釧路湿原を駆けるSL冬の湿原号に乗車する日が来ました。一ヶ月前、予約開始時刻と同時にパソコンに向かい、わずか24席のカウンター席を、まるで獲物を狙うかのようにして確保しました。信じられない速さで席が埋まっていくのを見て、軽い気持ちで臨んだ予約だったにも関わらず、今ではこの特別な席への執着心が湧いています。
旅行の本当の目的はスープカレーだったのですが、日程とSLの運行日が重なっていたという偶然に、何か「目玉」になる体験を求めたのかもしれません。人気列車の特等席を確保できたという事実は、まるでプレミアチケットを手に入れたかのような、手放したくないという強いバイアスを生んでいます。これは、偶然見つけた最後の人気商品を衝動買いしてしまう感覚に近いのではないでしょうか。
やはり当日を迎えても、蒸気機関車に乗る高揚感はさほどありませんでした。それでも、「冬の釧路湿原をSLのカウンター席から眺める」という特別な状況に、無理やり価値を見出そうとしているような気がしています。
この日記を書きながら、当時の、あの何とも言えない「もやもや」した気持ちが再び湧き上がってきたので、改めて思い返しながら整理してみました。

特急おおぞら1号 釧路行
- 06:48 札幌【乗車】
- 06:56 新札幌
- 07:20 南千歳
- 07:32 追分
- 07:52 新夕張
- 08:26 トマム
- 08:49 新得
- 09:19 帯広
- 09:36 池田
- 10:56 釧路【下車】

SL冬の湿原号に乗るために、この特急おおぞら1号を利用する必要があるのですが、早々と予約したにも関わらず、予約状況は驚くほどの空席ばかりでした。貴重な予約枠を消費してしまいもったいなかったな。

すでに外は明るく、東の空は鮮やかなオレンジ色に染まり始めています。北海道最大の貨物駅である札幌貨物ターミナル駅周辺には、広大な構内を覆うように無数の架線が張り巡らされています。

エスコンフィールド北海道は、洗練されたデザインで、言われなければ野球場だとは気づかないかもしれません。予想以上に賑わっているようで、一度その活気ある雰囲気を体験してみたいと感じます。さらに、2028年夏頃にはエスコンフィールドに直結する新駅が開業予定とのことで、アクセスもますます便利になるのが楽しみです。

千歳駅を後に高架橋を走る車窓から、右には力強い山容の恵庭岳、左奥には雪化粧をした優美な樽前山が望めました。この辺りは本当に良い天気で、青空が広がっています。しかし、これから向かう釧路方面の天気予報はあまり良くないようです。
「北海道の背骨」を東西に貫く石勝線

石勝線を進み、追分駅手前で一時的に進行方向を変えると、東に印象的な山並みが見えてきました。左側の山は、まるで鋭い刃が連なるようにギザギザとしており、これが前岳でしょうか。右手にある台形を描いているのは、夕張岳ですね。

右奥の夕張岳は、標高1,668mの夕張山地の主峰で、日本二百名山の一つ。ギザギザの前岳は、標高約1,158mで特徴的ですね。

昨日通った室蘭本線の線路が眼下に見えます。追分駅で石勝線と交わり、またそれぞれの方向へ分かれていきます。ローカル線である室蘭本線が複線であるのに対し、幹線であるはずの石勝線が単線であるというのは、珍しい光景ですね。

北海道でも意外と少ない一面 真っ白の雪景色。

車内の乗車率は3割程度で、ビジネス客の姿はあまり見当たりません。やはり、週末よりも平日の利用客の方が多いということなのでしょう。

JR北海道で唯一残る札幌駅構内のキオスクで、朝食にお弁当を購入しました。以前はもっと豊富な種類があり、北海道ならではの食材を使ったお弁当もあったと記憶していますが、品揃えはだいぶ減ってしまったようです。幸い、車内は空いていたので、景色を眺めながらゆっくりと朝ごはんをいただくことにします。

川端駅を過ぎると、夕張川沿って走るようになりカーブが多くなります。下流にダムがあるので流れがとまり表面は凍っているようです。

昭和56年に新たに建設された石勝線ですが、追分駅から新夕張までの区間は、驚くことに明治25年に開通した旧夕張線のルートをそのまま利用しています。もちろん改良は施されているとはいえ、130年以上も前の線形であるため、どうしても揺れが大きく感じられます。新設区間との乗り心地の違いに、歴史の重みを感じます。

