4日目 船の旅|ミャンマー2006

シュエサンドー・パヤーから眺めるバガン遺跡
2006ミャンマー

まだまだ夜が明けない中、チェックアウトをすませ、
ボート乗り場にいく旅行者にシェアしないかと声をかけられたが、
彼はすでにドライバーと交渉中のようで、
自分は昨晩に別のドライバーと話をしていたので、
その話はことわりひとりでボート乗り場へ向かう。
へんに人情深いところは日本人なんだろなと思う。

到着は早いほうだったらしく、船内の客室はほとんど空席。
甲板の上に上がってみることにした。
ようやく空が明るくなりつつあるところだった。。

すると日本人らしき一人の男性が、三脚をセットし、写真を撮っている。
なんとなく目があって、挨拶を交わす。
「おはようございます。」
三脚をもって一眼レフカメラを手にして、
旅行している人は結構少ない。
「気合い入ってますね~」
ましてやツアー客ではなさそうだったのだが、
写真は好きそうだなという印象だったし、
ちょうどキャノンのキッスデジタルというカメラだったので、
その話題でどんどん話が盛り上がってきた。
彼は大阪在住ののりさん。
それから彼とは自然と行動をともにするようになった。

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乗船したときはまだあたりは暗かったが、
船が出港した頃には、日が登りはじめてきた。
日中の暑さが厳しいだけに、朝は涼しくて気持ちがよく
そしてこの日の朝日は気持ちが良いほど美しい。
エーヤワディー川クルーズ楽しみだ。

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出航してしばらく進むと、進行方向右側には、いくつもの仏塔のある丘が見えてきた。
昨日訪れたザガインヒルだが、外から見てもその仏塔の多さには改めて驚かされるし、
一度訪れた場所を改めて見れるというのは少し嬉しいものだ。

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ザガインヒルの左の岸には同じく昨日通ったインワブリッジがかけられている。
その先にはさらに大きな橋が建設最中だった。
これほど近い場所に2つも橋を掛ける必要があるのかがまさしく不思議で、
エーヤワディー川自体にほとんど橋はかけられていないなら、
他の場所に橋をかけたほうがいいとは思うのだが。
まだこの頃は乗客のほとんどが甲板にでて、外の景色を眺めたり、
写真を撮ったりしていて、ワクワクしていたようだ。

インワブリッジを過ぎた頃から、周辺に大きな山や建造物などは見当たらず、
しばらくは見所もなさそうだったので、朝食をとることにした。
船内の2階にはレストランが設置されていて、
チーズトーストとコーヒーののりさんと朝食をとった。

日が登り始めてくる頃には、
気持ちよい風と暖かい太陽につられるように甲板に出て日向ぼっこをしはじめた。
正直、昨日まではゆっくりする間もなく慌しく観光したので、
ぼーっと景色を眺めているも悪くない。。

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出航してから1時間は過ぎただろうか。
船は接岸しはじめたのだが、接岸できるような桟橋はない。
どうするのか見ていると、川岸に接岸していないまま、
1階の入口から長い木を川の中に垂らして、乗客は降りていった。
もちろん下半身が水にぬれることは承知の上らしい。

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その周辺ではフェリーの乗客にものを売ろうとする売り子が寄ってきている。
もちろん下半身どころか上半身を川に浸っていて、必死さが伝わってくる。
それなのに売っているものといえば、ほとんど「バナナ」なのである。
他にも御飯やドーナツみたいなものを売っていたが、
ほとんどバナナなのが笑える。
もちろんバナナこそ栄養価にとんだ食べ物なのは分かるのだが。

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それからというものまったく同じような景色が広がっているだけだ。
それが魅力的な景色と思いエーヤワディー川クルーズを移動手段として選択したのに。
さらに拍車をかけたように、だんだん日が高くなると直射日光を浴びて、
甲板は熱されて寝ることもままなくなってきた。
川を見ながらのんびりという当初の目的さえ達成できなくなってきた。

