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vol.16 ウユニ塩湖が魅せる白の世界【2009 南米2か月】

ウユニ到着

ラパスとウユニの間は悪路だと聞いていたが、半分正解で半分外れだった。

前半は舗装された道で快適に眠っていたのだが、後半は未舗装の道で乗り心地が悪く、ガタガタした揺れで時折目が覚める。おまけに外は土砂降りの雨だった。これはだいぶ遅れるだろうと思っていた。

ふと目が覚めるとバスが止まっていた。外を見ると、周囲にも数台のバスが停まっている。ドアが開いていたので外に出てみると、バスが水溜まりでスタックしかけていた。眠気のピークだったのでそのまま席に戻って寝ていたら、いつの間にかバスは走り出していたようで、ウユニには1時間遅れの7時に到着した。

ウユニの町では滞在せずにそのままツアーに参加するつもりだった。到着後に唯一声をかけてきた客引きは、BRISAツアーという『地球の歩き方』にも載っている会社だったので、そのままついていった。

ツアーのラインナップはこんな感じ。

  • ➀ウユニ塩湖だけの日帰り
  • ②塩のホテルに1泊
  • ➂塩湖のあとに湖や間欠泉を見ながら2泊
  • ④3と同じだが、塩のホテルに滞在し3泊

➂④のコースは途中離脱してそのままチリへ抜けることができる。ウユニ塩湖の次の目的地はパタゴニアだったので、そのまま南下できる➂の2泊3日チリ抜けコースを選んだ。料金は85USDで、宿泊代、食事代、移動費が含まれている。

出発は11時だったので、BRISAの店内にいた日本人と近くのレストランに朝食を食べに行った。昨晩は夕食をとっていなかったので、奮発して一番高い朝食セットを注文。30ボリ(450円)。観光客向けの店だったせいか、内容の割には少し高かった。

周辺をぶらぶらしてみたが、ウユニは端から端まで歩いて回れるくらいの小さな町だった。特に見どころもなさそうだったので、やはり町には滞在せずツアーに直行したのは正解だった。

BRISAに戻る途中、クスコで同じ宿に泊まっていた日本人女性2人組と、ばったり出くわした。世界は広いようで狭い。

ウユニ塩湖2泊3日ツアーへ

BRISAに戻ると、隣にある建物でボリビアの出国税を払ってくるよう指示があったので、21ボリ(350円)を支払った。国境にはチリ側のイミグレーションがあるが、ボリビア側にはないのだろうか?

11時になり、日本人4人・韓国人2人・スイス人1人の計7名でランドクルーザーに乗り込んで出発した。ドライバー除き最大7名は乗れる車だが、明らかに狭い。

ところで、一緒に朝食を食べた日本人は1泊ツアー参加だし、周りの日本人も1泊ツアーばかりだし、参加者名簿の人数とも合致しない。もしかして自分は1泊ツアーに紛れ込んでしまったのではと、少し不安になっていた。

10分ほど走ったところで、列車の墓場に到着した。

まず気になっていたのはツアーの件。ドライバーのジョニーに「3日間ツアーで合っているか」と確認すると、間違いないという。参加者に1泊ツアー組がいることに引っかかったが、ジョニーはスペイン語しか話せないので、それ以上の確認は断念した。

列車の墓場は、かつて鉱物資源を太平洋岸の港へ運ぶために使われた鉄道が、ボリビアがチリとの領土紛争で太平洋岸を失ったことで廃れ、1940年代に打ち捨てられたものだという。

観光地というより観光客の遊び場といった雰囲気で、みんな列車によじ登ったりしている。自分も例に漏れず。

ウユニの町では天気が悪かったが、ここでは晴れ間が広がってきた。この晴れ間があるうちにウユニ塩湖に行ってほしい。

はやる気持ちとは裏腹に、コルチャニ村のMuseo de la sal y la llamaへ立ち寄った。塩の造形品が展示されているが、あまり興味はわかなかった。周辺にはお土産屋が集まり、塩で作った小物が並んでいた。ツアーはまだ始まったばかりなので購入は見送ったが、この後は買える場所がまったくなく、買えば良かったとは思った。

その隣では、塩のブロックを積み上げて建物を作っている作業員の姿があった。目出し帽で顔を完全に覆っている。標高が高く紫外線が強いだけでなく、真っ白な塩湖では照り返しの日焼けがすさまじいのだろう。

鏡張り?