石勝線は、札幌方面と広大な十勝・釧路方面を最短ルートで結ぶ、日高山脈を東西に貫く重要な山岳路線です。ですが単線のため、対向列車と行き違うための信号場が設けられています。雪害対策として、ポイントが雪で動かなくなるのを防ぐスノーシェッドで完全に覆われています。また、豊かな十勝平野で収穫された農産物を輸送する長大な貨物列車も運行されるため、信号場の退避線は長く作られています。

新夕張駅を過ぎると、列車はこれまで並走してきた夕張川と分かれます。夕張川の上流には夕張市の中心部があり、新夕張駅(旧称:紅葉山駅)から夕張線が分岐していましたが、2019年に廃線となりました。
特筆すべきは、これが国内初の自治体主導による鉄道廃止であるという点です。炭鉱閉山後の人口激減とそれに伴う鉄道利用者の減少による赤字の累積、そして夕張市の厳しい財政状況から、地域交通(主に路線バス)の維持も困難となっていました。そこで夕張市は、夕張線を廃止する代わりにJR北海道からの支援金を得て代替バス運営に移行するという決断を下し、自治体主導で公共交通の軸を鉄道からバスへと転換した全国初の事例となりました。この決断をしたのは北海道知事の職に就いている鈴木直道知事です。

新夕張駅を過ぎると、周囲は人の気配が途絶え、日高山脈の雄大な自然に抱かれるように深い山々が連なります。新夕張駅から占冠駅にかけては約半分の区間がトンネルとなり、電波も届きにくいため、車内ではスマートフォンを触る人も少なく、静かに眠りにつく人が多く見られます。

東占冠信号場では、帯広駅を6時45分に出発した札幌行きの特急「とかち2号」とすれ違いました。これは十勝地方から札幌方面へ向かう始発の特急列車です。

もうすぐトマム駅です。車窓から見える山々の雪は、思ったよりも少ないように感じます。

進行方向左手に、星野リゾート トマムの施設が見えてきました。山頂付近にあるのは、ゴンドラでアクセスできることで知られる雲海テラスでしょうか。周囲の山々には緑が目立つ中、あのエリアは雪が積もっているようで良かったですね。1月にしてはこの積雪状態は気がかりですね。

トマム駅は全列車停車ですが、実質的には星野リゾート トマムの利用客専用のような駅です。下車する人はわずかですが、ちゃんと送迎のバスが待機しています。

待ち望んでいた雪景色がようやく目の前に。白い雪をまとった樹氷の木々の姿は、本当に美しいですね。まもなく、北海道の背骨とも言える日高山脈を貫く全長5,790mの新狩勝トンネルに入ります。

狩勝トンネルが出来る前の狩勝峠越えは日本三大車窓 と呼ばれた景色の良い 区間でした。 現在の線路は新しく トンネルを使い新設されているため 以前ほど 眺めが 良くはないようですが、遠くに十勝平野を望むことができます。

これから、列車はまるで大地に描かれた曲線のように、何度も大きくカーブしながら高度を下げ、いよいよ広々とした十勝平野へと降りていきます。これは、急激な勾配を避けるためや、地形に合わせて線路が敷設されたためです。

広内信号場にて、釧路駅を早朝6時18分に出発した特急「おおぞら2号」と行き違いました。しかし、単線区間での列車交換を含め、毎日多くの列車がダイヤ通りに運行されるおかげで、私たちは安心して移動できるのだと改めて感じ、鉄道関係者の皆様に感謝の念が湧きます。


狩勝峠を下り、広大な十勝平野の入り口に位置する新得駅に到着しました。新夕張駅からは特急列車のみが走る区間でしたが、ここからは帯広方面への普通列車も利用できます。
途中、新狩勝トンネル内で根室本線と合流しましたが、2024年には根室本線の富良野-新得間が廃止されています。新得駅からは線路名称が根室本線となるため、石勝線の区間はここで終わりを迎えます。
山あり海あり、根室本線の車窓(新得~釧路)
1921年に全線開通した根室本線(滝川~根室、全長443.8km)は、かつて札幌方面と道東を結ぶ主要ルートとして活躍し、沿線地域の発展に貢献しました。しかし、1981年の石勝線開業により、滝川~新得間は主要ルートとしての役割を終えます。その後、2016年の台風被害で東鹿越~新得間が長期不通となり、JR北海道は復旧を断念。2024年4月1日、富良野~新得間が廃止され、根室本線は滝川~富良野間と新得~根室間の二つの系統に分かれました。

