人口7,000人の標茶町

標茶駅前は道路の状態が悪く、雪解け水で大きな水たまりができています。駅前には食事処が2軒ほどありますが、どちらも満席のようで、中を覗いた人がすぐに諦めて出てきました。ほかにもグーグルマップ見てる限りでは徒歩圏内に数店舗ありそうです。あと駅前にはセブンイレブンがあります。

帰りのSL出発まで、まだ1時間以上あります。せっかく標津まで来たので、少し街中を歩いてみることにしました。日曜日なので閉まっているお店も多いですね。

標津の街の中心部を南北に流れる釧路川。その西側には、小学校、中学校、高校といった教育機関に加え、町役場、町立病院、図書館、町営野球場といった公共施設が集まっています。

釧路市と弟子屈を結ぶ国道391号線と駅前からの通りが交わる交差点。ここが町の中心部なのでしょうか。しかし、想像していたよりも静かな街でに、歩行者の姿も少なく、車の往来もまばらです。標茶という名前は知っていたのですが、実際に目にすると、こじんまりとした街並みでした。
調べてみると、1963年(昭和38年)には1万8千人以上が暮らしていたそうですが、現在は7000人ほどに減少しているとのこと。それでも、この規模で高等学校があるのは、少々驚きですし、維持していくのはなかなか大変でしょうね。

標津駅の北側で蒸気が上がっているのを発見し、SLだと思って近づいてみました。案の定、給水作業が行われており、長いホースがSLまで伸びています。

以前は転車台という進行方向を変える装置が標茶駅にはないので、SLは本線から留置線を利用し、客車の釧路側と連結する作業が進められています。

全てが手作業で行われています。これだけの人数が、これほどの手間暇をかけてSLを走らせてくれるとは、本当にありがたいことです。この運賃と指定席料金だけでは、とても採算が取れないのではないかと感じます。

復路のSL冬の湿原号は、この体勢で釧路駅までバック走行します。この状況を事前に知っていたため、釧路駅出発前に急いでSLの写真を撮っておいたのです。しかし運転士さんは常に後ろ向きですから、首への負担は相当なものでしょうね。

1804年に世界で初めて実用的な蒸気機関車を作ったのはイギリス。そして、日本で最初に蒸気機関車が走ったのは、1872年(明治5年)の新橋から横浜まで。同じくイギリスから輸入した蒸気機関車が使われました。SLとよく言われますが、Steam Locomotive(スチーム→蒸気・ロコモティブ→機関車)の略です。名前のとおり勢いよく蒸気が沸き上がる様子はかっこいいですね。

今年、SL冬の湿原号は2001年の運行開始から25周年を迎えました。雪の少ないアジア方面からの観光客に根強い人気があるようで、しばらくこの記録は続きそうです。

帰りはストーブのある車両を予約していました。進行方向左側の窓側の席を予約していたのですが、4人掛けテーブルに小さな子供連れのご夫婦が座っており、2人分の席しか持っていませんでした。その席も窓側ではなく通路側だったので、私は席を譲り、ストーブ前の座席に移動しました。名目上は子供連れの家族に席を譲ったことによって、釧路川側のストーブ前の座席に座り続けるための免罪符を得たようなもので、少しずる賢いかもしれませんね。
緩やかな時間が流れるSLの旅路
SL冬の湿原号 釧路行き
- 14:00 標茶【乗車】
- 14:25 茅沼
- 14:38-14:50 塘路
- 15:09 釧路湿原
- 15:35 東釧路
- 15:42 釧路【下車】

14:00 標茶駅を定刻通りに出発します。ホームではPRキャラに加え、案内スタッフや売店スタッフが勢揃いして、私たちを見送ってくれました。

目の前のストーブでは、早速スルメが焼かれ始めました。ストーブは火力が弱く、なかなか匂いは漂ってきません。ちなみに、スルメは車内の売店で販売されており、車内で焼くことも公認されています。

