2025 北海道|vol.5 忘れ去られそうな室蘭本線

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旭川駅北口

旭川駅の北口エリア。それにしても旭川の建物は白すぎるのではないだろうか。建物の白さと積もった雪のせいで、まぶしいほどだ。ちょうどお昼時なので旭川ラーメンでも食べたいところだが、この後ライラックで岩見沢方面へ向かう必要があるため、お昼ご飯を食べる時間はない。一応、旭川駅にも売店はあるのだが、あまり食指が動くようなものはなかった。

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旭川駅北口

駅前にイオンがある旭川駅北口は、妙に洗練された都会の雰囲気。地方の駅近くによく見られるような廃れたイオンではなく、近代的でとてもお洒落なイオンなので、少し見てみようと思う。

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旭川近郊の「上川大雪」と「三千桜」という酒蔵の日本酒が販売されている。パッケージを見る限り、大量生産されている種類のように感じられる。たとえ珍しい銘柄があったとしても、ここで土産用の日本酒瓶を持って帰るのは、重さも考えると現実的ではないだろう。

特急ライラック22号 札幌行き

  • 12:00 旭川【乗車】
  • 12:19 深川
  • 12:32 滝川
  • 12:38 砂川
  • 12:50 美唄
  • 12:59 岩見沢【下車】
  • 13:25 札幌
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札幌と旭川を約1時間半で結ぶライラック。運行頻度は1時間に1~2本程度で。自由席車両の設定があるので早めに行き窓際の席を確保。

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ホームから見るライラックの先頭車両のアングルが好きだ。札幌へ勢いよく出発する様子が伝わってくる。実際、ライラックは全国でも有数の評定速度を誇る特急列車だ。評定速度とは、走行距離と停車時間を含めた所要時間から算出され、実質的な移動の速さを示す指標となる。

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席に座った時点では空いていたものの、列車が動き出す頃には8割方の座席が埋まっていた。早めに到着したおかげで助かった。外国人観光客の姿はちらほら程度。その後、乗客は増える一方であっという間に満席となり、滝川駅では富良野方面からの乗り換え客が大量に乗車し、通路は人で埋め尽くされることになった。

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ディーゼル車の爆音を響かせながら走るのも良いが、電車が静かに雪の中を走り抜けていくのもまた趣深い。ただでさえ静かな車内が、雪によってさらに音を吸収され、一層の静寂に包まれる。車内はほぼ満席に近いものの、一人客が多いため、会話もほとんどなく静かだ。

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空知川だ。川を見つけると、とりあえず写真に撮っておきたくなる。これは乗り鉄ならきっと共感してくれるはずだ。

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往路で見ていた山脈は雲が晴れて綺麗に見えた。大雪山や十勝岳連峰もこんな風に見られたらいいなと思いつつも、立っている乗客がたくさんいる中で、こうして綺麗な景色をゆっくり見られるだけでも贅沢なことだと自分を納得させた。

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車窓の景色をゆっくりと眺めていたのだが、次第に車内は乗客で埋め尽くされていった。降りるのが一苦労になりそうだ。終着駅の札幌まで、このまま揺られていたい気持ちが湧き上がってきたが、せっかく昼食も我慢してこのライラックに乗ってきたのだから、当初の計画通り、室蘭本線に乗り換えるために、覚悟を決めて降りることにした。

室蘭本線は、岩見沢から苫小牧を経由し、室蘭、長万部へと続く路線だ。かつては主力路線だったが、千歳線が開通した今となっては、岩見沢から苫小牧(実際には沼ノ端)の間は運行本数の少ないローカル線になっている。以前は空知や夕張地方で採掘された石炭輸送に大きく貢献したが、現在では一般的な観光客が利用する機会はほとんどなく、その存在すら忘れられがちだ。実際、私も「そういえばこんな路線があったな」と思い出したのがきっかけで、今日乗車しに来ました。

室蘭本線・普通 苫小牧行き

  • 13:03 岩見沢
  • 13:11 志文
  • 13:16 栗沢
  • 13:21 栗丘
  • 13:26 栗山
  • 13:33 由仁
  • 13:38 古山
  • 13:43 三川(北海道)
  • 13:52-14:09 追分(北海道)
  • 14:16 安平
  • 14:21 早来
  • 14:28 遠浅
  • 14:37 沼ノ端
  • 14:45 苫小牧
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岩見沢駅 13:03発