新得駅出発し、車窓右手に広がるのは、雪化粧をした山々の連なり。日高山脈の北端、あるいは狩勝連峰の山々でしょうか。陽光に照らされた白い峰々の美しさに、何度も目を奪われてしまいます。



車窓に映る、冠雪した山。白く輝く姿は本当に美しく、ついつい何度も見返してしまう。

川から湧き上がった水蒸気が木々に付着し、見事な霧氷を作り出しているのでしょう。川沿いだけに見られる白い樹々の列は、息をのむほどに美しいです。この光景から、周囲の冷え込みの厳しさが伝わってきます。

広大な十勝平野の中心に位置する帯広駅に到着しました。農業や食料加工業が盛んな十勝地方の、人流と物流の要となっています。平日だったらビジネス客が多かったのでしょう。

十勝連峰を源流とする十勝川を渡ります。冬の厳寒期、特に1月中旬から2月下旬にかけては、河口付近で波に洗われた透明な氷塊「ジュエリーアイス」が打ち上げられ、美しい光景を見ることができます。

池田駅を出発して数分後、昭栄信号場で対向列車との行き違いのため停車しました。これで3度目の列車交換ですが、こちらが待つのは初めてです。帯広駅を過ぎてから、心なしか列車の速度が以前より遅くなったように感じます。

厚内駅を過ぎ、車窓右側には雄大な太平洋の景色が広がりました。穏やかな太平洋のイメージとは裏腹に、まるで冬の日本海のように荒々しい波が岸に打ち寄せています。

荒々しい波が白い泡を立てながら岸に打ち寄せてます。波の花が出来そうです。

音別川河口付近。太平洋に面したこの地域では、強い波によって運ばれた砂が河口付近に堆積しやすいという地理的特性があります。そのため、川は河口で直接海に合流せず、一旦海岸線と並行するように流れることが多いようです。

二度目の海際。前回は道路を挟んでいたけれど、今回は遮るものがない。どこまでも続く黒っぽい砂浜が、荒々しい波打ち際まで途切れることなく続いている。


特急おおぞら1号は通過駅が多く、多くの列車が停車する白糠駅さえ通過する。釧路駅でのSLへの乗り換え時間は、わずか10分ほど。乗り換えだけなら、確かに無駄のない時間配分なのだろうけれど。

最後部の7号車に乗車していたので、あらかじめ地下道の階段付近まで移動しておき、急いでSLが入線しているホームに急いで移動しました。
釧路駅でSL(蒸気機関車)とご対面
JR北海道が冬の釧路湿原を走らせる全席指定席の観光列車。1月から3月にかけての金曜日~日曜日の週末や祝日を中心に運行されます。釧路駅と標茶(しべちゃ)駅の間を結び、釧路湿原国立公園の中を通ります。乗車券のほかに座席指定券1,680円が必要です。

SLには標茶駅からの復路も乗車予定ですが、標茶駅には転車台がないため、帰りは蒸気機関車が後ろ向きになってしまいます。なので、この停車中のわずか10分間が、正面からの撮影する貴重な機会となります。一昨日は地上から見上げたから大きく感じた蒸気機関車も、ホームから見ると、やはり視線の高さが違うせいか、それほど大きくは見えない。


1940年製造のC11型蒸気機関車。85歳という歴史を感じさせる風格がある。最初は何となくおもちゃのような印象を受けたものの、細部まで見ていくと、そこには無数のボルトや配管が複雑に組み合わさった、生きた機械の力強さがあった。鉄の質感、メカニカルな構造美に、男心を強く揺さぶられる。

運転席に剥き出しになった機械や計器類が、ただただ格好いい。一つ一つの部品に明確な役割があり、それが複雑に組み合わさって動く様を想像すると、本当にすごい。ほんと発明した人は天災だ。

釜に豆炭が投入されていたのを見ると、この蒸気機関車は確かに蒸気で動いているんだと実感する。電車は電気で動くけれど、その電気は石炭火力発電所で発電されている場合もある。そう考えると、動力源は同じ石炭と言えるかもしれない。電気で走っていても、実質は石炭エネルギーのようなものだよね。ただ、現代の発電所の方が効率的で、地球環境への負荷は小さいとは思うけれど。
SL冬の湿原号 標茶行き
- 11:05 釧路駅【乗車】
- 11:12 東釧路
- 11:38 釧路湿原
- 11:58 塘路
- 12:12 茅沼
- 12:35 標茶駅【下車】

