ハードな日程が続きます。休養日なしで、今日もツアーに出かけます。今日はウプサラという、ペリト・モレノとは別エリアの氷河を見に行くクルーズツアーに参加します。

お昼ごはんを昨日スーパーで買った食材で仕込みます。ハムとチーズがサイコロ状に入ったパックが大活躍でした。フライパンで軽く焼いてパンにのせるだけなのに、ボリューム満点のひと品に。我慢できずに、食べてしまいました。

今日も天気は良さそう。ただ、国立公園に入るたびに徴収される入場料が地味につらいところです。60ペソ(1,800円)、毎回これはきつい。複数回割引でも導入してほしいものです。

バスでプンタ・バンデーラ港まで移動し、そこから船に乗り込みます。参加者が多く、2艘の船がほぼ満員状態での出航です。
氷河湖クルーズ

船は甲板に出ることができます。前方・横・後方とすべてのデッキに立ち入れるのですが、やはり前方が一番人気。みんな少しでも早く氷山を目に収めたいのでしょう。

しばらく進むと、最初の氷山が見えてきました。ここはカラファテ前と同じアルヘンティーノ湖ですが、湖があまりにも広大なので、さすがに街の目の前まで流れてくることはないでしょう。

岩の影で日差しが当たっていない氷山。青白く輝いています。氷河の氷は長年の圧力で気泡が少なく、透明度が非常に高いため、青い光だけを反射するのだそう。何万年もかけてつくられた氷の、なんとも神秘的な色です。

アンデスの山々もとても美しい。

比較対象がないので写真ではわかりにくいかもしれませんが、体感的に水面上だけで15mほど、ビルの5階部分くらいの高さはあったと思います。氷山は全体の約9割が水中に沈んでいるといわれているので、実際にはその10倍近い巨大な塊が水の下に隠れていることになります。

前方デッキの特等席は、気合の入ったおばちゃんにがっちり確保されていました。船は時速50kmほどで走るので甲板はなかなか寒いのですが、まったく動く気配なし。

出発してしばらくは、氷山が見えるたびに人だかり。みんな必死にカメラを向けています。ちなみに帰り道には、同じような氷山をすっかりスルーするようになっていました。見慣れるというのは不思議なものです。

氷山の数が増えてきました。遠くには、ウプサラ氷河の本体が見え始めています。とんでもない大きさです。

この青白さはほんと独特。

氷山は光の向きによって見え方が変わりますが、逆光のときが特に青さが際立ちます。氷の中では赤い光が吸収されて青い光だけが透過してくる性質があるため、光が氷を通り抜けて目に届く逆光のときに、その青さが一番よくわかるのです。

みんな氷山に夢中。船はウプサラ氷河には向かわず、途中で左に旋回していきました。

セコ氷河です。地球温暖化の影響で後退が続いており、かつて氷河に覆われていた岩肌がむき出しになっていて、削られた跡がくっきりと残っています。

続いて見えてきたのが、セロ・ペイネタ(標高2,068m)。山の中腹から頂上にかけて氷河が広がっています。このペイネタ氷河はスペガッツィーニ氷河に注ぎ込む支流のひとつだといいます。山と氷河が一体になった景色は迫力がありますね。
滝のようなスペガッツィーニ氷河

スペガッツィーニ氷河が見えてきました。幅1.5km、長さ25kmに及ぶ巨大な氷河で、湖に注ぎ込む先端の壁は最高135mにも達します。ロス・グラシアレス国立公園で最も「高い」氷河です。

写真に船が写っているのですが、わかりますか?氷河の壁の前に浮かんでいるのに、まるでおもちゃのように小さく見えます。それだけ、目の前にそびえる氷の壁が規格外のスケールだということです。

世界的に氷河の後退が続くなか、スペガッツィーニ氷河はペリト・モレノ氷河と同様、今も衰退の兆候が見られない珍しい氷河だそうです。

ペリト・モレノほどの横幅はありませんが、山の斜面からあふれ出すようにそそり立つ氷の壁はまた別の迫力があります。氷の流れが今まさに注ぎ込んでいるような、ダイナミックな印象。

船は前・横・後ろと停船を繰り返しながら、ゆっくりと見学させてくれます。さっきまで前方を占領していたおばちゃんも、ここでようやく場所を譲っていました。船は3階建てで、定員300名近くを乗せられる大型カタマラン。それでも氷河の壁の前に並ぶと、ずいぶん小さく見えてしまいます。

それにしても、青さが際立ちます。氷河の氷は長い年月をかけて圧縮され、気泡がほとんど失われた状態になります。すると赤い光を吸収し、青い光だけを反射するようになる。スペガッツィーニは非常に急峻な山の斜面に沿って流れ落ちるため、さらに圧縮が強くかかり、ほかの氷河より青が一段と濃く見えるのだといいます。
甲板は人だらけで、写真を撮るのもひひと苦労です。自分は身長があるほうなので、人の頭越しに氷河だけを収めることができましたが。

スペガッツィーニ氷河を後にして、ウプサラ氷河へ向かいます。

船内は快適な設備が整っていますが、ほぼずっと甲板で過ごしていました。船内には撮影スタッフが乗っていて、撮った写真がモニターに表示され、気に入ったものを購入できるしくみになっています。

氷山の真ん中に丸い穴がぽっかり開いている氷山の前で停船しました。どうやったら丸い形になるのか不思議に思って調べてみると、氷河だったころに融け水が流れていた通路の跡だとわかりました。いわば、氷でできた天然の水道管。それが氷河から切り離されて氷山になっても、穴だけが残ったということですね。