室蘭本線への接続は完璧だった。乗り換えの列車はすぐにそこに待機していた。なかなか年季の入った車両だ。室蘭本線は日中2時間に1本しか運行していないため、先ほどのライラックを逃していたら2時間後になっていた。車両は1両編成で、ちょうど学生の下校時間と重なったためか、車内は混雑していた。

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志文駅→栗沢駅

車内は下校中の学生で混雑していたため、後方の窓から景色を眺めた。ローカル線ながらも、かつて幹線だった名残か、線路のカーブは緩やかで走りやすい。やはりというか、外国人観光客の姿は一人も見かけなかった。

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栗山駅→由仁駅

栗山駅で多くの学生が降りていったため、ボックスシートに座ることができた。朝晩は本数が増えるのだろうが、日中に2時間に1本しか運行しないローカル線で通学するのはなかなか大変だろう

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栗山駅→由仁駅

平野の真ん中を一直線に鈍行列車は進んでいく。目立った景色はないかもしれないが、どこまでも続く静かな時間が流れている。旅愁を誘うような、平野ならではの広大さが感じられる。意外と広い北海道だが、このようにゆったりとした時間が流れる場所は少ない。この周辺はおそらく穀倉地帯で、夏には一面の緑に変わるのだろう。

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夕張川(栗山駅→由仁駅)
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古山駅→三川駅

古い車両は、温度調整がうまくいかないようで、車内に太陽の光が差し込むとどんどん暖かくなった。暖かいというより暑く、もしかしたら温度調整機能がないのかもしれない。以前、真冬の12月に花咲線に乗った時も車内が暑く、窓を開けていたことがある。外の冷たい空気が入ってきても全く影響がないほど暑かったことを覚えている。

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追分駅 13:52-14:09

追分駅で17分間の停車時間があった。暑い車内からホームに降り立つと、ひんやりとした空気が心地よかった。追分駅は、室蘭本線と石勝線が交わる乗り換え地点であり、短い1両編成の列車が3本、静かに発車を待つ様子は、どこか奇妙な光景だった。

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追分駅→安平駅

進行方向右手に、石勝線が分かれていく高架橋が見えた。札幌と道東の主要都市である帯広・釧路方面を結ぶこの短絡ルートは、1981年に全線が開通したこともあり、高架橋など近代的な設備が整っている。

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遠浅駅

内陸に位置する遠浅駅。その駅名から、かつてこの地が海だったのかと疑問に思い調べてみたところ、アイヌ語の「トアサㇺ(to-asam)」、「沼の奥」に由来する当て字だと判明した。紛らわしい当て字は避けたほうが良いのではと感じた。

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遠浅駅→沼ノ端駅

追分駅から先は複線区間となった。複線が敷設されていたということは、当時の運行頻度の高さと、この路線が重要な役割を担っていたことの証だろう。ウトナイ湖の東側付近で千歳線の上り線と合流し、線路は3本に増えた。千歳線の下り線は、そこから少し南に離れた場所を走っている。

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沼ノ端駅→苫小牧駅

 終着の苫小牧駅が近づくにつれ、車内には少しずつ人が増えてきた。岩見沢駅を出てから、苫小牧駅に到着するまでの間で、乗客が少ない区間もあれば多い区間もあり、常に閑散としているわけではなかった。遠方に雪を抱いた白い山が見える。あれは、特徴的な山容の樽前山だろう。

苫小牧駅にて樽前山ウォッチング

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昨日函館に行った時は全く見えなかった樽前山が、今日は雲一つない快晴で、白い山頂がひときわ目立っている。もう少し綺麗に見えないかと思い、駅の北側のドンキホーテへ行ってみたが、建物に窓がなく見ることができなかった。

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苫小牧駅南口。駅舎内の施設はすべて閉鎖されており、物悲しい雰囲気が漂っている。苫小牧駅の顔である玄関口がこの状態では、寂しいものがある。

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駅前に立地していたデパートは2014年に閉店したまま放置されている。苫小牧市が再開発を目指しているが権利問題でひと悶着あったらしい。