帰りのSL冬の湿原号は、機関車が客車を後ろから押すバック運転となるため、安全確保の観点から、行きの上り列車よりも若干速度を落として走行します。

列車が茅沼駅に到着すると同時に、まるでその到着を待っていたかのように、3羽の美しいタンチョウヅルが降り立ちました。

可愛らしいですね。真ん中の個体が少し小さく見えるので、もしかしたら親子かもしれません。

柵の向こうにいる人たちの被写体は何でしょうか。SLでしょうか?それとも、先ほど飛来したタンチョウヅルでしょうか?もし両方であれば、タンチョウヅルは最高の場所に降り立ったと言えますね。

往路に比べてだいぶ人数は減りましたが、それでも帰りのSLを撮影するために残っている鉄道ファンがいるのですね。その粘り強さには、改めて感心させられます。

塘路駅で反対列車待ち合わせのため停車。下車して写真撮影できるというアナウンスがあったけど、人が殺到する光景が目に浮かんだのでそのまま座ってました。釧網線にもデクモ が投入されてるのか。前に乗車した時は 窓を開けながら 走って気持ちよかったのになあ。


行きに写真をたくさん撮ったので、帰りはのんびりと車窓の景色を堪能しました。目の前にストーブがあるので、ポカポカとした暖かさが心地よく、ゆったりとした時間を過ごせています。

火力が弱くなっていることに気づいた乗務員さんが、炭を追加します。「写真を撮らなくて大丈夫ですか?」と声をかけてくれたのが印象的でした。

釧路の川の流れのように、緩やかな時間が過ぎていきます。往路よりも所要時間は長いにもかかわらず、不思議と帰りの方があっという間に感じられました。

15:42 釧路駅に到着。

逆から読んでも…「くしろよろしく」。
写真撮ってる時は気づかなかったけど写真見返してから気づいた。

釧路駅に漂う昭和の雰囲気。高校3年の卒業旅行で初めて一人で北海道を訪れた時と駅舎の懐かしい佇まいは、あの頃とほとんど変わっていないのではないでしょうか。ただ駅周辺はもっと建物もあって、多くの人で賑わっていたと思うのですが…当時、バブル絶頂期でしたからね。
層雲峡から流氷を見に網走へ向かうも悪天候で船は出ず。次の釧路方面への列車は6時間後。網走駅で長い時間を過ごし、夜遅くに辿り着いたのが釧路駅。時間がなかったので、そのまま夜行列車で札幌方面へ向かいました。当時は、北海道内を網羅する夜行列車が走っており、節約したい旅行者にとって、夜行列車はありがたい存在でした。
釧路といえば、世界三大夕日だが…

歩き始めると、思った以上に寒さを感じます。SLの車内で暖まったせいでしょうか、本当に冷えます。ホテルにチェックインしてしまうと外出がおっくうになりそうなので、先に散策することにしました。

釧路の 幣舞橋近辺は空きビルが目立ち、閑散としていますね。2006年まで丸井今井釧路店という百貨店だったもの。その後、kuteとしてオープンする予定で改装したけど、テナントが集まらず、計画はとん挫し、廃墟化してしまっている。大きな要因は郊外にできたショッピングモール。やはりモータリゼーションの影響は大きく、どの地方都市も同じような状況ですね。

こんなものができたんですね。以前はなかったと思います。でも、こういうサインボードって、どこに行っても見かけるような気がします。

釧路の観光名所、幣舞橋。その夕日は世界三大夕日のひとつと言われ、外国人観光客にも人気のようです。むしろ、外国人観光客しかいないかも…。
釧路の幣舞橋の他に、インドネシアのバリ島にあるクタビーチ、そしてフィリピンのルソン島にあるマニラ湾の夕日が世界三大夕日だと言われています。

この天気では夕日を見るのは厳しいだろうな、と思いつつも、水平線あたりが少し明るいのが気になります。もしかしたら、奇跡的に美しい夕焼けが見られるかもしれません。ただ、橋の上は遮るものがない分、風が容赦なく吹き付けてきて、体感温度はかなり低いです。