ちゃんと丸の部分が写っていたのでOK。

自然の造形美をお楽しみ下さい。




氷山はどれも形がまるで違っていて、眺めていると飽きません。それにしても、水面上に見えている部分はほんの1割で、残りの9割が水中に隠れているというのは、なんとも恐ろしい話です。船はこのルートに慣れているでしょうが、安全運航を切に願うばかりです。
南米最大のウプサラ氷河

ウプサラ氷河が見えてきました。幅5〜8km、長さ60km、面積870km²という南米最大の氷河です。氷河だけで琵琶湖(670km²)の1.3倍ほどの広さ。滋賀県民としては何かと琵琶湖で比較してしまいます。

圧倒的なスケール。先端の氷壁だけで高さ80〜100mに達します。しかし、アルヘンティーノ湖の最深部は719mで、しかもその最深点がウプサラ氷河の正面に位置しているのです。湖面は海抜187mにあるため、最深部は海面下541mまで沈んでいる計算になります。水面上の氷壁80〜100mに水深最大719mを加えると、目の前に存在しているかもしれない氷の塊は合計800m超。333mの東京タワー2.4個分に相当する氷が隠れているとは…

逆光だったのですが、かえってその妖艶な青さが際立ちます。
写真の奥に浮かぶ円盤状の雲、あれはレンズ雲です。強風が山脈にぶつかって生じる波状の気流により形成される雲で、UFOのような独特の形が特徴。静止しているように見えますが、実際には常に新しい空気が流れ込んでいます。パタゴニアの強風地帯はレンズ雲の名所としても知られているそうです。

黒い筋は、60kmの長旅の途中で岩盤を削り取ってきた堆積物の跡だそうです。上空から見たらどれほどの迫力か、想像するだけで気が遠くなります。スペガッツィーニとは対照的に、温暖化による後退が特に顕著な氷河としても知られています。

ウプサラ氷河の後は別の入江に入り、港に到着すると売店があったので、エンパナーダを購入。アルゼンチンの国民的軽食で、具だくさんのパイ包みです。12ペソ(360円)は観光地価格だったけど、このボリュームはかなりお得。
氷山が滞留するオネージ湖

パタゴニアの森の中を1kmほど歩いていき、森を抜けると湖が見えてきました。

オネージ湖は浅くて穏やかな湖で、まるで公園の池のようなたたずまい。それなのに、無数の氷山や氷塊が湖面を埋めつくしています。
オネージ、アガシー、ボラドという3つの氷河が流れ込んでいるためで、アルヘンティーノ湖と細い水路で繋がってはいるものの流れが緩やかなため、大量の氷が滞留するのだといいます。

湖畔では、チャルテンからのバスで一緒だったイタリア人旅行者と偶然の再会。写真を撮ってもらいました。ただ、「このまま氷河まで歩いていこう」と誘われたものの、集合時間が迫っていたので丁重に断りました。
結局その彼は遅れて戻ってきたので、断って正解でした。そういえばリマのサンフランシスコ教会でも、撮影禁止のエリアで写真を撮りまくって注意されていたのもイタリア人でしたが……。

コーラを購入。チャルテンのトレッキング以来、なぜかコーラがマイブームになっています。ビールよりも炭酸が恋しい。糖分が多いのでほどほどにしつつ、ぐびっと飲み干します。ちなみに今日2本目。7ペソ(210円)×2缶。

アンデスの山並みを眺めながら、港へと戻ります。氷河や氷山がなくても、これだけで十分絵になる景色です。

船はカタマランなので船首が2つあり、帰りは甲板にいる人がぐっと減ったおかげで、特等席を余裕でゲットできました。

この日は2艘体制だったのですが、おかげで船と氷山の大きさの対比が一枚の写真に収まり、氷山のスケール感がよく伝わる写真が撮れました。
ツアー代金は335ペソ(10,050円)と決して安くはありませんが、天気に恵まれれば十分満足できる内容だと思います。氷山の浮かぶ湖をクルーズする機会なんて、そうそうありませんからね。

午後になると気温が上がり、外を吹く風がちょうど心地よくなってきました。
16時半に港へ帰着。これだけ人気のツアーなのに、日本人どころかアジア人も一人も見かけませんでした。

送迎バスで藤旅館に戻ったのは17時半。久しぶりに早い時間の帰還だったので、たまっていた洗濯を済ませます。
アサード専門店でビーフステーキ

宿では自炊派が多かったのですが、この日は一人で外食へ。以前から何度か前を通るたびに気になっていたお店です。

店頭の炉で、子羊が串刺しのまま丸ごと吊るされて焼かれています。パタゴニア名物のアサード(炭火焼き)専門店のようで、店内はかなりの混みようでした。

今日もビールがうまい。毎日飲んでるなあ。6ペソ(180円)、チャージ4ペソ(120円)。

パタゴニア名物のアサード(炭火焼き)専門店のようで、店内はかなりの混みようでした。

名物の子羊の丸焼き(コルデロ)は、ウシュアイアで少し分けてもらったときそれほど感動しなかったので、今回は牛肉にしました。サーロインステーキ、39ペソ(1,170円)。焼き加減を聞かれたのでミディアムと答えると、ちゃんとその通りに仕上がってきました。

肉厚でやわらかく、和牛には及ばないものの十分おいしい。ところどころ筋があったのはご愛嬌。久しぶりの外食、やっぱりいいものです。やっぱりライスは置いてませんでした…