出発間際だったので、乗客のみなさんは撮影が終わって、車内で待機していたのでしょう。おかげで、思っていたよりも人が少なくスムーズに写真を撮ることができました。生まれて初めてSLに乗るという経験なのに、正直なところ、そこまでテンションが上がっていない自分がいました。実際に乗るのは、蒸気機関車そのものではなく、引っ張られる客車なのだ、という冷静な認識が働いているからかもしれないなあ。

1ヶ月前に確保した、たんちょうカーのカウンター席は、進行方向に向かって釧路川を正面に見渡せる特等席です。予約開始から1分も経たずに完売したというのも納得の眺望の良さそうな席です。2021年にリニューアルした車両なのでとても綺麗です。この写真は釧路駅に戻ってから撮影しました。
車内を見渡すと、乗客の割合は日本人が7割、外国の方が3割程度でしょうか。もっと中国人観光客が多いかと予想していましたが、意外とそうでもありませんでした。

釧路駅東側の跨線橋には、SLの雄姿をカメラに収めようとする鉄道ファンの方々が並んでいました。

釧路駅を発車してすぐに釧路川を渡ります。SLが水面を走る姿を写真に収める絶好のポイント。反対の車窓右側に広がる河川敷には、無数のカメラマンが三脚を構えているのが見えました。車内では、車掌さんによる沿線の風景やSLに関する丁寧なアナウンスが随時流れ、旅の気分を盛り上げてくれます。

車窓から見えるこのあたりの釧路川は、流れが緩やかなためか、すでに水面が薄氷に覆われています。この先にある岩保木水門より下流では、新しく開削された新釧路川が現在の本流になっているとのことです。

進行方向左手に、いよいよ岩保木水門が見えてきました。この水門から上流一帯が広大な釧路湿原となります。窓の外の景色に合わせて観光案内や、沿線の自然やSLに関する情報のアナウンスが入ります。

白銀の雪原のあちこちに、カメラを構えた鉄道ファンの方々がいらっしゃいます。白い世界の中を、漆黒のSLが力強く黒煙を上げながら走る姿は、かっこいいでしょうね。

釧路湿原駅を出発して車窓左側の小高い丘の上に目をやると、ずらりとカメラを構えた鉄道ファンの方々が並んでいらっしゃいます。ざっと30人近くはいたと思います。SLの撮影では有名なスポットなのでしょうか。1日に1回しかないのに、その瞬間を捉えようという意気込みには関心させられます。

踏切の近くにも、たくさんの鉄道ファンの方々がカメラを構えていらっしゃいます。列車が通過する際には、笑顔で手を振ってくれる方も多く、その温かい歓迎に心が和みます。それにしても、SLに対する皆さんの熱意は本当にすごいですね。

細岡駅へと続く上り坂に差し掛かりました。この辺りが一番勾配がきついらしく、SLは蒸気を力強く噴き上げながら進んでいます。おそらくこの雄姿を、多くの鉄道ファンの方々がカメラに収めていることでしょう。

細岡駅を出発して、ようやくはっきりと釧路川が見えてきました。釧路川は屈斜路湖を源流とし、太平洋へ流れ出る全長154kmの架線ですが、上下流の標高差が121mしかないとてもおだやかな川です。

車窓を流れる穏やかな釧路川は、昭和6年に釧網線が開通するまでは、この内陸と釧路を結ぶ重要な交通路だったとのことです。硫黄や木材、食料といった物資はもちろん、人々もこの川を往来し、大変賑わっていたようです。

夏のノロッコ号に乗った際は、列車を一目見ようと、たくさんのカヌーが川面に集まって停泊していました。冬の今は、あたり一面が雪景色で、カヌーの姿は全く見当たりません。

釧路川が最も蛇行している場所で、ほぼ180度流れを変えている場所だそうです。

広大な釧路湿原の中を走っていると、昔だからこそ、この真ん中に線路を通すことが許されたのだろうなと考えさせられます。当時は、道路よりも鉄道が国の発展にとって優先的に建設された時代でしたから。もし現在、同じ計画が持ち上がったとしたら、自然保護の観点から間違いなく大きな反対運動が起こるでしょうね。時代の変化を感じます。