夕日が沈む時間を過ぎても空模様が変わらないため、これ以上待つと風邪をひきそう。これからホテルへ向かいます。

ホテルへ行く前に、栄町エリアの飲食店街をチェックしてみたのですが、日曜日のせいか、ほとんどのお店が営業していません。お店自体は潰れていないようで、単なる定休日のようですが、ここまで閉まっているとは予想外でした。もう少し何とかなると思っていたのですが、甘かったようです。

栄町に近いホテルにチェックインしました。値段設定が安かったのが一番の理由です。釧路は出張需要があるためか、普段は宿泊料金が高めらしいのですが、日曜日だったため3,300円で宿泊できました。念のため、スタッフに「日曜日は居酒屋が休みが多いのか」と尋ねると、「ほとんどの店が休みますね」とのことでした。

部屋に入ると、すでに暖房が入っていて暖かかったです。3,300円という値段だったのであまり期待していなかったのですが、普通に綺麗で驚きました。しかも、パンやサラダ、ソーセージ、スープなどの軽朝食まで付いているんです。明日は早朝出発のため食べられませんが。
うーん、それにしても、本当にたくさんの居酒屋が閉まっていますね。せめて開いているお店がないかとグーグルマップで探してみたのですが、日曜日に営業しているお店はどうも評判がいまひとつのようです…。
釧路のスーパーマーケット探索

そういうわけで、ホテルから歩いて5分ほどのところにあるスーパーマーケットへ。隣には帯広発祥のインディアンカレーのお店があります。まずはスーパーで何か良いものがないか見てみることにします。

釧路の酒蔵「福司」。これは見逃せません。
今夜はホテルで福司のお酒をじっくりと楽しむのもありだな。

帯広 同様、スケソウダラの白子が安いですね。

帯広のスーパーでもカジカが売られていたので、やはり北海道ではポピュラーな魚なのですね。左に書かれていた「チカ」という魚も、主に北海道で見られることが多いらしく、唐揚げや天ぷらにすると美味しいと聞きました。釧路は漁業が盛んな港町だけあって、スーパーで販売されている魚も新鮮そうでした。

花咲ガニが半額ですか……それは魅力的ですね。
しかし、外は寒いので温かいご飯も食べたいし、昼ごはん抜きなのでがっつりいきたい。せっかく釧路に来たので、多少海鮮も味わいたいなあ。
名案が思い浮かびました。
4軒目:帯広発祥のインディアンカレー

まずは隣にあったインディアンカレーのお店に入ることにしました。ここでしっかりと空腹を満たし、温かい食事をいただこうと思います。店内はちょうど夕食の時間帯ということもあり、かなり賑わっていました。

正直、値段が安かったのであまり期待していなかったのですが、カレーのルーの中には牛肉がゴロゴロとたくさん入っていました。これで550円とは、安すぎませんか?

インディアンカレー、本当に美味しかった!お肉がたっぷりで、まろやかなのにコクもしっかりあって、これで550円とは信じられないほどの満腹感でした。人気があるのも納得です。お持ち帰りの人も結構たくさんいましたね。

体も温まり、お腹も満たされたので、少しだけ寄り道してみました。ただ、やはり日曜日ということもあり、営業しているお店は少なかったです。赤ちょうちん横丁では2店舗ほど営業していました。

幣舞橋周辺のショッピングエリアは寂しい様子ですが、対照的に飲み屋街は大丈夫そうです。釧路が漁業の盛んな港町であることを考えると、酒飲み漁師さんが多いのかもしれませんね(あくまでイメージ)。多くの居酒屋が集まる栄町を歩いていると、そんな感じがしてきました。

ホテルに戻り、お風呂でしっかりと温まってから、2次会をスタートしました。考えてみれば、さっきのインディアンカレーが遅めの昼食で、これが夕食という流れかもしれません。それにしても、この分厚いホタテ貝には目が釘付けになりました。3割引の値札に惹かれて思わず手に取ってしまいましたが、いやあ、本当に美味しかったです。さすが北海道のホタテですね、甘みが格別でした。サーモンも安定の美味しさで、地元の福司のお酒も堪能できて、大満足の夜でした。

家とか部屋飲みだと、1合で十分なのです。
淡麗ですっきりして飲みすかったです。
明日は、始発で根室まで行って、折り返して札幌へ戻ります。