2025 北海道|vol.3 室蘭市に立ち寄ってみた

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大沼公園は相変わらず天気が悪い。やはり、先ほど途中下車しなくて正解だった。いつか晴れた日に、一面の雪景色に包まれた冬の大沼公園を訪れてみたい。夏と秋に見た美しい風景は、今も心に残っている。

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森駅を出て再び海辺に出ると、駅のすぐ前には「明治天皇御上陸地碑(森桟橋跡)」が建っているのが見える。この碑は、明治14年(1881年)に明治天皇が北海道巡幸の際、森桟橋に上陸されたことを記念して建立された。当時の森は、函館方面から内浦湾を船で渡る際の重要な港であり、天皇もここから陸路に入られた。碑の周辺には、かつて賑わった桟橋の痕跡は残っていないが、碑文は当時の様子を今に伝えている。

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やはり青空の下を走る列車は気持ちが良いものです。長万部駅周辺は平坦でほぼ直線が続くため、最高速度の120km/hで走行していると思います。ちなみにJR西日本の新快速はこれ以上の130km/hで走行しています。

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長万部駅を出発してから、しばらくすると海沿いの険しい地形を進む区間となります。乗るたびに、このような場所によく昔の技術で線路を通したなと思います。特に鷲ノ巣岩付近は難工事区間として知られています。明治時代、岩盤の掘削や橋梁の建設は、現代からは想像もできない困難な工事だったんでしょうね。

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洞爺駅のホームには、多くの乗客が列車を待っていた。これまで車内が空いていた理由が判明した。服装から中華圏からの観光客と分かる。洞爺駅近くの洞爺湖温泉が相当な人気を集めているようだ。

トイレに行くため席を立ったのだが、乗降デッキにはすでに多くの客が立っていた。函館から札幌まで、座っている人と同じ料金を払って4時間以上も立ちっぱなしとは、外国まで来てつらい体験だろう。

これ以上車両の長さを増やせず、千歳線の容量にも余裕がないため本数を増やせない状況であれば、いっそのこと長万部から山線を経由して札幌を結ぶのはどうだろうか。途中、小樽も通り、それなりの需要も見込めるのではないか。実際、毎年9月には特急が運行されているのだから不可能ではないはずだ。春節や国慶節など、中国人観光客が多い時期だけでも運行させてみれば良いのではないだろうか。

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東室蘭駅

途中乗車の多さで東室蘭駅に約7分遅延。案の定、室蘭行きの列車は出発時刻を過ぎていたが、乗り換え客を待つというアナウンスに一瞬安堵したものの、私のいた7号車は先頭車両。乗り換えホームは遥か遠く、迷わず駆け出すしかなかった。他に乗り換えの乗客が多ければまだしも、乗り換え客は私を含めてたった二人。悠長に歩いている時間はなかったので走った。

室蘭本線・普通 室蘭行き
  • 14:40 東室蘭-乗車
  • 14:44 輪西
  • 14:47 御崎
  • 14:50 母恋
  • 14:52 室蘭-下車
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どうにか乗り継ぎに間に合うと、列車はすぐに動き出した。そして窓の外には、室蘭の歴史を象徴するような光景が広がってきた。日本製鉄室蘭製鉄所の巨大な高炉や、石油化学コンビナートのプラント群など、まさに工業都市室蘭ならではの風景が次々と現れる。これらの工場群は、長年にわたり室蘭の経済を支えてきた大黒柱であり、そのスケールの大きさに圧倒される。

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新しい電車で窓がとても広い。しかし、室蘭行きの列車はそれにしても車内がガラガラだ。さっきまで乗っていた北斗号は満席で、座れない人がいるほどだったのに、この違いは大きい。

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東室蘭駅から数えて4駅目、そこが室蘭本線の終端、室蘭駅だ。室蘭半島の先端に位置するため、線路はここで終点を迎え、必然的にすべての列車が終着となる。

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東室蘭駅で初めて乗車した新型の737系電車は、電化区間においてワンマン運転を行う列車として運用されているようだ。

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室蘭駅は、長らくこの街の玄関口として親しまれてきたが、2024年10月1日から無人駅となった。背景には、乗車人数の減少がある。無人化後も、情報提供のためのモニターや話せる券売機が設置されている。