二日前の金曜日は、雪がひどくて視界が全く利かず、この釧路川の景色も楽しめなかった様子をSNSで拝見しました。快晴ではありませんが、穏やかな天候に恵まれたことに感謝しなければいけませんね。

ゴトン、ゴトンという列車の揺れと、時折聞こえるSLの力強い汽笛が、旅情を掻き立てます。ディーゼル車とは違う、SLならではの生命力のようなものを感じますね。この大きな鉄の塊が、蒸気の力だけで雪原を走り抜けていく姿は、何度見ても感動を覚えます。
個人的な願いとしては、この寒い冬でも、客車の一部をノロッコ号のような開放的な車両で運行してくれたら、どんなに素晴らしいだろうかと想像します。生の蒸気を肌で感じながら、昔ながらの趣のある列車旅を体験してみたいという気持ちが強くあります。
釧路を出発してから、ずいぶんと時間が経ちました。車窓の景色を眺めていると、時間の流れがゆっくりと感じられます。こうしてゆったりとした時間を過ごせるのは、SLの醍醐味のひとつなのでしょう。参考までに今回乗車している往路の釧路-標茶間48.1kmを通常55分で走行していますが、SLでは1時間30分かけてゆっくりと走行しています。

本当に熱心なファンが多いのですね。SLが進行方向に対して前向きに走行するのは、1日にたった1回だけとのこと。

2両連結されているたんちょうカーには、釧路川に面した大きな窓の展望スペースが設けられています。もし釧路川側の座席を予約できなかった場合、早めにその展望スペースへ行き、ゆっくりと景色を堪能するのがおススメです。反対側の車窓は、正直なところ、あまり見どころはありません。

車内は皆さん、進行方向左手の釧路川に夢中のようです。3両連結されたストーブカーのストーブ前後の椅子席は自由席とのこと。もし釧路川側の指定席が取れなかった場合は、早めに来てこの自由席を確保するのも一つの手かもしれません。ずっと座るには強いメンタルも必要になりそうだけどね。

「まもなく茅沼駅に到着いたします。ただいま車窓左手をご覧ください」とアナウンスがあり、目をやると、広大な雪原の中に優雅な姿のたんちょう鶴が数羽見えました。天然記念物のたんちょうづるは、特に釧路湿原周辺で保護されており、冬の食料が少ない時期には、茅沼駅のような場所で餌付けが行われることがあるそうです。

残念ながら、たんちょう鶴は畑の一番奥の方にいました。その手前に見える建物は一軒家のようですね。あそこの住人の方は、毎日あんな特等席で優雅なタンチョウヅルを眺められるなんて、本当に羨ましい限りです。

茅沼駅を通過し、いよいよ釧路湿原の景色ともお別れです。次は終点の標茶駅です。

標茶駅に到着。最後尾車両からの移動時間を考慮すると、先頭のSL前は相当な人だかりになっていると予想しました。そのため、冷静に判断し、後方に見えた跨線橋を利用して反対側のホームへ移動しました。

反対側のホームへ急いで移動したところ、幸いSLの前はまだ誰もいない状態。俺、どれだけ早く移動したんだろう?しかし、いざ撮影しようとすると、SLの正面に邪魔な柱が立っていました。自分は記念的に撮ってるだけだけど、鉄道ファンだとかなり厳しいですね。

6分ほどの乗り換え時間で 釧路へ戻る 快速しれとこ摩周号がやってきます。手前は列車を待ってる人、奥はSLの写真を撮ってる人。標茶駅へ来たのもなんかの縁なので、自分はゆっくりしてから、またSLで戻ることにしています。
標茶駅は、1989年に廃止された標津線の分岐点で、標津線は中標津町を経由し、根室海峡に面した標津町までを結んでいました。実際にSLが運行していた頃にはこのようにたくさんの乗り換え客がいたんでしょうか。

標茶駅のホームでは、標茶町のPRキャラクターである「ミルクックさん」と「ハッピーくろべえ」が出迎えてくれました。

復路も満席であることから、SL冬の湿原号の人気の高さがうかがえます。

のんびりしている人が多いので、大半の人が往復乗車するようです。復路の釧路行きは、標茶駅を14:00に出発するので、1時間半弱あります。観光案内する スタッフさん また 出店もあったりして SL は 停車してる間は お祭り状態。見ている限り鉄道ファンは少数で、大半が一般的な観光客のようでした。