そういった中で、接岸イベントは船の乗客にとっても、
とても嬉しい出来事のひとつで、目が覚めたようにみんな動きだして、
甲板に出てきてその光景を見ていた。

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昼食は、もちろん船内のレストランで取ることにした。
出航前に会話を交わしていたアメリカ人男性がいっしょに食べないかということで、
彼とノルウェー人女性の4人でテーブルに座った。
二人はほとんど食べ終わりかけだったの状態だったが、
ジョナはフライドヌードルを食べていたが、箸のすすむスピードが遅く、
あきらかに美味しくないのがわかるほどだ。
もちろん口はまあまあとは言っていたが、顔は少々ひきつっていた。
こういう場所ではある程度美味しくないことは覚悟しなければならなかったが、
スープヌードルを注文したが、思ったより味は無難だった。

その後面白かったのは、ジョナが持っていた本だった。
内容は日本人女性をおとすための英語の本なのだが、
もちろん日本人向けに話すように、ローマ字で書いてある。
例えば「Kyou haa anata to zutto issyoni itai」という風に。
これを見てのりさんと二人で笑っていた。
しかし、この先がもっと笑えた。
いわゆる夜の会話もこの本に書かれている。
彼が言うにはこの本は、中国でも韓国でもタイでも売っていたとう。
いわゆる外国人からして日本人女性への印象はという点で、
少し考えらさせられることもあったが。

船は相変わらず、穏やかなエーヤワディー川をゆっくりとすすんでいる。
接岸イベントは2回ほどあったきり、しばらくなにもない。
船内にはもちろんエアコンなどなく、ただ外から入ってくる風だけが頼りだけだが、
しかしゆっくり進む船から入ってくる風など、
甲板を照らす灼熱の太陽の熱が消し去っていく。
乗船客の大半は退屈さと暑さでぐったりとしている。
そして浅い場所をさけるかのように蛇行しながら、進んでいくので、
思ったより時間がかかるのではないだろうか。
いったい何時つくのだろうかという不安もあった。

「雄大な景色を見ながらエーヤワディー川をのんびりクルーズ」

そんな歌い文句にひかれた観光客は多かっただろう。
もちろん自分もその一人には違いなかったが、
その大半は思った以上に退屈という感想だったに違いない。

2階のレストランでは賑やかな音楽が鳴り響き、
うるさく感じるようになってきたので1階の船室に移動した。
するとしばらくしないうちに、遠くのほうにいくつものバゴダが目にはいるようになってきた。
もしかして、バガンなのだろうか。
ガイドブックの写真で確かめると、バガンにあるバゴダということが分かった。
変な安堵感があった。
結局ガイドブックに記載されたとおり、定時の午後4時にバガンに船は到着した。

船を下りて、坂道をあがっていくと、テーブルが置かれ、
バガン入域料の10ドル支払いが必要だった。
ひとまずガイドブックでよさそうなゲストハウスをチェックしていたが、
下船した場所はオールドバガンだったので、
ほとんどのゲストハウスが立ち並ぶニャンウーまでタクシーでむかった。

思ったよりバガンの遺跡は広く点在しているようで、
オールドバガンからニャンウーまではタクシーでも5分以上はかかった。
自転車で気楽に回ろうとしていたが、少し考えさせられる。

目指したゲストハウスは「ピンサルパゲストハウス」。
日本語堪能な従業員がいるのと値段の安さに引かれた。
タクシーでゲストハウスの前につけ、従業員らしき人と交渉をしようとしたのだが、
すぐに彼がガイドブックに書かれた日本語堪能な従業員だとわかった。
驚くほど流暢な日本語を話す。
料金を聞くと1泊、シングルで4ドル。
さっそくタクシーを降りて部屋を見たら、質素な感じはぬぐえないが、
清潔でもあったし、エアコンつきとは思えないほど部屋代も安かったので即決した。