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函館では雨だったのが信じられないほど、室蘭は青空が広がっている。この変わりようを見ると、北海道の広大さを改めて感じる。

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室蘭市は、太平洋と内浦湾に挟まれた絵鞆半島に位置し、馬蹄形の港湾を取り囲むように丘陵が連なる起伏の多い地形です。外海側は断崖絶壁の海岸線が続く一方、内浦湾側は臨海工業地帯が広がります。天然の良港である室蘭港を中心に、狭い平地に市街地が形成され、坂道が多いのが特徴です。

人口が半減した室蘭市

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かつては室蘭市の玄関口として賑わったであろう駅前。再開発や郊外への商業施設進出が進んだ今、昔ながらの面影を残しつつも、どこか静かで物寂しい印象を受ける。このような落ち着いた雰囲気は嫌いではない。ひっそりとした駅前を歩いてみたいという興味が湧いてくる。

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室蘭駅から電信浜という砂浜まで歩いて行けそうなので、とぼとぼ歩いてみる。やはり地形の通り、室蘭は坂のある町だった。

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辿り着いた電信浜。室蘭市内ではここが唯一と言っていいほどの砂浜で、夏には多くの海水浴客で賑わうようだ。ところで、この「電信浜」という名前の由来だが、調べてみると、かつてこの近くに逓信省の無線電信局があったことにちなむらしい。

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電信浜は砂浜だったけど、北海道は砂利の浜が多いイメージがありますね。実際、北海道の海岸線は礫浜や岩礁海岸の割合が高く、砂浜は比較的珍しいと言えるかもしれません。

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室蘭駅近くの商店街は、かなり苦戦しているようだ。いや、もはや「苦戦していた」という過去形が適切だろう。シャッターを下ろした店舗が目立ち、営業している店はほとんど見当たらない。かつては室蘭市の玄関口として賑わったのだろうが、郊外の商業施設などに客足を奪われ、今は静まり返っている。

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店が開いているのを見つける方が困難。ここまで寂れてしまった商店街を目にするのは初めてかもしれない。それなりの広さがあるだけに、往時は多くの人で賑わっていたのだろうと想像すると、今の寂しさが際立つ。

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室蘭駅近くの商店街の静けさは、人口減少という事実を痛いほど感じさせる。

室蘭市の人口は、1970年には北海道で8番目となる約16万2千人でしたが、2024年には約7万5千人にまで減少しました(都市人口ランキング11位)。この間に約8万5千人(53.1%)の人口が失われました。2040年には約5万5千人まで減少すると予測されています。

鉄と共に歩んできた室蘭の街は、いまその象徴だった鉄鋼業の衰退によって、皮肉にも人口減少という大きな課題に直面しています。全盛期には煙突の煙が町の風景そのものだった製鉄所も、近年は事業の縮小が続き、若者が働き口を求めて街を離れていきました。気づけば、賑わっていた商店街も静まり返り、人影もまばらです。かつての繁栄がかえって今の寂しさを際立たせているようでした。

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1912年、室蘭本線のターミナル駅として誕生した旧室蘭駅舎。木造のモダンな駅舎は、当時の室蘭の象徴的な存在でした。1997年に駅が移転新築された際、この旧駅舎は解体されることなく、大切に現在の道の駅みたら室蘭の隣に移築されました。現在では、内部が改修され、観光案内所や休憩スペースとして、多くの人に利用されています。

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現在、旧室蘭駅舎は観光案内所兼休憩室として開放されているその場所は暖房が効いていて暖かい。にもかかわらず、利用者の姿は全く見当たらない。これでは暖房費が無駄になっているのではないかとさえ思ってしまう。

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休憩室のパネル展示で、かつての室蘭市の賑わいを知った。貨物列車で埋め尽くされていた昔の室蘭駅の写真は、今の静けさからは想像もできないほどだ。

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旧室蘭駅舎の横に展示されているD51蒸気機関車を間近で見たが、想像していたよりもずっと大きかった。型は違うけれど、今度の日曜日には同じ蒸気機関車が牽引する冬のSL冬の湿原号に乗車する予定なので、今からとても楽しみだ。(※SL冬の湿原号はC11形が牽引します。)

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室蘭港内は、まるで静かな湖のように穏やかだ。その水面には、空に浮かぶ白い雲がゆったりと映り込み、思わず息をのむほどエモーショナルな光景を作り出している。

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室蘭港周辺を歩くと、室蘭合同庁舎や胆振総合振興局といった行政機関が集中しているのが目に付く。古くから北海道の産業拠点として発展してきた室蘭市には、早くから行政機能が集積してきたのだろう。これらの施設は、室蘭市が現在も胆振地方における重要な役割を担っていることを物語っている。

室蘭駅前スーパー、鮮魚が充実!