しばらく走ったところで、ウユニ塩湖の一部に水が溜まった場所に到着した。

雨季のウユニ塩湖は一面が鏡のようになることで知られているが、ラパスで仕入れた情報によると、今年は異常気象のせいか1月からほとんど雨が降らず、湖面は乾いたままだという。水が溜まっているのはウユニ塩湖の東端、このエリアだけらしい。

一面鏡張りとはいかないので感動は半減といったところだが、それでも青空と白い雲が水面に映る光景は美しい。晴れていて本当によかった。これが曇りだったらと思うとぞっとする。

水が張っているので、靴を脱いで裸足で入っていく。思い思いに風景を楽しむ時間だが、水が溜まっているのがここだけとあって他のツアー客も続々と集まってくる。一面鏡張りというわけでもなく、写真を撮るポイントも限られるので、わりと時間を持て余した。

遠くに塩が積み上げられているのが見える。採掘現場だろうか。

町に近いからなのか、たくさん車や人が集まってくるそうなったのか、真っ白ではなく塩は茶色。

しばらくすると真っ白な大地に変わっていった。

ウユニ塩湖は、南北約100km、東西約250km、面積は約1万1000km²と琵琶湖の約18倍にもなる広さ。時速100kmほどで走っても対象物がないのでまったくスピード感がない。

この広大なウユニ塩湖の高低差はわずか50cmほどしかないそうです。乾季であればウユニ塩湖は、普通の車でも走れるはず。

湖の真ん中にある塩のホテル「プラヤ・ブランカ」に立ち寄った。1泊コースの参加者はここでお別れ。ドライバーが「明日の14時に迎えに来る」と伝えていた。24時間フリータイムなのか……長すぎる。

代わりに日本人女性2人が乗り込んできた。受付の名簿と合致した。ここからが2泊3日のメンバーのようで、ようやく不安が解消された。

せっかくなのでホテル内を少し見せてもらった。壁もベッドも椅子も、すべて塩のブロックで作られている。ただ塩湖の真ん中とあって、水道も電気も通っていないらしい。一晩寝たら、塩でべとべとになりそうだ。

塩湖に浮かぶサボテンの島

さらに車を走らせ、塩湖のほぼ中央に浮かぶ島「イスラ・インカウワシ」に到着した。「島」という感覚は不思議だが、ここが塩湖という点では確かに島だろう。かつてこの地が海だった名残で、島全体がサンゴの化石に覆われており、そこからニョキニョキと巨大なサボテンが林立している。大きいものは高さ5mにもなるという。

スイス人と韓国人3人が真っ先に島を登っていったので、自分も島の中に入っていった。入島料15ボリ(225円)を徴収される。

あちこちに巨大なサボテンがそびえ立っている。高いものは確かに5mを超えていそうだ。

頂上まで登った。天気が良すぎて暑い。片道15分ほどなのだが、しんどい。ウユニ塩湖の標高は約3,656mなので、島の頂上はおそらく3,776mの富士山を超えているのだろう。とにかく空気が薄いことを実感した。

富士山より高い場所に広がる、琵琶湖の18倍もある一面真っ白の塩湖。その中央に浮かぶ、高さ5mのサボテンがそびえる島の頂上に自分は立っている。ただ「絶景」という言葉しか出てこなかった。

島から降りてくると、ドライバーが塩湖の上にテーブルと椅子を設置して昼食の用意をしてくれていた。小さなプロパンガスで調理している。メニューはリャマ肉と、米粒に似た小さな粒のキアヌという雑穀。リャマ肉は特に癖もなくおいしかった。食事はツアー代に含まれている。