いづれにしても苫小牧市の人口は16万人を超え、現在も北海道内で4番目に多い都市で、昨日訪れた室蘭市のように人口が大幅に減少しているわけではない。しかし、駅周辺の様子からは人口ほどの賑わいは感じられない。それに対し何年か前に行った郊外にあるイオンモール苫小牧は多くの車と人で賑わっていたことを覚えている。モータリゼーションが、地方都市の駅周辺に与える影響の大きさを改めて感じる。

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駅真横の立体駐車場から望みましたが、架線が視界を遮り、樽前山の裾野まではっきりと見渡せません。こうなると、どうしても意地でも見たくなります。鉄道を利用すれば白老駅付近からより近くに見えるようですが、本日は札幌駅への早く到着したいため、その選択肢は見送ります。

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最終的に、最も鮮明に、そして遮るものなく山を望めたのは、ついさっき降りたばかりのホームの端でした。灯台下暗しとはよく言ったものです。それにしても、やはりだいぶ遠いですね。

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樽前山は以前に一度登ったことがある山なので、他の山よりも少し思い入れがあります。樹木が生えていない独立峰のため、ほぼ真っ白に見えます。二重カルデラの中央からは、噴煙が上がっている様子が確認できます。

特急北斗11号 札幌行き

  • 12:15 函館
  • 12:20 五稜郭
  • 12:34 新函館北斗
  • 12:44 大沼公園
  • 13:02 森(北海道)
  • 13:23 八雲
  • 13:44 長万部
  • 14:09 洞爺
  • 14:20 伊達紋別
  • 14:37 東室蘭
  • 14:49 登別
  • 15:01 白老
  • 15:14 苫小牧【乗車】
  • 15:30 南千歳
  • 15:54 新札幌
  • 16:04 札幌【下車】
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北斗11号(苫小牧駅)

夕食の時間にはまだ余裕を持って札幌駅に着けそうなので、比較的空いているであろうスープカレー店を目指し、早めに札幌駅へ戻ります。次の列車は函館方面から来る特急北斗11号ですが、案の定、えきネットで確認しても空席は見当たりません。昨日も同じ北斗11号に乗車していましたし、その時の混雑ぶりを考えると、今日も立ちっぱなしになるのは避けられないでしょう。覚悟はしていましたが、実際に乗り込んでみると、すでにデッキは立ち客で埋め尽くされていました。

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沼ノ端駅→植苗駅

ウトナイ湖から流れ出る勇払川。乗降デッキも人で混み合っており、かろうじて進行方向左側の窓から景色を眺めていました。いつもは反対側の海側の座席に座ることが多いため、目に映る景色はとても新鮮でした。

南千歳駅で半分以上のお客さんが降りていきましたが、その多くは大きな荷物を持ったインバウンド客でした。これほど多くの人が新千歳空港で下車する光景は初めてでした。この状況を踏まえると、新千歳空港駅の改良を行い、線路を苫小牧方面へ延伸するという構想も、今後ますます重要性を増すように感じられます。

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エスコンフィールド(北広島駅→上野幌駅)
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札幌駅の手前、東側一帯で北海道新幹線の建設工事が進められていました。駅周辺の地形や線路配置を考慮すると、新幹線の駅は現在の札幌駅の東側に設けられ、その先に苗穂駅付近に車両基地が建設される計画のようです。

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新幹線の札幌駅は、既存の札幌駅よりも東側に位置する計画です。この配置では、在来線への乗り換え動線が複雑になり、北陸新幹線の敦賀駅以上の不便さを利用者に強いるのではないかと予想されます。

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札幌駅

カレー3軒目:スープカレーキングはミルクシチュー?