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コープさっぽろ しが驛前店

室蘭駅周辺を散策中、コープさっぽろというスーパーを見つけたので入ってみることにした。観光地巡りも良いけれど、やはり地元のスーパーを見るのは楽しい。期待せずに鮮魚コーナーを覗いてみたのだが、その充実ぶりに目を奪われた。

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「助だち」という表示があったが、これはスケトウダラの白子のことらしい。一般的なタラの白子は真鱈の白子だ。スケトウダラの白子は真鱈に比べて安く、独特の風味と食感があるという。さすが北海道産だけあって鮮度も良く、形も崩れていなかった。

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「真だち」真鱈の白子。白老産というシールがあるのは、名産地なのか?助だちと比較すると確かに値段は高めに設定されている。こちらも物は良さそうだ。食べ比べして、味を確かめてみたい。

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北海道の日本海に面した岩内町で獲れたヤリイカ。刺身用というだけあって、身は透き通っていて鮮度が抜群だ。この新鮮さでこの価格なら、迷わず買いだろう。

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白老産の生真ホッケが500円で売られている。北海道以外では鮮度が保てず生で流通することは稀だと聞くので、なかなか見かけないだろう。

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私たちがよく知る淡水のかじかの他に、北海道の海にも同じ名前の「かじか」が生息しているとは驚きだ。そのかじかを使ったかじか鍋は、一度食べたら忘れられないほどの絶品で、「鍋壊し」という異名を持つほどだとか。一体どんな味わいなのだろうか?

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北海道産の「ごっこ」とはどんな魚なのだろうか。まだまだ知らない美味しい食べ物があるようだ。駅前のスーパーとは思えないほど鮮魚が豊富で驚いた。これほど地元のスーパーに新鮮な魚が並んでいるなら、きっと居酒屋でも美味しい魚料理が楽しめるに違いない。今までの経験からも、それは間違いないだろう。室蘭に滞在したくなってきた。

特急すずらん号で札幌へ

JR特急すずらん9号 札幌行き

  • 16:30 室蘭 – 乗車
  • 16:32 母恋
  • 16:35 御崎
  • 16:38 輪西
  • 16:43 東室蘭
  • 16:46 鷲別
  • 16:52 幌別
  • 16:58 登別
  • 17:11 白老
  • 17:25 苫小牧
  • 17:32 沼ノ端
  • 17:43 南千歳
  • 17:46 千歳(北海道)
  • 18:07 新札幌
  • 18:16 札幌 – 下車
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室蘭駅から始発の特急すずらん号が、静かに出発を待っていた。室蘭までは電化されているため、ディーゼル特急のようにアイドリングすることなく、静かに発車を待っている。

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「すずらん号」のUシートは普通席よりも座席間隔が広くゆったりしていると聞いていたため指定してみた。しかし、実際に座ってみると、普通席との違いはそれほど大きく感じられなかった。ただ、窓枠が一席ごとに独立している点は、指定席でよくある窓枠問題が解消されるため、良いと思った。

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特急「すずらん号」は東室蘭駅まで各駅に停車します。特例として、室蘭駅から東室蘭駅の間、またはその逆の区間のみを利用する場合は、特急券なしで普通車指定席の空席を利用できます。東室蘭駅周辺は、大型ショッピング施設が目立ち、室蘭駅周辺よりも賑わっています。

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東室蘭駅近くにある市営住宅東町弥生団地は14階建てで、周囲に際立った高い建物がないため、おそらくこの辺りでは一番高い建物かもしれません。市営住宅がその地域で一番高いというのは、珍しいケースかもしれませんね。

