
無料の朝食は魅力的でしたが、開始時刻が6時半では間に合わないため断念。午前5時半前にホテルを出発。雲一つない素晴らしい空が広がっています。進行方向正面には剱岳、稜線が織りなすシルエットが実に美しい。立山から流れてくる常願寺川を渡り、右に曲がって立山駅を目指します。

立山黒部アルペンルートの富山 側の起点立山に到着。ホテルからはおおおそ1時間弱でした。
富山県では日帰り旅行にも旅行支援を適用していて、立山黒部アルペンルートが販売している「秋割キャンペーン」はとってもお得でしたので利用しました。秋割キャンペーン内容と価格は以下の通りです。
◎ 立山駅~大観峰 往復プラン 7,000円
※以下のものが含まれます
- 立山駅-大観峰 往復乗車券:9,620円
- アルペンルートクーポン券:2,000円分
(お食事・売店で利用可能) - 富山おみやげクーポン:3,000円分
7,000円の支払いに対して5,000円分のクーポンが付くので、実質2,000円というのはお得だと思います。しかし以前は立山から室堂まで往復4,000円弱だったことを考えると…。値上げもある程度は仕方ないと思いますが、本当に上がりすぎだと思います。

立山ケーブルカーは、平均勾配は24度、最大斜度は29度と、日本一の急勾配です。立山駅(標高475m)と美女平駅(標高977m)間の標高差502mを、移動距離1.3kmで7分かけて結びます。駅の階段も、改めて見るとかなりの急勾配です。事前に Web 予約してあるので7:00始発のケーブルカーに乗車します。

美女平(標高977m)から室堂(標高2,450m)までは、立山高原バスで移動します。約1,500mの標高差と23kmの距離を、50分かけて登っていきます。残念ながら窓側の席には座れませんでした。
冬山装備?一の越まで行ってみるわ。

標高2400mの室堂バスターミナルに到着し、外へ出ると雪の世界でした。特に日陰になっている雄山方面は、まるで冬の世界です。これほどの雪があるとは想定しておらず、冬の登山装備は携行していません。雪に対応した登山靴だけが頼りですが、アイゼンはなく、手袋も薄手のインナーのみ、防寒用のダウンもありません。この装備で大丈夫なのか、非常に不安です。
登山からしばらく遠ざかっていたため、完全に準備不足でした。前日、富山市役所の展望台から見た限りでは、雪があるように見えなかったのですが…。

水たまりが変わった凍り方していますね。結構冷え込んでるはずですが、風が無風に近いのでそれほどは寒く感じない。標高2400mの世界は雪の世界にかわりつつあります。

同じ始発便で到着した人の多くは、やはり登山者のようです。整備されているとはいえ、一の越までの登山道がどの程度雪に覆われているかは気になりますが、人も多いことですし、慎重に進めば大丈夫だと信じたいです。

浄土山との分岐点ですが、皆さん一の越方面へ直進していきますね。北側斜面は日差しが当たらないのか雪が多く残っていそうです。この様子だと、立山雄山を目指す方が多いのでしょう。これほど多くの登山者がいるのを見ると、少し安心します。

雄山の北側斜面、本当に格好いいですね。あの感じ、ガトーショコラみたい。
ただ整備された石の道が、思った以上に歩きにくいです。雪が中途半端に残っていて、雪が融けて凍ったところが連続するので、滑らないように神経を使います。

別山から雷鳥坂。ここの斜面の模様は美しいね。

室堂から一の越までは、普通なら一時間ちょっとだけど、滑らないように慎重に歩いているのでかなり時間かかりました。ゆっくり歩いているおかげで、体力的な息切れはしないのですが…。

とりあえず、何とか無事に一の越までたどり着けました。精神的にかなり疲れましたが…。一の越では、南東側の視界が開け、遠くには槍ヶ岳や笠ヶ岳の雄姿を望むことができ、さらにわずかに富士山の山頂も見えています。日当たりの良い場所には雪がほとんどありません。
浄土山は立山主峰を望む展望台

やはり雄山方面はアイゼンがないと危険だと感じたため、無理せず緩やかな浄土山方面へ向かうことにしました。また、来た道を下るのは滑りそうで不安なため、浄土山を経由して室堂に戻るルートを選択します。やはり浄土山方面は登山者が少ないようで、静かな山歩きが楽しめそうです。