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初日にすごい行列だったスープカレーキングの支店が駅近にあるのを知り、早速足を運びました。夕食前の時間帯だったため、店内は比較的落ち着いていましたが、それでも3割ほどの席は埋まっていました。そして、目を引いたのは、私以外の客がすべて外国人観光客だったことです。

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メニューは日本語、英語、中国語、韓国語の4言語で表記されており、外国人観光客への配慮が感じられました。しかし、価格設定は比較的高めと言えるでしょう。

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野菜カレー 1,400円(ライス大盛300g 50円)

Googleの口コミではかなり評価の高いお店ですが、正直なところ、スープカレーキングはあまり好みではありませんでした。ルーが自分の好みに合わないだけで、実際には美味しかったので、ついパクパクと食べてしまいましたが。他のお店のルーと比べると、かなり一線を画していると思います。表現するなら、ミルクシチューのような感じでしょうか。昨日のしゃば蔵と比べると、正反対のテイストです。野菜も素揚げより温野菜が多く、少しパンチに欠けると感じました。ライスを大盛にしたのですが、満足感は少なく、個人的にはリピートなしです。

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札幌駅西側の新幹線工事現場。「札幌トンネル(桑園)」という表示から、この付近が地下への入り口になるようです。日本は山がちな地形であり、人が住む平地は限られています。そのため、新しい鉄道路線を敷設するには、山を切り開いたり、トンネルを掘り進めたりと、大変な労力と技術が必要なのだと、この工事現場を見るにつけ実感させられます。

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以前宿泊したことのある三井ガーデンホテル札幌。それはコロナ禍真っ只中の2021年のことでした。札幌市が企画した「さっぽろ冬割」という割引キャンペーンを利用したところ、なんと朝食付きで1泊1000円という破格の値段で宿泊できたのです。朝食券は札幌場外市場で海鮮丼と引き換えることもでき、美味しい海鮮丼も堪能しました。「さっぽろ冬割」での宿泊には2000円分のクーポン券も付いてきて、信じられないほどお得な体験でした。ふと、このホテルに朝食付きで宿泊すると今はいくらするのだろうと思い調べてみたところ、素泊まりでもゆうに1万円を超えていました。

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そのまますすきの方面へ歩いて行くと、札幌道庁に突き当たりました。内部はまだ改装中で、中に入ることはできないようです。背後には建設中のアーバンネット札幌リンクタワーが見えました。地上26階・地下2階、高さ約110.9mで、竣工は2026年6月予定とのことです。

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北海道庁前の遊歩道には雪が積もっていました。やはり、ロードヒーティングがなければ雪は残るのですね。

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すすきの交差点は、相変わらず多くのインバウンド客で賑わっていました。ニッカおじさんが世界的に有名になるのはちかいのではと思わせるほどです。

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お気に入りの店「三海の華」の近くを通りました。落ち着いた料亭のような雰囲気で、値段はやや高めですが、料理の質が本当に素晴らしく、何度か足を運んでいます。特に夜9時以降は、地酒などを含む飲み放題が単品で利用できるため、呑み助にはお得です。最後にいただくのが楽しみだった夜9時以降に注文できる締めの寿司が、以前の980円から1480円へと値上がりしてしまったのは少し残念です。次に訪れるときはいくらになっているのでしょうか。

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クリーミーカルボナーラ138円、ピリ辛ザンギ焼きそば 170円

夕方前にスープカレーをいただいたばかりだったので、しばらくは満腹だと思っていましたが、やはり時間が経つと空腹を感じてきました。あのミルクシチューのようなスープカレーでは、どうも物足りなかったようです。考えてみれば、野菜カレーを選んだため、肉系の食材による食べ応えがなかったのも原因かもしれません。

そこで、近くのセイコーマートで夜食を調達しました。かつて100円で親しまれたスパゲティは、今は少し値上がりしましたが、それでもこの価格で手軽にスパゲティが食べられるのは、旅費を抑えたい者にとっては本当に助かります。

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お店で温めてもらったのですが、宿に戻るまでに冷えてしまったため、共有スペースの電子レンジで再度温め直しました。焼きそばには唐揚げが2個も付いており、カルボナーラも濃厚で食べ応えがあり、夜食としてはカロリーはやや高めかもしれませんが、250円でこれほどの満足感を得られるのは素晴らしいです。

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すすきの交差点は多くの観光客で賑わっているのに対し、ホテル前の風俗ビルはそれほど混雑していません。皆さん、健全に観光を楽しんでいらっしゃるようですね。

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こちらは翌朝に撮影したフリースペースの様子です。初日に利用したガーデンズキャビンにも共通していましたが、キャビンタイプのホテルに、食事や休憩ができる快適なフリースペースがあるというのは、旅人にとって本当に嬉しい設備です。

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