カラファテに来た目的は、なんといっても氷河観光。自分の中では今回の旅行で一番のハイライトです。
この日は氷河をトレッキングするツアーに参加しました。コースは「ミニトレッキング」と「ビッグアイス」の2種類。ビッグアイスは氷河の上を4時間以上歩く本格的なコースで、ミニトレッキングは展望台でじっくり見学できる時間が長めのコース。せっかくなら氷河をじっくり眺めたいと思い、展望台での時間が長いミニトレッキングをチョイスしました。
ペリト・モレノ氷河へ

ツアー代は400ペソ(12,000円)とかなりの高額。さらに国立公園の入場料が60ペソ(1,800円)必要で、合計460ペソ(13,800円)になります。それでもバスは満席で、ツアーは大人気。

町を出発すると、遠くに雪をまとった山々が見えてきます。山のまわりには雲がかかっていて、天気がちょっと心配でした。

だんだんとパタゴニアらしい風景になってきました。

そして遠くに氷河が見えてきました。想像していたよりもはるかにでかい!

氷河の手前でボートに乗り換え、アルヘンティノ湖を渡ってトレッキングのスタート地点へ移動します。

湖の上は風がとにかく強く、湖なのにかなりの波が立っています。寒いのに、みんな2階席に上がって氷河を眺めるのに夢中です。

氷河の高さは水面上だけで40m以上。ボートから見上げると、その迫力に圧倒されます。

氷河ブルーはほんとうに美しい。曇り空でもこれだけ鮮やかですから、晴れていたらどれほどだったか。

みんな寒いのに食い入るように見てます。

船を降りると、ログハウス風の小屋で手袋を受け取り、スペイン語チームと英語チームに分かれます。

氷河のある場所までは、しばらく歩いて移動します。同じ宿からはKさんと日本人女性1名も参加していました。

氷河が見える場所でしばらくガイドの説明を聞いていると、初めて崩落が起きました。氷河まではかなり距離があるにもかかわらず、雷が落ちたような轟音。

先行しているチームがすでに氷河の上を歩いているのが見えます。人と比べると氷河の巨大さがよくわかります。それでもここは端のほうで、高さはそれほどでもない場所。写真に小さく人影が写っているのですが、その人影と見比べると、氷河のスケールの大きさが伝わるでしょうか。

氷河の手前でアイゼンを装着してもらいます。スタッフが全員分やってくれるので楽チン。
氷河の上を実際に歩いてみた

いよいよ氷河の上へ。スタッフ2人が同行し、ルートを確認しながら進んでいきます。くれぐれもルートから外れないようにとの注意あり。歩いている様子を写真に収めたいので、最後尾からついていくことにしました。

ペリト・モレノ氷河は崩落が多く、活発に動き続ける氷河として知られています。ただし中央部と比べて端の部分は動きが少なく、だからこそトレッキングで歩くことができます。その分、岩や土砂が混じって見た目はわりと黒ずんでいて、正直あまりきれいではありません。

登りはつま先を外側に開く、いわゆるハの字の逆。ペンギンのようによちよちと、歩幅を狭くして歩くようにと言われました。

少し晴れ間が出てくると、氷河の青さがぐっと増します。氷の割れ目に深い青が顔をのぞかせていて、思わず足を止めてしまいます。快晴だったら白と青のコントラストがどれほど美しかったか。

奥へ進むにつれて、氷河の表面も徐々にきれいになってきます。

氷河の割れ目をのぞくと、細い隙間の奥に鮮やかな青が見えます。氷は長い年月をかけて雪が圧縮されてできるため、気泡がほとんどなく透明。光が氷の奥へ奥へと入り込み、赤い光は吸収されて、青い光だけが反射されて目に届きます。クレバスが深くなるほど光の旅する距離が長くなり、それだけ青が濃くなるというわけです。

水が流れ落ちて穴が広がり、底が見えないほどの深さに。吸い込まれそうな濃いブルーが広がっています。

深くなるほどに青さが増していく、見事なグラデーション。これぞパタゴニアブルーと呼ぶにふさわしい光景です。

非常にきれいな水なので飲めるとのことで、実際に飲んでみました。まったく味がしません。不純物がなさすぎて、逆に物足りないくらい。ピュアすぎる水、といったところでしょうか。ただし、とにかく冷たいので飲みすぎには要注意です。

たそがれ風に…。
ウイスキーのオン・ザ・氷河

戻ってくると、テーブルの上にグラスが用意されています。スタッフが氷河を削って氷を持ってきました。お、これはもしかして……。

ウイスキーをそそいで…。

ウイスキーを注いで、氷河でオン・ザ・ロック。粋な演出です。ただウイスキーの味が強すぎて、水で割ってもらいました。

ツアーのイベントのひとつで、風の通り道になっている場所へ連れていってもらいました。膝を曲げて踏ん張っていないと、本当に吹き飛ばされそうになります。なにかの我慢大会みたいでした。

氷河のトレッキングは1時間30分ほどで終了。正直、もう少し歩きたかったので、やっぱりビッグアイスにすればよかったかなとも思いました。でも、この天気ではミニトレッキングでちょうどよかったのかもしれません。