すずらん号は、予想以上に停車駅が多かった。東室蘭駅で多くの乗客が乗り込んだのに加え、鷺別駅、幌別駅と進むにつれて乗客は増えていった。さらに、登別駅からは予想通り多くの中国人観光客が乗り込み、苫小牧駅からも多数の乗客があり、車内は8割程度の乗車率となった。

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この区間の乗客の多さを考えると、北海道新幹線を少し迂回させてでも、この地域を経由させるメリットはあったのではないかと個人的には思う。ただ、現在の路線は電化されており、線形も比較的良い。高速化の必要性が低いと判断されたのかもしれない。

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 札幌駅からすすきのまで地下道だけで接続されている利便性は、改めて素晴らしいと感じる。今日も雨が降る中、傘なしで目的地まで移動できた。一般的に、地上に店舗などが密集している場所での地下道建設は、権利関係などから調整が難航することが多い。そのような状況下で、この地下道を建設した当時の行政の決断は評価されるべきだろう。

カレー2軒目:羊骨を使った濃厚スープ「しゃば蔵」

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前回訪れて美味しかったスープカレー店「しゃば蔵」。昨日も再訪を試みたのですが、多くの待ち客を見て諦めました。その後、ホットペッパーで予約できることを知り、予約しておきました。これほど人気のあるお店なのに、インターネット予約の枠があるのは本当に助かります。以前いただいたここのスープカレーは、一般的なものとは全く違う、肉の旨みが凝縮された濃厚なスープで、忘れられないほどでした。

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前回美味しかった人気のラム肉のスープカレーを今回も注文しようとしたのだが、残念ながら売り切れだった。

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煮込みラムバーグ SOUP CURRY (野菜9品)

もう羊肉の気分になっていたので、煮込みラムバーグを注文した。

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これでもかというほどゴロゴロと入った野菜たち。ほくほくの揚げごぼう、珍しい煮込まれた大根、他にもじゃがいも、キャベツ、人参、ピーマン、茄子、南瓜など色々な種類の野菜が、それぞれ食べ応えのある大きさにカットされています。この野菜の量だけでも、お腹いっぱいになりそう。

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ジューシーなラムバーグは、癖が全くなく、想像以上にさっぱりとしていて美味しかった。「しゃば蔵」ならではの羊骨香味スープは、その豊潤な香りと奥深いコクがたまらない。たっぷりの野菜とラムバーグ、そして濃厚なスープで、お腹も心も満たされる、大満足の一品だった。
スープは羊肉香味スープのほかに、ヘルシースープ、白湯スープ、MIXココナッツがあります。

ビズコートキャビンすすきの

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昨日宿泊したガーデンキャビンは、金曜日と土曜日の料金がかなり高くなるため、別のホテルに変えました。今日の宿はルートインホテル系列のキャビンタイプのホテルで、平日の料金とあまり変わらなかったので選びました。すすきのの真ん中にあるレストランなどの商業施設が入ったビルの4階にあります。しかし、そういった雑居ビルであるがゆえに、今朝、ちょっとした悲劇が起きてしまいました。

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隣と上下が互い違いという構造のキャビンタイプは、想像以上にプライベート感があり、これは本当に快適だった。大きなロッカーがキャビンのすぐそばにあるのも、使い勝手を大きく向上させている。そして、何より立て付けがしっかりしていて、隣の音や振動がほとんど気にならなかったのが良かった。

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連泊時の清掃不要特典としてドリンクサービスがあり、冷えたビールを早速いただくことに。出てきたのは一番搾りだった。北海道に来たのだから、サッポロクラシックだったら最高だったのだが、無料サービスなので文句は言えない。ありがたくいただこう。

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4階のフリースペースから外を眺めると、すすきのらしい夜の景色が広がっていた。ピンクや青のネオンサインが輝く、風俗店が入ったと思われるビルが何棟も目に飛び込んでくる。夜の時間帯のためか、店の前で呼び込みをしている人の姿も見える。

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怪しげな店名が並んでいる様子は、実にいかがわしい。まさに風俗街のど真ん中に位置しているので、宿泊費を抑えつつ、夜のすすきを満喫したい人にとっては、これ以上ないほど打ってつけのホテルだと思う。

さあ 明日はどこへ行こうか

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