まだ日は明るかったので、のりさんと話した結果、
バガンに来たならば必見の「バガンの夕陽」を見に行くことにした。
オールドバガンにある「シュエサンドー・パヤー」からの夕陽が一番良いという。
距離的なことと船の移動の疲れから、
自転車で行こうという選択肢はまったく思いうかばなかった。
タクシーで移動することにしたが、思ったより高い。
たったひとつの往復するだけで、5,000チャット。
この値段は決してぼられているわけではなく、
ガソリン代が国の政策で7倍になったせいでタクシー代が高くなったらしい。
さらに後から従業員に聞いたのだが、ミャンマーで車は非常に高価な乗り物らしく、
一般的な日本車の中古カローラクラスで200万円はするらしい。
ちなみに日本で買うよりも高く、ミャンマーの物価からすると恐ろしい値段だ。

シュエサンドー・パヤーからの眺め

バガンで一番有名な夕陽を見るスポット「シュエサンドー・パヤー」には、
すでにかなりの人が太陽が沈むのを待っていた。
自転車、タクシーだけではなく大型観光バスも駐車場にとまっている。
その大型観光バスが「近鉄バス」というのが笑えるのだが・・・。

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なぜここが夕陽の人気スポットとされているかは、
数あるバゴダの中で唯一、登ることが許されているからで、
他のバゴダは遺跡保護のために登ることが禁止されている。
そのため、たくさんの人が夕陽を見るために訪れている。

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登ってみてあらためて、バガンのバゴダの多さと景色の雄大さが感じらる。
まったく高い建物がなく、発展とは縁遠いミャンマーだからこそ、
この維持できる風景は、まさにミャンマーならではの風景だったかもしれない。
そしてここはカンボジアのアンコールワット、インドネシアのポロブドゥールと並ぶ、
世界三大仏教遺跡のひとつに数えられる。

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バガンにはいくつもの遺跡があるといわれているが、
それは今でも建設中のものもあり、現在でも2,300あるといわれ、
最も栄えていた13世紀にはなんと約400万あったというから驚くという以上に、
天文学的な数字に近く想像もできないほどだ。

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残念ながら夕陽は、最後は暑い雲に覆われ見ることができなかった。
日が暮れ始めると、他の観光客はどんどんバゴダを折り始めたが、
夕陽がくれきった後の景色がまた美しくしばらく眺めていた。

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真っ暗になる前の空のグラデーションは美しく、
漆黒の大地とパゴダの稜線がくっきりと浮かび上がる。

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結局最後は僕ののりさんの二人だけになってしまい、
タクシーの運転手はいまかいまかとかなり待ちわびていた。
追加料金を払うからライトアップしたシュエズィーゴォン・パヤーを見に行きたいと
お願いしたのだが、家族が待っているからということであっさり断られてしまった。

豪華?ミャンマー料理

夕食は、日本語堪能な従業員のおすすめで、
近くのミャンマー料理のレストランを紹介してもらった。

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数えるほどしかメニューがなかったので、
とりあえずミャンマー料理の中でメインがチキンの料理を頼んだのだが、
メインの鶏肉以外に15種類以上のおかずが出てきてで、
まるで韓国の韓定食ぐらい品数がでてきた。
それが酒のツマミ感覚で食べられるような少し味の濃いものが多く、
思わずビールもどんどんすすんでいってしまう。
今日の朝が5時前に起きたのも忘れてしまうほどビールがすすんだ。

地球の歩き方のミャンマー語の会話集を参考にしてビールを注文しだすと、
従業の女の子がおもしろがって、異様なぐらいに笑い、
こっちが言ったミャンマー語を同じように繰り返した。
こっちが一言しゃべると、店のみんなに「こんなこと言ってるよ」と、伝言する。
なんだかんだでこっちも酔っていたので、どんどん楽しくなってきた。

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のりさんとは今日の朝あったばかりなのに、話もはずみ、
ふたりでミャンマービール大瓶11本もあけて、閉店間際の23時まで飲んでいた。
周辺のレストランやお店もすっかり閉まっていて、
暗闇につつまれた道路を千鳥足でゲストハウスへ歩いていった。

明日はのりさんはポッパ山へ向かうということで、
日本での再会を約束して、各部屋へ向かった。