ツアー代はあれだけ高いのに、昼食は自前。何も持ってきていなかったので、Kさんにキンパを分けてもらい、日本人女性にもパンを少しいただきました。自分の準備不足は棚に上げつつ、これだけ人が来るなら売店のひとつぐらいあれば繁盛するのにと思いました。
氷河の崩落を音で感じる

早めに食事を済ませて、氷河が見える眺めのいい場所へ。強風に耐えながら、崩落待ちです。

ギザギザした氷の塊と、吸い込まれるような青さ。しばらく眺めていると、突然バキバキという凄まじい音が響きます。落ちる前にあの音がするんですね。そして轟音とともに氷の塊が崩れ落ちる。雷が落ちたような衝撃です。

そして轟音とともに氷の塊が崩れ落ちる。雷が落ちたような衝撃です。

落ちる前にあの音がするので、カメラを構える余裕があります。崩落の瞬間を収めるのは、意外と難しくありません。

しばらくすると2発目の崩落。今度は先ほどより近い場所です。

遠目から眺めているだけですが、音の迫力は本物。思わず声が出てしまいます。
ペリト・モレノ氷河は「生きている氷河」とも呼ばれ、中央部では1日に2mものスピードで前進し続けています。世界的に温暖化の影響で後退する氷河が増える中、この氷河はほぼ大きさを変えていない希少な存在。絶えず動き続けているからこそ、崩落が頻繁に起きるわけです。

再び船に乗り、展望台へ向かいます。帰りの2階席はガラガラ。みんな満足して力尽きたのか、強風にわざわざ当たりに行く人はほとんどいませんでした。

かつては氷河の先端が対岸の陸地まで到達し、湖を真っ二つに分断することがあります。そうなると手前のリコ水道側は出口がなくなり、水が溜まり続けて奥のアルヘンティーノ湖との水位差が8〜10mほどに。最大では22mに達したこともあるそうです。やがてその水圧に耐えきれなくなった氷河が押し出され、大量の水が一気に放出される大崩落が起きます。この写真でも、左右の氷河の間にぽっかりと水道が開いているのがわかります。この大崩落は数年に一度起きる現象で、2004年、2006年、2008年と立て続けに観測されているそうです。

写真に収まっているのは氷河全体のほんの一部。船から見えているリコ水道側だけで幅2km、全体では5km近くに及びます。改めてそのスケールの大きさに圧倒されます。

アルゼンチンの国旗の水色。見慣れてくると、氷河ブルーに見えてきます。
ペリトモレノ氷河を一望

展望台に到着。高い場所から見渡すと、氷河が山の奥まで延々と続いているのがわかります。ただ、山の奥は雲がかかっていて、どこまで続くのかは確認できませんでした。

とにかく大きすぎて、写真に収まりきりません。この迫力は、実際に目の前に立ってみないと伝わらないんですよね。

もうちょっとしゃれた展望台にしてほしい。

展望台の先端付近が最も高さのある場所で、湖面からの高さは60m。ビルで言えば20階建てほどの氷の壁が目の前にそびえています。

「自然ってすごい」。ありきたりな言葉ですが、それ以外の言葉が出てきません。

展望台は氷河との距離が近いぶん、ちょっとした崩落でも音の迫力が段違いです。1時間ほど粘りましたが、大きな崩落には恵まれず。残念。

駐車場まで戻ってきても、広角レンズで撮っても氷河全体が収まりきりません。晴れてくれていたら、どれほどの絶景だったか。後ろ髪を引かれる思いで、ペリト・モレノ氷河を後にしました。
初めての自炊
外食続きでそろそろ飽きてきたし、肉ばかりでバリエーションがないので、この日は自炊にチャレンジ。南米の安宿にはたいていキッチンが備わっているので、節約派のバックパッカーは自炊している人が多いです。

近くのスーパーマーケットへ買い出しに。驚いたのが地元の人の買う量で、カートに山盛りどころかはみ出すほど。レジを通すのに時間がかかるので、どのレジも大行列でした。

カラファテの街はアルヘンティーノ湖に面しています。ペリト・モレノ氷河はこの湖につながっているのですが、湖の色が独特の水色をしています。これは氷河が岩盤を削ってできた非常に細かい粒子が融け水に混じって湖に流れ込み、光の青系統の波長だけを反射するためです。

夕食はパスタのポモドーロにしてみました。茹ですぎてしまい、ちょっと失敗。それでも1人前の材料費は5ペソ(150円)ほど。カラファテは観光地だけあってレストランはどこも高く、1食1,000円以上は軽くかかります。自炊の節約効果は絶大ですね。

スーパーの惣菜コーナーで買ってきたローストビーフ風の前菜も追加。こちらは10ペソ(300円)と少々お高めでしたが、ビールのつまみには最高でした。
翌日はチャルテンへ移動してトレッキングの予定です。宿の宿泊者も4人が同じく向かうのですが、みんな日帰りとのこと。自分はフィッツロイをもっと近くで見たかったので、チャルテンに1泊することにしました。フィッツロイは標高3,405mの岩峰で、アウトドアブランド「patagonia(パタゴニア)」のロゴマークのモデルになった山としても知られています。