ハイマツ帯をのんびりと歩いていると、ふと振り返った瞬間、立山主峰の美しい景色が目に飛び込んできました。この景色を見られただけでも、浄土山ルートを選んで本当に良かった。ハイマツの緑の上にうっすらと雪が積もった様子は、まるで抹茶ガトーショコラのよう。

一の越から雄山への登山ルートで、雪が積もっていなければコースタイムは1時間ですが、雄山には人影が見えますね。皆さん早い!
右手に建物があるピークが雄山(標高3,003m)です。そして左側に突き出ているのが、立山連峰で最も標高の高い大汝山(標高3,115m)です。『立山』というのは特定の山の名前ではなく、これらの山々を含む連峰の名称です。

薬師岳方面への分岐点です。中央の平らな場所が五色が原で、以前訪れたことがありますが、道中はアップダウンが多くて意外と大変でした。五色が原の手前に、戦国時代の武将「佐々成政」が厳冬期に踏破したというザラ峠も存在します。しかし今日は、空の抜けが実に見事で、遠方の山々の稜線までくっきりと目に映ります。


平らな浄土山の南東にぽっこりと突き出た龍王岳(標高2,872m)。岩場と氷雪が混在しており、難易度は高そうですが、登山者の姿が見られますね。残念ながら、小心者の私にはとても真似できません。
先ほどの一の越地点よりも、富士山の山頂がいくらかはっきりと見えるようになりました。ここから富士山までの直線距離は約167kmです。ちなみに日本で一番遠くから富士山が見えるとされている場所は、和歌山県那智勝浦町の「色川富士見峠」で直線距離322.9kmとほぼ倍になるそうです。

浄土山の山頂付近はこんなに真っ平です。

浄土山方面へ登られる登山者は、圧倒的に少ないようですね。やはり、大半の方が立山の主峰である雄山へ向かわれるようです。個人的には、間近にそびえる立山連峰の雄姿が格好良く見える浄土山からの眺めの方が好みです。さて、本日はこの後、大観峰へも立ち寄る予定ですので、そろそろ室堂平へと下山することにいたします。
スリップ注意、室堂平への下り

思ったより下りが厳しかった…。しかも岩場で嫌な感じですね。雪が凍りついて非常に滑りやすく、非常に歩きにくいです。登りならまだしも、下りなので一層神経を使います。手を使わないと危ない場所が多く、足が滑ると転倒必至の状況で、気が抜けません。もはや写真を撮る余裕はなく、首から下げていたカメラもザックにしまいました。

雪が凍りついて非常に滑りやすく、非常に歩きにくいです。登りならまだしも、下りなので一層神経を使います。手を使わないと危ない場所が多く、足が滑ると転倒必至の状況で、気が抜けません。もはや写真を撮る余裕はなく、首から下げていたカメラもザックにしまいました。
雷鳥を見ることができました!冬に向けて、毛が白く変化している途中みたいです。本当に可愛い…。ああ、こんな瞬間を大きく撮れたら最高だったのに、望遠レンズを置いてきてしまったのが悔やまれます。

今回のルート選びは完全に裏目に出ました。素直に一の越まで引き返す方が賢明だったかもしれません。ただ、一の越からの帰り道も凍っていた可能性はありますね。雪がある上に凍結しているという状況も、完全に読み誤りました。

結構下って来たけど、依然として岩と氷が混在する道が続いています。踏み固められた雪の部分は、まるで氷のように硬くなっています。奥に見えるのは雄大な大日岳と、その先に広がる富山湾です。しかし、足元に神経を集中させているため、景色をゆっくりと眺める余裕はほとんどありません。「早く終わってくれ~~。」

やっとの思いで、この斜面を降りきることができました。この北向きの斜面は、太陽の光が当たりにくい分、雪解けが遅れていたのでしょう。ともあれ、無事に下山できて一安心です。
室堂平でボーナスタイム

ここからは整備された道となり、雪の心配もなく、安心して歩けそうです。周囲の景色は、まるで季節が秋に戻ったかのように感じられます。中央に建っているのは、「立山室堂山荘」という山小屋です。

陽光が差し込むことで、立山の斜面は実に色彩豊かで美しい表情を見せています。朝のモノクロームの世界とは、全く別の顔ですね。しかし『ガトーショコラ』という表現が、どうも頭から離れないのです。

