒歩乗客の運賃が安めに設定されているのも魅力的です。

船が着く前に流れるハワイアンミュージックと音声は意外性があって、どこか癒されるような心地よさがありますね。

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「道の駅たけはら」にあるショップは、おしゃれな雰囲気ですね。きっと多くの観光客が訪れるのでしょう。瀬戸内海のお土産は、やはりレモン推しですね。レモン好きとしては嬉しい限りですが、今回は自分へのお土産は買わないと決めているので、スルーしました。

地元のスーパーに立ち寄り

次の列車まで時間があったので、駅近くのスーパー「藤三 竹原店」に立ち寄ってみました。「藤三」は広島県を中心に展開する地域密着型のスーパーマーケットチェーンで、地元の食材や特産品を多く扱っているのが特徴です。こうした地域スーパーを訪れると、その土地の人々の暮らしぶりや食文化の一端に触れることができ、旅の楽しみが深まります。

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藤三 竹原店
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鮮魚類はなかなか質が良さそうですね。
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充実の広島風お好み焼きコーナー

なるほど、本当に広島風お好み焼きが人気なんですね。昨日まで駅ビルで見ていたので観光客向けかと思いましたが、地元の人にも日常的に親しまれているようです。大阪風とは違い、自分で焼くのはかなり難しいですからね(以前に体験して痛感しました)。

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