数字だけが教えてくれる白の世界

「よかったら島へ登りませんか?」と日本人の女性二人に声をかけてもらったが、先に登っていたし、まだ真っ白な塩湖で写真も撮っていなかったので、遠慮させてもらい、ひとりフリータイムすることにした。

ただ、みんながトリック写真を撮っているのを横目に見ているだけで、一緒に撮る相手がいなかったのが少し寂しかった。

仕方がないので塩湖の上にカメラを置いて、セルフタイマーでひとりで撮影会。座ってみたり…。

寝てみたりしてみたが、ほんと意味不明な写真ばかりが量産される。端からみたら、寂しく変なやつだと思われてたに違いない。

これはドライバーに撮ってもらった写真。
日差しが強烈で、影がくっきり映し出される。

塩の結晶の模様が美しい。乾燥が進んだ地表にひびが入り、その割れ目からしみ出した塩水が再結晶することで、この多角形のパターンが生まれるらしい。条件が揃うと整った六角形になることもあるという。一面鏡張りを期待していたが、これはこれで十分きれいだ。

ちなみに、雨季の鏡張りは日本人に大人気だが、欧米人には乾季の真っ白な塩原の方がむしろ人気らしい。遠近感が消える白い大地こそがウユニの魅力だという。確かにトリック写真を撮り合う欧米人たちを見ていると、納得できる気がした。

果てしなく続く、白の世界。南北約100km、東西約250km。数字だけが、この非現実的な風景の正体を教えてくれた。

そろそろ今夜の宿へ移動するようです。
パンフレットをもらったわけでもなく、事務所に掲示されていた簡易的な地図を見ただけなので、1日目にウユニ塩湖、3日目の途中でチリへ抜けること以外はまったく知らない。この先はほぼミステリーツアー。

塩湖を抜けたあたりから雨が降り出し、道路が水に浸かるほどの悪路になった。何度も迂回を繰り返し、車内には本当に到着できるのかという不安なムードが漂った。

サン・フアンの出来事

19時ごろ、暗くなる前にようやくサン・フアンという村に無事に到着した。ジョニー見事な運転だった。ありがとう。サン・フアンは村というより小さな集落で、宿も民家のように質素だった。すでに宿の中は暗かったが、電気がつくのは限られた時間だけだというので、まだ周辺が明るいうちに散策した。周りには何もないが、不思議と気持ちのいい場所だった。

遠くに見える山はどれも火山のような形をしている。電気は自家発電、舗装された道もなく、周囲に人工物は何もない。とんでもないところに来てしまったと思った。

雨あがりの虹がでているようだが、見たことのないような濃い色の虹。

自分の影が果てしなく伸びていく。両サイドに見える建物の影も、実際は平屋。今までに見たことのないものばかり。

宿に戻り、食事が用意されるのを待っていると音楽が聞こえてきた。日本人女性たちと一緒に音のする方へ近づいてみると、建物の中で20人ほどが踊っている。カルナバルだったようだ。中から手招きされて入っていくと、いつの間にか現地の人たちと踊っていた。お互い言葉は通じない。「ハポネス(日本人)」とだけは伝わったと思う。言葉にするのが難しいが、なんだか不思議な時間だった。

頃合いを見計らって宿に戻ると、食事の準備ができていた。まずはスープ。寒い中での一杯は体に染みるし、味も美味しい。

メインはフライドチキンとフライドポテト、そして揚げバナナ。どれも美味しかった。食材とコンロを持ち込んで悪路を走り抜けてきたジョニーが調理してくれたと思うと、頭が上がらない。

2泊3日ツアーのメンバーは、
自分が最年長35歳で、ほかはみんな20歳代。
でも、はしゃぎもせずに、みんな落ち着いた感じで良かった。

シャワーは水シャワーで別料金7ボリを払うとホットシャワーになる。前夜は夜行バスだったし、今日も塩湖で寝そべっていたので浴びたかったが、標高3,692mの夜は寒く、風邪をひいたらまずいので今夜のシャワーは断念し、明朝に浴びることにした。

22時には自家発電の電気が消え、そのまま就寝。起床は6時30分。

ウユニ塩湖は、本当にすごいところだった。