くだってきた浄土山は、山頂は比較的平坦で広々としていましたが、室堂平から見上げると、独立峰のように堂々とした姿に見えます。

一般的な立山三山 | 信仰の立山三山 |
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雄山(3,003m) 大汝山(3,015m) 富士ノ折立(2,999m) | 雄山(3,003m) 浄土山(2,831m) 別山(2,880m) |
立山信仰においては、それぞれの山に意味合いがあり、浄土山は「過去」、雄山は「現在」、別山は「未来」を表すとされています。これらの山々を巡ることは、自身の人生全体を見つめ直す旅とも考えられていました。
ミクリガ池

みくりが池。池ですね…だったのですが…

回り込んだ現れたミクリガ池は別物でした。立山と浄土山が完璧ではないものの映り込み、その美しさは格別です。少しだけ残る雪が、さらにその景色を引き立てています。


みくりが池温泉の下に広がる地獄谷は、かつては観光客も訪れることができましたが、2017年以降、火山ガスの噴出が活発なため通行止めが続いています。現在では、安全確保のため立ち入りは厳しく制限されています。私も以前、地獄谷を歩いたことがありますが、その当時から既に硫黄の臭いが充満し、呼吸が苦しくなるほどでした。
室堂→大観峰→立山駅

今回のプランには大観峰までのトロリーバスが含まれています。行くしかないでしょう。

大観峰の展望台から見渡す黒部平と黒部湖。もう少し色づいた紅葉を期待してましたが、だいぶ終盤を迎えていました。なぜかスマートフォンで撮るとそれなりに色づいているように見えるから不思議です。登ってくるロープウェイの姿を眺め、今日はここまでとし、夕方までに富山市内で行きたいお店があるため、急いで戻ります。滞在時間はわずか20分ほどでした。
トロリーバスで大観峰から室堂へ戻ると、高原バスへの乗り換えはわずか5分。それほど混んでおらず、次のバスに乗車できました。やはり紅葉のピークを過ぎているため、例年より人も少ないのかもしれませんね。

弥陀ヶ原付近。バスの窓ガラスは 紫外線カットが効いているのかちょっと色がよくないですね。

立山ケーブルカーの美女平駅。 ほんと階段が急なので、転けたら偉いことになりそう。

立山駅に戻りました。麓の紅葉はこれからのようです。アルペンルートクーポン券を使っていなかったので、立山駅でお土産を購入しました。もう少し実用的なものに使いたかったです。
対照的に、富山おみやげクーポンは利用できる場所が豊富です。都道府県ごとに使える業種は異なりますが、富山おみやげクーポンはガソリンスタンドやスーパーマーケットも対象となっているため、非常に便利です。

郊外に魚屋があるのが富山っぽい

富山インター近くの「まるなん」という魚屋さんに寄ります。海から遠いところに、魚屋があるのは実に魚にこだわりのある富山っぽいですよね。

お刺身の種類が豊富で、見ているだけでワクワクします!これは本当に嬉しいですね。 職人さんが鮮魚を捌いていたので、これは期待できそうです。白ご飯はなかったので 昨日のスーパーで買うことにします。

ホテルで入浴と洗濯を済ませ、乾燥が終わるまでの時間を利用して、ホテルからほど近い総曲輪エリアを散策しました。かつては富山で最も賑わった場所だったようですが、今は人通りが少なく、寂しい印象を受けました。「大和富山店」という百貨店は営業を続けており、隣の「グランドプラザ」も再開発されて綺麗になっていますが、残念ながら人の気配はあまり感じられませんでした。


総曲輪商店街から道路を挟んで「さんぽ~ろ」という長い商店街があったが、こちらも本当に寂しいほど人通りがありませんでした。しかし富山市にこれほど長い商店街があったことに驚きました。昔はきっと賑やかだったのだろうと想像できます。富山市はコンパクトシティ構想を推進し、路面電車の整備も進めていますが、やはりモータリゼーションの流れには逆らえないようです。また北陸新幹線の開業は、富山駅周辺に新たな商業施設などを集積させ、結果的に旧来の繁華街に追い打ちをかけているかのようです。

大阪屋ショップへ行ったら、また半額祭りだったので、せっかく刺身の盛り合わせを買っていたのに、お寿司もつい買ってしまいました。ただ、お寿司は富山らしさはなく、普通でした。

「まるなん」さんの自家製しめ鯖、これは本当に絶品でした!富山の魚屋さんの底力を感じますね。お刺身の盛り合わせは他のネタも美味しい。左上のふくらはぎは身が引き締まっていて、薄切りなのに味わい深いタコ、そしてぷりっとした甘えび、どれも新鮮そのものでした。